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しみるわ~

22


「状況は理解した。みんな俺にためにありがとう。そして、ごめんな、大事な時に手伝えなくてさ。これは俺からのお詫びだ」

 俺は旅団員一人一人に手をかざし魔力を補充する。


「はぁ~しみるわ~」

 ミリアがお風呂に浸かった時の様にしみじみと言う。


「フェミリア様、それでは完全に年寄りですわ」

 シャルロッタが突っ込む。


「まだあるぜ。レディ!頼む」


「承知しました。ロードのアーマースキャン、コピー・・・完了。ロードとのリンク者全員へ上書きします、宜しいですか?」


「もちろんだ」

 団員の装備が形状を変えていく、それぞれが想う形へと。全員が俺と同じhope装備になってステが振り切り、他の魔王と同等の強さになった。


「す、すごいっすよ兄貴!何すか、この万能感!」

 ウッドが驚きつつも喜ぶ。


「だろ?その装備凄いんだよ。気に入ってくれればいいけどな」


「凄いってもんじゃないわよ!今なら一人でベリアルと戦えるわ」


「ほぅ・・・ではやってみるかフェミリア殿?」

 ベリアルが聞き捨てならぬとばかりに挑発する。


「ミリアもベリアルさんもその辺にしようぜ。まずはこの先にある魔界へ行ってみようぜ。みんなも気になるだろ、魔界?」

 俺の問いにみんなが頷く。


「じゃぁ案内宜しく頼むよ、ベリアルさん」


「赤の王よ、我らはあなたに従う者。呼び捨てで構いません」


「そうはいってもねぇ・・・・じゃベルさんでいいかな?」


「ベルで構いませんが、赤の王の呼びたいようにで構いません」


「じゃベルって呼ぶから俺の事はレッドって言ってくれ。赤の王とかカッコ悪いし。ナー爺、アース、アユも同じな」


「レディも俺の事はロードじゃなくレッドって言う事、いいね。あとメーティスいる?」

 俺がレディに言うと。


「はい、いま変わりました。初めましてメーティスです」


「レディのサポートありがとね。メーティスが居てくれて助かったよ」

 俺はレディの、いやメーティスの頭を撫でると嬉しそうな顔をした。レディは表情が乏しいというか、分かりにくかったので何か新鮮だった。


「ではレッド、行きましょう、ナー爺、アース、アユ、ディー封印を解くぞ」

 ベリアルはフロア奥に現れた扉を開け中に入る。天井は低く手を伸ばせば届くくらいで大人10人が入れば乗車率で言えば200%ほどだろう。部屋の中は何もなく何をするのか部屋の外で見ていると正面の壁にベル、右壁にアース、左壁にアユ、天井にディー、床にナー爺が手を伸ばした。よく見ると、それぞれ手形のようなくぼみがあった。5人がくぼみに手をあてると軽い振動と共に正面の壁が細かい砂となって崩れていった。


 風が流れる。


 何か懐かしい匂いと共に砂埃が落ち着くと景色が見え始めた。ベルに促され進むと眼下には一面セピア色の景色が広がっており、当初心配していた大気は瘴気に侵されていなかった。もちろん植物などもなく月のような何もない大地だった。俺が居る場所はかなり高い場所で風が穏やかであったが地上付近はかなりの暴風のようだ。外へ出て振り返ると、そこには鳥居があったが仲間の姿が見えなかったので慌てて鳥居をくぐり戻ると、どうしたのというような顔をするサーラがいた。


「これ、あちらからは中が見えないんだな。一瞬焦ったよ」

 俺はそう言ってもう一度外へ出る。確認したいことがあったからだ。


「やっぱり・・・だよなぁ」


「どうしたの?」

 後ろからサーラが声を掛けてくる。


「いや、知っているんだよ。この場所をね」

 多分だが、ここは日本だ。そして現在地は富士山頂。見上げれば月が見える。遠視で周りを見れば物凄い暴風が吹き荒れる廃墟となった都市の跡地が沢山見えた。そのどれもが瓦礫、いや砂と言った方が良いくらい原型を留めないほどに風化しており生命の反応が無かった。しかし俺の記憶しているものと多少違っている部分があった。それは街並みもそうだが、衛星軌道へ行くことの出来る軌道エレベーターの残骸が赤道近くに見えたからだ。しかし軌道上にある居住リングは見えなかった。おそらく何かしらの原因で地球に落下、もしくは宇宙を漂流しているのかもしれない。どちらにせよ内部に居た生物は生きていないだろう。


「レッドの記憶を起点とすると、この星の文明、生命の終焉が900年後に起こり、そこから更に約1億年が経過していると思われます」

 レディが聞こうと思っていたことを先に教えてくれる。


「ということは、人類はやはりグレートフィルターの手前に居たって事か・・・。俺達はどうなるんだ?」


「我々は上位者であるルシフェルによって魔力という力を与えられグレートフィルターを超えることが出来たと推測できます」

 それもそうか。軌道エレベーターの話題が出た時は死ぬまでに見てみたいと思っていたものだが、所詮物質世界でそれ以上の進化は起こらなかったのだろう。魔力というイミフな万能力がなければ、その先にある進化に辿り着けなかったということか。


「レッ君、何か来る!」

 シズクも気が付いたようだ。


 山の裾野から黒い集団が四方からこちらに向かって来ていた。俺達に敵意を持つその正体は魔族だった。


「おい、良いのか?」

 俺は魔王たちに確認すると


「「「「ご自由に」」」」

 そろった答えが返ってくる。


「あぁ、もう。まだ俺を試すのかよ」

 山の中腹に魔族の集団が迫って来ていた。


 俺は片手で空間を掴み引き裂く。するとセピア色の世界が崩れ、徐々に世界に色が戻ってきた。空は青く、何もない大地には樹海が広がっており、空には見たこともない鳥や、同じく地上にも見たこともない動物などあらゆる命が溢れていた。迫って来ていた黒い集団は山の中腹で身動きが取れなくなりもがき苦しみ、しばらくすると霧散し消えていった。


のんびり書いていきます。

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