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たまには役に立つのよぅ

7


 俺が瞑想を始めると何をしても反応が無くなってしまい、一時攻略を中止しようと議論があったようだ。


「皆さん、よくお考え下さい。現在ロードは力の開放に全力を注いでいます。しかしここで攻略を止めてしまっては、戻ってきたロードにどのように言うのですか?」

 レディの言葉に誰しも黙ってしまった。


「そうだね。レッドが目を覚ます前に攻略を終わらせて驚かせようよ!」

 サーラがそう言うと、ルルやリーズ、ウッドも頷いた。


「だけどレッ君が・・・」

 シズクは納得できないようだった。その時ひどく動揺していたシズクには俺の体に俺の存在を確認することが出来ていなかったのだ。


「シズクさん。ロードは今、必死にもがいています。だからあなたも自分の出来ることをして下さい。ロードは必ず戻ってきます」

 レディが諭すようにシズクに言う。


「・・・なにがわかるのよ・・・あなたに私の何が分かるの!!」

 シズクが叫ぶ。


―――パシッ

レディがシズクの頬をはたいた。


シズクが睨み返す。


「シズクさん、落ち着いて目を閉じてみて。あなたになら他の誰よりも分かるはずよ。私と同じくロードの鱗へ血を流したあなたになら」

 レディが優しく微笑みながらシズクに言うと、シズクがゆっくりと目を閉じる。そしてハッと目を見開いた。


「わかる、分かるわ。レッ君の温もりが分かる!」

 シズクが周りを見ると、みんなが今さらぁ~?って顔をしていた。


「シズクちゃ~ん、あなたが一番近くに居ながら分からないって事は、降格で良いのかしら?」

 サーラがいたずら顔で言う。


「シズク様、僭越ながら私もレッドさんの温もりはずっと感じていました。ですので申し上げにくいのですがこ・う・か・くという事で・・・」

 と月花が続く。


「シズク!あなたは降格よ!代わりに私が1番ね」

 ここぞとばかりにミリアが言う。


「はい、はい、みんなも意地悪が過ぎるとあとが怖いからその辺にしましょう」

 リティスがお姉さん口調でまとめた。


「みんな、ごめん、私・・・」

シズクが俯きながら話す。


「シズク!その代わりあなたがレッドのそばに付き添って守るのよ。分かった?」

 サーラが勢いよく言うとシズクが頷いた。


「うん、守る、絶対」


「じゃぁこのままいくよ!ローテは今まで通り。細かい指示はレディお願い出来る?」


「もちろんですサーラさん」


「んじゃ、進撃開始!」

 サーラが先陣を切り愛馬キグスを駆って進む。


 そして5日ほど攻略を開始して地下6000階に到達した。そこにはフロアボスとして見慣れた奴がいた。それはナーガ国の国王ナーガだった。だが見た目はナーガなのだが大きさがまるで違った。体長20mを超えていた。


「気を付けて下さい。あれは私達の知っているナーガ王ではありません。推定戦闘力31万、その他眷属召喚も行うようです。まずメインパーティーはレッド隊でロードとシズクさんが抜けた穴をアークさんとルチアさんが埋めて下さい。フリーダム隊とウィンド隊はこれに合流することによって戦闘力は9万+8万+16万の33万になります。これだけで何とかなると思いますがイレギュラーが発生する場合も考え、スカウト組はいつでも動けるようにお願いします」

 レディの作戦指揮に従い瞬時にフォーメーションを整え戦闘が開始された。ナーガはまるで意思のない人形のように容赦のない攻撃を放ち、メデューサやリザードマンなど眷属召喚を頻繁に行ってきた。メデューサなどは戦闘力10万を1ダース一気に召喚、リザードマンの戦闘力は5万程度だが一気に50体とか召喚してきたのだ。これに対応するためスカウト組が総力を持って対応した。


「ヒーラーは石化した仲間をすぐに戻して!傷が付かなければ、多少のしびれは残るけど、ほぼノーダメで復帰できるわ!」

 月花が叫ぶ。

「「「「「了解!」」」」」


 ナーガの魔力は無尽蔵で絶えず召喚を行ってくる。動きも巨体に見合わない素早さで、これと言って有効打が無く戦闘が長引きナーガ自身を倒さないとじり貧になるのは見えていた。


「リティス!少しで良いの、抑えられる?」

 サーラはこの状況を打開するために、リティスにナーガの足止めを頼んだ。レディもこれに賛同した。


「リティス様!私も一緒に」

 そう言ったのはウィンド隊のシドニーだった。


「そうね、あれを使うわよ!」

 リティスはシドニーに合図を送った。


「合わせます!」

 シドニーが答え、構える。


「最近影が薄かったから実力を見せてあげないとね。でも止められても10秒止められるか・・いえ、止めてみせるわ!」

 リティスの瞳はナーガを捉えたまま、サーラに答える。それを聞いたサーラは充分よと答えた。


「聞こえたわね、フリーダム隊、ウィンド隊。動きを止めたら一気に仕掛けるよ!」

 サーラが叫ぶ

「「「「了解」」」」


 フリーダム隊のヨーケルとウィンド隊のジェニー、二人の極忍が印を結ぶ。

「「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」」

「土の陣!」

 ヨーケルの印

「水の陣!」

 ジェニーの印

「「合印、土石竜!」」

 二人の印が合わさり土と水の属性を持つ竜がナーガの足元に流れ込み素早さを奪う。


「二人ともナイスっす!リティ姉頼むっすよ~」

二人の遁術で素早さが若干だが落ちた。そこへウッドのフラッシュナイフがナーガの視界を一瞬奪う。リティスはその隙を見逃さない。ナーガの頭上に飛び上がり、ウィンド隊のシドニーもこれに続く。


「「雷神の力ここに」」

 二人の呼吸が一致する。

「スーパー」

 リティスと

「雷、縛」

 シドニーの

「「ダイナミック!!」」

 力が倍加した。


 二人の二振り計4本の斧の斬撃から雷属性の網目状のネットが現れナーガを床に固定した。これに抵抗するように振りほどこうとするがマヒ効果が発動し上手く振りほどけない。ならばと、眷属召喚を行うが、またも上手くマヒ効果が発動し中断されてしまう。よく見るとティアが確立操作を行っていたようだ。


「えっへん!あたしだってぇ、たまには役に立つのよぅ」

 リーズのポシェットからどうだと言わんばかりに上半身をのけ反らせるティアが居た。


「皇騎士隊、前に出るぞ!」

 リティスが動き出すのと同時にシャルロッタが叫び、ウィンド隊ブリタとオリガ、フリーダム隊のロドルとマルコもこれに続き前に出た。


 シャルロッタは走りながら叫ぶ

「皇騎士に後退は!」


「「「「無い!」」」」

4人がこれに応える。


「我らは!」

「「「「「最強!雲の旅団」」」」」

 皇騎士隊の気合が最高潮に達する。


「散開!5方向から同時固定する!用意―――、今!」

 シャルロッタの号令で皇騎士が5方向からグラビティアンカーを打ち込んだ。これによりリティス達の拘束技と合わせナーガの動きを完全に封じることが出来た。


 ナーガが固定される前提で皆が既に必殺技のモーションに入っていた。仲間を信頼していればこそである。そして全員が燃費効率を考えない最大級の個人技や合体技を繰り出す様だ。


「一以貫之!我に砕けぬものはなし!極正拳:零式無ノ型」

 サーラの特殊技、自分たちに害成すものにだけ作用し、それ以外には1ダメージも与えられない必殺技だ。その分ダメージを与えた場合の破壊力は言うまでもない。サーラと同じ拳聖であるウィンド隊のエディタが続いた。


「ロドル、マルコよくやりましたわ!これで決めます、神槍憑依、秘儀ゴッドストライク!」

 離れた場所からクラリスが走り込みナーガ目がけジャンプし、己の体を槍と一体化しナーガに特攻する。クラリスと同じゴッドスレイヤーであるウィンド隊イライザも続いてゴッドストライクを発動した。これはいわゆる捨て身攻撃だ。なぜなら攻撃後に硬直が5秒続く。仕留められなければ間違いなく反撃を防御なしで喰らうことになる。それゆえに攻撃力は凄まじい。


「よくやったわシャルロッタ、それでこそウィンド隊よ。次は私の番!一意専心、咲き乱れ赤き華! 秘奥義:曼珠沙華」

 ミリアの抜刀術の中でも最高の技だった。剣聖奥義にはこれよりも威力のある技があるが、この技は習熟度によって突く回数、威力が変わる。今のミリアであれば最低でも三千以上突くことが可能で他の奥義に引けは取らない。


「みんな力を合わせるにゃ」

 ルルが弓を構える横にフリーダム隊のリュングとウィンド隊のフリンが並ぶ。

「一撃必中ゴッドアイ!」

 三人の弓聖の弓に光の矢が出現し、風、魔力、弱点など全ての流れを読み、微妙に動く敵に合わせ射角など三人の固定砲台がシンクロする。

「我らの想いの力は最強!喰らえゴッドアローにゃ!」

 3つの矢が合わさりレッドの愛剣エクスカリバー:hopeを形作る。これは3人が想う武器をイメージしてそれを撃ち込む技で、その武器単体の威力を弓と魔力の力で増幅し撃ち込めるが欠点もある。通常の矢の何百何千何億倍の威力の矢を使うので威力は絶大だが、その分、反動が大きく体を地面に固定する必要があるため回避行動が取れなくなるのと、一時的にだが魔力が枯渇する。

 今回三人が想像した武器は彼らの魔力すべてをもってしてもレッドの武器の顕現は無理で半透明な状態であったが威力は絶大だった。しかも撃った後の反動もすさまじく三人共倒れ込んでしまった。


「ナタリア、ケーテ、ロサ、私に合わせなさい!」

 リーズが叫ぶと大賢者の4人が同時に詠唱に入った。こちらは個々に魔法を放つよりも4人合わせて威力を4乗することにしたようだ。多分これが正解だろう。

「我は使役する。ここに顕現せよ、冥府の王ハデス。究極魔法バイデントランス!」

 詠唱が終わると空中に槍を構えた人影が浮かび、神槍バイデントをナーガに向かい投げつける。これはやヴぁい。仮に5万の攻撃力があればそれの4乗だ。消し炭も残らないだろう・・・・リーズ恐るべし。


「ヒーラーは私に続いて!アタッカーの攻撃力を効率化するわ!」

 月花が声を掛けると、フリーダム隊のヴィト、アリチェ、ウィンド隊のマルグレート、コズチ、サンナ、アニエスが続いた。


「歓喜狂気の檻、アイアンメイデン!」

 この魔法は、漏れ出た攻撃の余波を倍加して再度敵に撃ち込む魔法だ。余波が出ない攻撃であれば、ただの半透明な檻だが、少しでも余波があれば瞬時に檻の内部から魔力で出来た棘が出現し敵を攻撃する。余波は攻撃による衝撃波、魔力の残滓、風などすべてに対応している。余波が大きければ大きいほどダメージは大きくなる。さらに檻の内部にいる仲間にはヒール効果もある優れものだった。


 それぞれが最強技を出しナーガは旅団員の放つ技の光に包まれた。


のんびり書いていきます。

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