永遠の乙女
15
「みんな、行くよ!道中のローテは今まで通り。じゃ地下9000階目指してしゅっぱーつ」
サーラを先頭に進む。
「次は誰っすかね?」
ウッドがサーラに確認するも
「誰でも良いわよ。全力で叩き潰すからね」
サーラはウッドにそう言いウィンクをする。
「そっすね、誰が立ち塞がっても突き破るのみっス」
誰の顔にも不安の色は見えなかった。なぜなら、日増しに自らの力が増大していくのを感じていたからだ。それの意味するところは、団長も健在であるという事だった。
(試練を乗り越えることで器が成長していっておるようじゃの)
(ククク、そのようだね、ナー爺)
(あたしらは見物してればいいのよね?)
(それがルシフェル様の望みじゃからの。儂らは見守るのみじゃ)
(でも、あの程度で今後の戦力になるのかしら?)
(試練を乗り越え、赤の王を目覚めさせることが出来ればギフトによって進化がおこるじゃろう)
(ククク、我らと一緒か)
(ルシフェル様は誰しも進化の種は持っているって言っていたわよ、アユ姉)
(そうだねぇ、見捨てられた私も進化出来たしね。メーティス、あなたのそれも進化じゃなくて?)
(そうなのかなぁ?)
(そうさ。元の体は無くてもメーティスはメーティス。それに永遠の時を生きることが出来るじゃないか)
(うん、そうだね。16までの記憶しかないけれど私は私だもん。ただレディさんが私を受け入れてくれるかしら・・・)
(それはレディと相談だね。頑張んなさいよ)
アンラ・マンユはメーティスの頭を撫でた。
(さて次はディーよね。あいつの攻撃はいやらしいからね。でも苦戦はするけど彼らを止めることは出来そうにないねぇ)
(アユの言う通りじゃの。最初にディーとやっていたら分からんが、今の彼らなら問題ないじゃろうて)
(ククク、その点もルシフェル様はお考えになっていたのだろうさ)
(アースの言う通りかもねぇ)
(私もアースおじさんの意見に1票です)
(ククク、そこはアース兄さんだろと・・・)
(諦めなアース、貴様も歳なのさ、あっはは)
(ククク、それを言ったらアユなんてババ・・・)
アスタロトの言葉は途中で飲み込まれた。なぜなら喉元にアンラ・マンユの錫杖が突きつけられていた。
(それは女の子に使う言葉じゃ無いと思うけどねぇ・・アース君?)
アンラ・マンユの妖しい瞳がアスタロトを射抜く。
(ククク、あぁ怖い怖い、アユは永遠の乙女ですよ。これで良いですか、アユちゃん?)
(少し気に入らないけど許してあげるわ)
アスタロトやナーガは上位種族であったアンラ・マンユには本能的に逆らうことは無かった。それは力が同等になっても変わらない。苦手というか崇めていた存在が対等になったのだ。信仰の対象であるものと対等になったと考えればわかりやすいだろう。
(アースおじさんは女の子の気持ちをもっと知らないと駄目よね)
(ククク、メーティスはとても可愛いのだがね・・・、も、もちろんアユ嬢もですが・・・)
(諦めるんじゃなアース。儂から見たらアユもメーティスも絞め殺したいくらい可愛いからのぅ)
(ククク、それも少し違うと思いますけど・・・まぁいいでしょう)
(そろそろ到着しそうだよ)
メーティスが言うと隊列の進行速度が遅くなってきた。
(攻撃力も重要だけど、ディー相手にはヒーラーの力も重要になってくるからね。まぁ、あのシズクと月花という子は別格だから大丈夫でしょう)
アンラ・マンユの視線の先にはシズクと月花がいた。その視線に気づいた二人はアンラ・マンユを見る。
「頑張るんだよ!」
アンラ・マンユは手を振って声をかけると、シズクと月花は丁寧にお辞儀をして戦闘準備を整える。
(さてと、戦闘が始まったら結界を張るから出ないようにね。ディーのフルドレインフィールドは広いからね)
アンラ・マンユがそう言うとアース、ナー爺、メーティスは少し下がりアンラ・マンユの背後に位置を取った。
ディーのフルドレインフィールド、それはすべての攻撃を吸収する技。それを突破するには圧倒的な力が必要だ。それもディーと対等の力が無ければ絶対に破ることはできない。今の旅団員に個人能力でディーを超えるものは居ない。攻撃がフィールドによって対消滅するのだ。それを打ち破れるのはヒーラーの極超級魔法:バランスブレイクしかない。しかし、今の旅団員でそれを習得しているものは無く、戦闘中に編み出すしかないのだ。
サーラの号令のもと、旅団員が突入していく。
のんびり書いていきます。




