表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/240

馬探し

21


「なんで起こしてくれなかったのよ」

「レッドさん、ひどいです」

「お兄ちゃんの役立たず」

「ひどいにゃ」

 小言から始まる朝。


「すまんな。少人数で偵察してから一緒に行動を、と思ったんだけど一瞬で戦闘が終わっちゃったんだ」

 どうやら、戦闘に参加したかったわけではないみたい。御飯中に気を失って顔や髪にシチューやら何やらがべったりとついたまま朝まで変な格好で寝ていたので体中が痛いと。


「次はきちんと起こすよ」

 と笑顔で言う。


 月花とシズクに助けられたが、俺の怠慢でもあった。まさか街の中でこのような事が起こるとは思ってもいなかった。セーフゾーン(街中)でプレイヤーが倒されるとは思ってもいなかったのだ。これはゲームではなくリアルなんだ、二度と同じような手にかかるまいと誓う俺。


「さっさと出るか。朝食は馬車でパンでも食べよう」

 馬車ドライバーにも確認したが気にしていないようだった。命の危険があったにもかかわらずタフだなと感心する。長居は無用なのでさっさとここを出よう。


 2日後の夕方、最北端の宿場町に着いた。


「ふぅ、乗っているだけって言うのも疲れるな」

 馬車を降りて大きく伸びた。


 宿場町なのにひどく閑散としていた。シーズン過ぎた観光地みたいで、どの宿屋も空きがありそうだったので綺麗そうな宿屋を選びチェックインを済ませる。


「今日は、ゆっくり休んで明日から馬探しな」

 みんなも長時間の馬車で疲れているようだったのでおとなしく就寝した。


 翌朝、ロビーに集まり宿屋の主人に馬に関する情報を聞いた。


「ここは馬の有名な生息地なんだが、最近じゃ馬の数が減ってきてな・・・。そこへゴブリンの群れが馬の生息地にまで行動範囲を広げてきたんだ。年に一度、国がゴブリン討伐で間引きしているはずなんだが、最近急激に数が増えたんだ。理由は分からんが、現在国へ討伐依頼を出しているが、なかなか動いてくれん」

 なるほど。モッチョ氏もそんなこと言ってたような・・・


「お前さん達も町の状況見りゃわかるだろ?このままでは、この町も衰退するのみさ」


「で、馬ってどの辺りに居るの?」


「あんちゃん、おじさんの話聞いてたかい?まぁ、居たとしても海岸沿いまで行かんとだめだろうし、ゴブリンが居るからな。やめたほうが良い」


「海岸沿いね、行ってくる。これは馬車ドライバーさん達の宿代だから、先に払っておくね」

 そういって1週間分の宿代を払った。


「お、おい、悪いことは言わん。やめといたほうが良い」


「あ、もし一週間経って戻らなかったら、モッチョ商会へ連絡入れてもらえるかな?赤髪って言えば分かってくれるから。」


「坊主!モッチョさんの知り合いだったのか?そ、それなら大丈夫そうだな・・・分かった、戻らなかったら連絡する。気を付けるんだぞ」

 宿屋の親父に心配されたが、少数のゴブリン程度なら問題ない。とりあえず北に向かい海岸を目指すことにした。


 2日目まで順調に進んだ。いや順調ではないな。何故なら馬を見かけてすらいないのだ。もし見つからなかったらモッチョ氏に買ってもらおう、うん、それがいい。とびきり良い馬にしてもらおう。はぁ探さずに初めからモッチョ氏に頼めば楽だったかもな、などと考えていると、ルルが遠目で何かを発見したようだ。


「ゴブリンが何かを追いかけてるにゃ」


「よし、気付かれないように追うぞ。ルルを先頭に俺、リティ、サーラ、リーズ、シズク、月花、殿をウッドで頼む。バックアタックに注意してくれ」

 みんなが頷く。


 ゴブリンに気付かれないよう距離を取り追跡する。しばらくするとゴブリンの追いかけているものが分かった。ゴブリンが追いかけていたのは馬ではなくイノシシだった。


「簡単には見つからないか・・・」

 馬じゃなくて、食料調達してんのかい!期待外れに終わった。


 他を探そうと仲間に合図を送ろうと思った時、突如そこら中の茂みからゴブリンが獲物を追い立てる音が聞こえた。


 ハンドサインでみんなに木の陰に隠れるように指示を出し様子を伺う。


「あいつら結構な規模で囲い込み猟してんのか・・・ゴブリンの総数は目算で100近いな」

 まぁ、このまま帰る選択肢もあったのだが、運が悪いことに、いや良いことに追い込まれた先に毛並みの良い馬の集団も居たのだ。


「ゴブリン100なら、負けなくはないな」

 一人つぶやく


 でも数の暴力で来たら間違いが起こるかもしれない。どうするか迷っている間にも、追い込まれたゴブリンの食糧となる動物が狩られていく。モッチョ氏頼んで買ってもらうか、討伐して馬を勝ち取るか天秤にかける。もう答えは出たようなもんだ。ここがリアルであるなら安全な方を選ぶしかない。


「うん、モッチョ氏に買って・・・」

 言う前に遮られた


「レッド行こう!」

 ファッ!?俺は意味が分からず、みんなを見渡す。


 どうやら、みんな同意見らしい。でもな、数が多いの見えてんだろ?不安なんだよ。


「私たちを信じて!」

 やる気あり過ぎだろ・・・・誰一人戻る気は無い。いや俺だけは帰る気満々なのだが・・・。まぁ、最悪俺が犠牲になればいいか。


「分かった、行くぞ」

 みんなの目が戦闘モードになる。最近数が増えたと言っていたから、多分あれも居そうだなと思ったが言うのはやめよう。フラグになるかもしれないから。


いや・・・すでにフラグか・・・?


「作戦だ、と言っても簡単。俺とリティが引き付ける。リーズ、月花、ルルで範囲攻撃。シズクがゴブリンの進行速度を遅くする雨水を。ウッド、サーラは抜け出たやつを個別撃破だ。シズクと月花は忙しいと思うが、俺とリティのHP管理を頼む。2-2-3-1でルルが殿でバックアタックに注意してくれ。以上だ、何かあるか?」

 無いみたい。(タンク⇒近接⇒キャスター⇒レンジ)


「格下だからって油断するなよ。俺とリティが出来るだけ纏める。合図をするからそこに範囲を打ち込んでくれ」


「範囲で敵の数を出来るだけ減らしたい。ゴブリンは俺とリティが受け持ち纏めるまでサーラ達は攻撃しないでくれ。範囲魔法の合図は俺が出す」


 ゴブリンは海岸沿いに追い込まれた獲物を中心に半円を描いた陣形だ。纏めた方が範囲魔法で殲滅するのに効率が良い。であれば、動物と俺たちを結ぶ線、つまりゴブリンの背後から強襲し薙ぎ倒しつつ進撃し馬の前で陣取る。俺とリティの背後に馬が居れば安全だと思う。馬から攻撃されたら終わりだけどね。サーラ達は俺とリティに群がるゴブリンを背後から攻撃するため現地点で待機、少し遅れて進む指示をだす。


「リティ、行くぞ!俺のロブが戦闘開始だ」

 かの高名なタンクが、『俺のロブがカウントダウンだ。わかったな?』と言ったとか。何が言いたいのかといえば、カッコよくない?ただ言ってみたかったのです、ハイ・・・。


「レッドさんの足を引っ張らないよう頑張ります」


「お前がそれ言うか?俺はリティに負けないようするのに必死だわ」

 2人で笑う。


 ゴブリンたちが俺たちの射程距離になるころには、お互い笑顔ではなく獲物を狩る者の目になっていた。


のんびり書いていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ