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ヴォイド空間

21


「かなり飛びました。そろそろソナーを撃ちましょう。先ほどの反応との差を解析し距離を推測します。メーティスも全周囲に意識を集中して下さい」


「うん、わかった。こっちは準備オッケーよ」


「では行きます!」

 レディがソナーを撃つ。先ほどよりも強い反応が帰ってくる。


「正面左下よ」

 正面中心から、やや左下に反応があった。レディは周りの星との位置関係を計算し方向を修正する。広大な宇宙では少しのずれが大きな誤差となって出てしまう。


「まだ正確な距離は不明。およそ1兆光年先にあると思われます」


「うわぁ遠いわね。でも私達なら一瞬・・」


「では行きます」

 メーティスの言葉が終わる前にレディが加速する。星の光が消え一瞬の暗闇の後、周囲が明るくなり別の超銀河団の中に到着した。


「元居た場所すらわからないところまで来ちゃったね」


「ですが、かなり近づいたはずです。指向性ソナーを撃つので集中して下さい。まだ私達の前方にあるはずですが、後方だった場合は出直さなければ・・・いえ、余計なことは考えずに撃ちましょう!」


「大丈夫よ、レディ」


「なぜ大丈夫と分かるのです?」


「そんな気がするからとしか言えないわ。今のあなたになら分かるんじゃない?」


「・・・はい、漠然とですが・・根拠もなく、ただ大丈夫じゃないかと思えます」

 レディは困惑しながらも答える。


「そういうのってワクワクしない?」


「この気持ちがワクワク・・・不安の方が多い気がしますが・・・」


「答えが分かっていたらつまらないでしょ?レッドさんも言っていたのでしょう、「楽しもうぜ」って?」

 メーティスの言葉に後押しされレディはソナーを撃つ。


「ほぼ正面、近いわ」

 メーティスが答える。レディは既に計測に入っていた。


「誤差修正、距離5億光年先のヴォイド空間・・・・正確な位置が分かりました!」

 そこは星も何もない宇宙の暗黒空間、超空洞である。宇宙をミキサーで攪拌しても星が均等には配置されない。どうしても薄いところと濃いところが出来る。そして長い時間をかけて質量を持つ星は呼び合い星系となりそれが合わさり銀河となる。銀河同士が呼び合い銀河団、超銀河団となる。薄い部分の星が引き寄せられ何も無くなった超空洞、その無数の空洞の一点に反応があったのだ。


「レディ、少し計算領域借りるわね。・・・・うん、私もそれでいいと思う」

 メーティスの答えも一致したようだ。


「では」

「うん、行きましょう」


 そこは半径2億光年内に星が全く存在しない空洞。その一点から肉眼では見えない光の糸が明滅しているのを確認した。


「見つけました」

「うん」


「シズクさん、見つけました。これから呼びかけを行います。皆さんの準備は宜しいでしょうか?」

 レディがシズクに連絡を入れる。


「サーラ!レディから連絡がきた。多分きついのが来る。みんな気合を入れて」


「みんな聞いたわね。これで決めよう!」

 シズクの言葉を聞いたサーラが全員へ伝える。


「レディ、こっちは準備オケ。いつでもいい」


「シズクさん、承知しました」

 シズクの報告を受け、レディが糸を握りしめ、旅団員達からの力を大量に流し込む。


!!!


「何かに遮られ、力が逆流して・・・このままでは私達の意識まで消されてしまいます・・・」

 レディの中に旅団員の力が逆流してくる。


「すぐに放出しなさい!場所は特定できたのだから、次にしましょう」


「メーティス、それは出来ません。皆さんの想いの力を無駄にすることは私には出来ません」


「そうは言っても、このままでは二人とも消されてしまうわ」


「いま解析を・・し・・ます」


「レディ、そんな時間なんて無いわ!割り込むわよ!」

 メーティスがレディの回路に割り込んだ。


「こ、これは・・・レディ私に任せて。あなたは力の制御に回って」

 回路に割り込んだメーティスの前に巨大な木の箱が現れた。それは幼少の頃ルシフェルが外で遊ぶことが出来ないメーティスが楽しめるようにと木で作った寄木細工であった。


「ですが、すでに私のキャパを超えているため、持って数分です・・・」


「大丈夫、すぐに片付けるから」

 そういうとメーティスはどんどん箱を開けていく。箱の中に箱がある状態だったが6つ目の箱を開けると細かな細工が施された光の六角柱が現れた。それはルシフェル達が旅立つ時に宿題として渡されたパズルと同じであった。


「これを解くのに半年かかったんだから。でも今なら簡単、発想の転換ね。これは箱じゃなくて特殊な鍵なのよ。それに気づくのに4ヶ月、あとの2ヶ月は完成形が分からなかったから時間がかかったの・・・よっと」

 メーティスは解いた鍵の情報をレディに渡す。


「それを糸に流せば扉が開くわ!」


「り、りょうかい・・キーデータインスト」

 キーデータを流し込むと肉眼で見えなかった糸が見えてきた。それと同時に力が流れ込み中の状況が微かに感じることが出来た。それは得体のしれない強大な力だったが恐怖を感じることは無かった。なぜならレッドの波動を感じたからだ。その時レディは確信した、ロードは手に入れることが出来たのだ、ルシフェルに並ぶ力を。


「おめでとうございます!ロード!」

 レディは必死に何度も呼びかける。何度も何度も。


「レディ・・・ど・・・・だ」

 やっと答えが返ってきた。レディ自身は気付いていなかったが本体からは涙が流れていたという。それを見た団員たちが動揺したのは言うまでもない。


のんびり書いていきます。

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