バーベキュー?
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「見事です、赤の王よ。先ほどの光景は我らがここへ到達した時の世界。その当時は瘴気渦巻く土地でした」
ベリアルが説明する。
「そりゃ災難だよな・・・ここが新天地だよって連れて来られたら怒るね俺は。で、浄化の為に、強さを手に入れた自分たちを触媒にして眠りについた、か?」
俺はベリアルに確認するとベリアルは頷く。
「その通りです。大人であれば問題ない瘴気も、子供達には無理でした。次第に体調を崩し精神にも悪影響が出始めました。そこで子供たちを結界で守り地中に封印し、我らの眷属も瘴気を魔力へ変換するため地中へ潜り眠りにつきました」
「ベリアル達は迷宮の守護、眷属は世界の浄化を受け持ったと。実体はこちらに、瘴気で出来た別体がアストレムルに召喚されていたわけだ」
俺の言葉に皆が驚いていた。
「その通りです。召喚された我ら眷属は瘴気で出来ていた為、凶暴性が増しており本能のまま殺戮や残虐な行為を行い、一定以上力のあるものは知能というか意思を持ち、眷属を操ることが出来たのです」
「それが魔王と直属の配下だったってわけね」
「はい、その通りです。しかし、そこには誤算があったのです」
「あれだろ、ネモがお前たちを召喚したんだろ?」
「ご明察の通りです。ネモは迷宮の守護者となった我らを召喚してしまったのです。我らはルシにより迷宮に固定されていたので、不完全な状態で地上へ召喚される事になりました。金色の英雄達が居たときは良かったのですが、そこから先は皆さんの知る通り金色の英雄達が居なくなった世界を蹂躙しました」
「でもそれ誤算じゃなかったとしたら?」
俺がベリアルに問いかると。
「と、いうと?」
ベリアルが問い返す。
「それもルシの描いていたことだってことさ。あいつは手を出さずに全種族の進化を促し、そして成し遂げたって事さ。物凄い犠牲の上に成り立ってはいるが、すべてが絶滅するよりは良いかな・・・まぁ凄いよな?」
地球人はすべて絶滅したが他の世界の人族は絶滅していない。予感だけれど地球人はアストレムルから来た人族かもしれない。それであれば地球という星の人類の進化、猿から人へのミッシングリンクを埋めることが出来る。魔力については物質世界中心となった地球では次第に薄れ、無くなってしまったのかもしれない。まぁ根拠も確証もないけど、世界各地に残る起源の分からない遺跡や眉唾物の儀式などが魔力を使えていた時代の名残かもしれない。
俺は、俺の心は地球人だが体はアストレムル産で出来た物でアストレムルとのハーフ、アースレムルとでも言うものだし、知ろうとすれば権能で分かるけれど知ったところで過去に干渉する気もないからいいや。
「まさか・・・いや、そうかもしれないな」
ベリアルは納得したようだ。
「で、俺達がここに来た理由もルシの予言があるんだろ?」
「その通り。我らを排斥しようとした上位者がここへ来る、というものです」
「へぇ、数は?」
「およそ10億」
「その軍団の相手を俺達350名足らずで相手するのか。気合が入るな!でも居るんだろ仲間が?」
俺はベリアルや他の魔王にも聞く。
「もちろんです。我らこの日のためにルシフェルと共に地下迷宮を越えてきたのですから。そうだろみんな」
ベリアルがナー爺、アース、アユ、ディーに言うと皆頷いた。
「皆の者、赤の王がお待ちじゃ、すぐさま参集せい!」
「ククク、何をやっている、ナーガ族に後れを取るなよ!」
「あの日を忘れたわけじゃないよね!早く来なさい」
「さぁ皆さん集まって下さい」
「我らの宿願を果たすとき、集まれぃ!」
最後にベリアルが叫ぶ。
すると全天が徐々に黒くなっていく。全種族が空を埋めてこちらに向かってきた。その数500万。
「レッドよ頼みがある」
ベリアルが俺に頼みだって?なんだろ・・・
「なに?」
「次元に封印されている、ソロモンの悪魔を、仲間を解放してくれないか?」
「だってあれは、ソロモン王の言うことしか聞かないだろ?」
「いや、それも呪縛なのだ。今はレッドが上位者となったことで呪縛も解かれている。だから解放してくれないか。彼らもきっと戦力になる」
戦力になっても今後の船旅の燃料だしな・・・・。俺はレディを見る。すると問題ないでしょと頷いた。
「わかったよ」
俺が手刀で空を切ると次元の狭間が現れ、中には次元鎖で捕らわれたソロモンの悪魔達がいた。俺が指を鳴らすと鎖は解かれ、自由になった悪魔達が互いを確かめ合いこちらに向かってきた。外に出てくる前にベリアル除く71名が整列し膝を付き俺に忠誠の誓いを立てた。
「いいから早く出て来いよ。みんな集まってるし」
他の眷族はすでに集まり、膝を付き頭を垂れていた。それを見た悪魔達が外へ出てくるが、外へ出た瞬間急激に戦闘力が上がった。上がったといっても20万にはとどかない。ベリアルたちと一緒で本来の力を取り戻しただけだった。彼らは、魔王という大統領を補佐する議員みたいなものと言えば分かりやすいかな。それぞれが各種族の元へ戻り再会を喜んでいるようだった。
「感謝するレッドよ」
ベリアルが頭を下げようとしたのでやめさせた。
「そういうの好きじゃないからやめてくれ。で、その上位者はいつ来るんだ?」
準備もしなければいけないので聞いてみる。
「明確な日程は不明だ。ただその時が来ればやってくるとだけ言っていた」
「ふーん、じゃいいや。麓に降りて休憩しようか」
とくに疲れているわけでもないだけどね。
(レッドさん、ご報告が)
(レディ、あれだろ?軍団が来てるんだろ)
(気付いていましたか)
(時間にしてあと3日ってところか。前に頼んでいた件は?)
(はい、順調に進んでいます)
(おっけー)
「みんな!歩きながら聞いてくれ。上位者の軍団が3日後に来ることが分かった。それまで英気を養う為、バーベキューでもしながら親睦を深めたいと思うのだがどうだろうか?」
俺の言葉に団員からは酒はokですかと問いかけがあったのでサムズアップすると大歓声が沸き起こった。魔王の軍団も『バーベキュー?』とは何ぞやと戸惑っていたが食事の事だと理解すると団員たちに続いて歓声を上げた。
決戦は3日後、誰もかけることなく乗り越える事を心に強く願う。
のんびり書いていきます。




