鍵
3
ダンジョン攻略を始めてから10日が経過した。えぇあれからヒヒイロカネ製ブリーフは常時装着してますよ・・・いや、もうね・・発射したいよね。
そんなこんなでそろそろ何か起きそうな予感がしたというかシズクから5000階以降のフロアが見えなくなっていると報告を受けていたのだ。現在先頭は11~13番隊が担当だったので注意する様に呼びかけた。
「リュイス、トーレス、ウロス、そろそろ5000階への階段があるはずだから注意してくれよ!」
「「「了解」」」
しばらくすると進行速度が徐々に遅くなり停止した。隊列の間隔が短くなったことで肉眼でも大きな扉が見ることが出来た。
「大丈夫だと思うけど不意打ちには気を付けてくれ!」
俺が声を掛けると11番隊長のリュイスが返事をして扉に手をかけた。その瞬間、扉が消えて中から光が溢れてくる。開けようと思った扉が消えたのだから焦ると思うのだが、リュイスは動揺を見せず12番隊隊長トーレスと13番隊隊長ウロスと共に戦闘準備を整えていた。それ以外の者は高みの見物状態で、誰一人として取り乱す者は無かった。ただ一人、俺だけが焦るというビビりを露呈してしまったのだが上手く誤魔化すことには成功した、はず、と思いたい。ホラー映画って扉開けるとジェ〇ソンとか出てくるじゃん?普通ビビルよね?
光が収まり内部の状況が見えてくる。開ける前から予感がしていたが確信に変わった。
「やっぱりか・・・」
隊員たちには見慣れた魔物というか・・・一度戦ったことのある龍がそこに居た。そう、そこに居たのは真龍だった。
「やはり来ましたね、次なる王よ。案ずることはありません。この扉を開けたあなた達と戦うつもりはありません」
真龍が穏やかに語り掛けてくる。龍の口が開いていないので、直接心か何かに働きかけてきているのだろう。先頭にいたリュイス達はそれでも戦闘態勢を維持していた。
俺はレオに進むように指示を出すと、団員たちが道を作るように左右に分かれる。俺がフロア内に入ると団員たちも全員中に入った。
「で、真龍よ、ここがゴールの訳ないよな?」
「あなたの言う通りです。私はある方より扉の役目を頂いております。この扉が開かれた場合、その者たちを通すようにと」
「ある方って、あいつ・・だよな?」
「えぇ、あなたの思っている方で間違いありません」
龍の表情はよくわからないが、俺にはニヤリとしたように見えた。
「で、ルシフェルだけど何処に行ったか分かる?」
駄目もとで聞いてみると意外な答えが返ってきた。
「あなたの行動の先に答えがあると思います、としか言えません。私もまだ真理を得ていませんので」
「俺も真理を得れば行き先が分かるようになるのか?」
「それは分かりません。ただ、振り返ってみて下さい」
真龍に言われ振り返ると、そこには俺を見る仲間がいた。
「あなたには仲間が沢山いらっしゃいます。あの方よりも沢山。だから、その先にあるものもすぐに見つけることが出来るかもしれません」
「分かったよ、ありがとう」
仲間との冒険の先に何かを見つけることが出来るって事か。
「私の役目もこれで終わりました。あなたにあの方に授けられた私の権能をすべて譲渡します。あとは頼みましたよ」
そう言って真龍はいきなり光の粒子となっていった。
「おい、ちょっちょっと待てよ!」
いきなりの事で戸惑う。
これで、ようやく私もあなたの元へ行ける・・・また一緒に旅・・・・
そんな声が聞こえたような気がした。
「そうか・・・気を付けて行って来いよ。次はあいつに何を言われても離れるんじゃねーぞ!」
すると光の粒子が女性のような姿になり振り返って笑顔で消えていった。
「って、道ってどこよ?大事な事聞くの忘れたじゃん」
真龍が消えた大きな円形のフロアには何もなく反対側の扉があるだけだった。あちらの扉は以前みんなで乗り込んだ方の扉だ。開けてもケルベロスが居るだけだろう。
「レッド、あれを見て!」
サーラがフロア中心、真龍が居たあたりの上方を指さした。そこには光の粒子が漂っており少しずつ渦を巻き始めていたところだった。次第にハリケーンの様に地上と繋がり渦の直径は1m程だが大型の台風並みの風が吹き荒れた。だが俺達にとってはそよ風みたいなもので成り行きを見守ることにした。
すると徐々に風が収まり最後には地面に鍵のような形をした光の粒子が浮かんでいた。
「これを取れって事かな」
俺は掴めるのか分からないが手を広げ握るような感じで鍵を取ってみる。すり抜けることなく掴んだ感触が伝わったので持ち上げてみる。だが何も起こらない・・・どゆこと?
「レディ、これどういうことか分かるか?」
俺は持ち上げた鍵を離れた場所で見守るみんなにも見えるように頭の上にかざすと、みんなの表情が、あっ!みたいな顔に変わった。対して俺は、えっ?となり鍵を見上げると再度光の粒子に変わり始めたのが見えた。しかし、鍵のようなものを握っている感覚はあった。それが徐々に手の中に入ってくる感覚を感じると消えていった。
「消えちゃったな。これで権能が譲渡されたってことか?」
俺はみんなの方を向くと、皆の視線が俺の右手に集中しているのが分かった。どうしたのだろうと右手を見ると、鯛の鱗ほどに小さいミニチュア版とでもいうような真龍の白金の鱗が覆い始めていた。指先から徐々に覆い始め初めはゆっくりと肘を過ぎたあたりから急激に全身を覆い始めた。慌てて俺に近付くシズクと月花をとどまらせた。
「大丈夫だ、多分ね。みんなもどうなるか見ててくれ」
俺がそう言うとみんなもその場で待機してくれた。まぁ、そんな事を言ったのだけれど内心ちょービビッてるんだけどね。でも痛みは無いし、体や心を侵食される感じは無かったので大丈夫だろうと・・・
しばらくすると首から下は鱗で覆われていた。見た目は装備品で分からないが肉体の表面はすべて鱗に包まれていた。そして徐々に顔も鱗に覆われ言葉を発することも出来なくなった。仲間の動揺を感じたのでPT会話で安心するように言った。
―――さて、何が起こるのか・・・
最後の1ピースと言うか鱗片がはまった瞬間、急に視界が変わった。自分ではない別人のみているものが共有されている?その者の視線の先には俺の知っている人物がいた。
のんびり書いていきます。




