寝なくても大丈夫! これって?
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「パパァー」
あぁ、これ、いつものやつだ。そして、いつものように涙を流しながら目覚め仕事に行く準備をしようとして違和感。
「マジか、コンティニューだわ・・・」
詰んでいるのにどうしろと・・・
俺を施設に連れて行ってくれたギドさんに聞いた話だと、この施設では食事や勉強などが出来る。イメージとしては全寮制の学校。豊かな国ということで、成人までは無償で通うことができるとのこと。成人と言っても男女ともに16歳以上。こういう流れであるならば、まずは情報収集からか。俺は怪しまれないように色々なことをギドさんに聞いてみた。
情報収取の結果、色々と分かったことは以下
国名:グラス
街名:ヨルダ
学校名:グラス・ヨルダ学園
在籍人数:教師含め22名(定員100名)ほど(同級生と思われる人数3名)
冒険者になるには成人以降、その他就職斡旋
まず国名は知らん。俺の知っている国はザイドで、たしかこの町はミズールだったよね?それに学校なんてなかったはずだ。町の細かい部分は覚えていないが凡その配置は知っている。おかしい・・違和感があったが、どうしようもないので考えることをやめて楽しむことにした。まだ夢かもしれないし!
それから夢からは覚めることなく9年が過ぎた。この時点で、もう夢ではないと気付いた。ってゆーか3日目に指切ったときから気付いてましたよ。すごく痛いのに目が覚めないからね。リアル47才から40才若返って9年過ごし16才。若いっていいよね、疲れ知らずだもん。リアルでは30過ぎたあたりから徹夜が辛くなってきてたからねぇ・・・
学校で生活しつつ色々と情報は集めたが帰還方法は分からないし、そもそもこっちが現実なんじゃ、とか色々と考えたが早々に諦め冒険者になる選択をした。どのみち、冒険者以外の職業を選ぶつもりも無いというか、俺の知っているMMOであれば知識フル動員で無双出来ると思っていたからだ。
そうと決まれば切り替えは速いのだ。うだうだ考えて無駄な時間を過ごすくらいなら、今後の事を考えて自分にとって楽しいことを考えるほうが精神衛生上よいのである。
それと、この世界での仲間の重要さも知っているので抜かりなく同級生を巻き込んだ。何故かって?もちろん皆可愛かったからという不純な動機もありますが、それ以外にも理由はあるのだけれど、それはまた今度。
まず、俺はMMO時代にタンク職メインだったので剣士を選択した。剣士をLv30まで上げることによってナイトにジョブチェンジが出来るからだ。
レッド:剣士 Lv15
シズク:巫女 Lv15
サーラ:モンク Lv15
ルル:弓使い Lv15
俺以外の3人は、国王の命を受けた魔物討伐遠征隊が任務途中に保護した孤児だった。魔物討伐遠征隊と言っても各国に所属する冒険者ギルドの高ランク者を国が雇って派遣している。戦争状態の国は無いので、もっぱらの脅威と言えば魔物で特に首都から離れた町や村が襲われやすかった。
それと、9年の中で調べてわかったことは、俺の知っている世界は障壁の先にあるっポイ。ポイ、とは記録になかったのだ。俺の知っている方角にその壁のようなものがあったので、確認したところ、その先に何があるか分かっていないという回答だったのだ。
なぜなら、その障壁には毒やらドレインやらデバフが付いたり方角もわからなくなるようで進めないらしい。国が抱え込んでいる高ランクの冒険者ですら1m入っただけで瀕死の状態になるとの事であった。
この世界には俺が現在いるグラス国を含め5か国あり、人族の国グラス、エルフの国メルム、獣人の国バンドー、ドワーフの国ガイア、ホビットの国ランドが障壁を囲んでいる。簡単に言うと障壁を5か国がドーナツ状に囲んでいる。
とまぁ話がそれたが、俺を含めた4人の直近の目標はLv18である。何故かというと、最初のダンジョンの推奨Lvが16だからだ。自称スーパーライトプレイヤーの俺は堅実派なのです。
元々廃人プレイヤーだったが、死んだら蘇生出来るのか不明で、シズクが蘇生魔法を覚えていないのだ。魔法は存在するので生き返れることが出来ると思うのだが不安でしょ?今は冒険者ギルドの依頼をこなし、小銭を稼ぎつつ生活するというルーチンです。当然冒険者ギルドのランクはS~Fの中の最下位Fである。良いんです、チート無くても十分生きていけます!
「なぁレッド、もう少し稼げる仕事うけない?」
と、日に焼けた褐色肌のサーラが言う。サーラは人族だ。
「んーでもな、痛いの嫌だし事故もあるかもしれないし、もう少しやらせてくれ」
「いやいやいや、同期の冒険者がランク上げてるの知ってるでしょ!」
語気が強くなる。すごくかわいいのだがツンしか持っていない・・・最終的には俺についてきてくれるのに、いつも反対してくる。必ずしも俺が正しいとは限らないので助かるのですがね。デレがあればストライクっす。
「それにシズクとルルはどうなんだ?もっと上に行きたいだろ?」
サーラに話を振られた二人は
「わたしはレッくんに着いていくって決めたから・・・」
小さな声でシズクが答える。シズクも人族だ。サーラに負けないくらい可愛い。サーラが運動部ならシズクは文化部みたいな。歳は一緒だが妹みたいで守ってあげたくなる感じだ。
「うちは何でもイイにゃ」
能天気に答えるルル。猫耳の獣人だ。猫好きな俺にはたまらない!獣人といっても、耳と尻尾以外は人族と同じであった。
「あーもう、2人に聞いた私が悪かった。でも装備の更新もしなきゃね、と思って・・」
「どうした?頬が赤いぞ、調子悪いのか」
「ち、ちょっと暑いだけ、大丈夫よ」
(もぅ、なんで私はレッ君に絡んじゃうんだろなぁ。最初に会った時から何でもできるレッ君がまぶしくて憧れて一緒に遊びたいのに、いつも周りには人が集まっていて遊べなくて、レッ君が話しかけてくれたときとか、すごくうれしいんだけど真逆な対応しちゃうし・・・アタシのバカバカバカァー。ほんとはデレデレしたいのよ!)
「そうか、体調が悪いのかと思って心配したよ。装備については俺にまかしてくれないか?考えがあるんだ」
サーラはしっかり者だ。適切な意見をくれる。
「本当に?でもまぁ私たちはレッドに着いていくって決めたし、信じることにする」
3人が目配せする。
「そう言ってもらえると助かる。ありがとう」
そして2週間ほどのルーチンワークが終わるころにLv18に到達した。楽しかったですよ。この世界に来てMMOの知識総動員で採集、製作職も並行して上げていたのです。もちろん皆には内緒ですが。
それに気づいたこともあった。生身で来ているのに、睡眠は無くてもほぼ大丈夫だった。そもそもMMOではキャラを寝かせずレベル上げやってたしなぁ~。でも最初来たときは眠たかったんだけど、体が順応したのか今は寝なくても全然大丈夫・・・不思議だ。この辺りは後々考えることにしよう。この寝なくても良いことをチートと捉えますかね・・・ってゆうかもっと凄いのあれば良かったな。たとえば勇者のギガ〇トラッシュとか隕石落としメテ〇の魔法とかね。でもこの世界ではそんな技は実装されてなかったから使えないのは知ってる・・いや分からないぞ、すでに俺の知っているMMOでは無いところにいるからな。まぁきちんとレベル上げて攻略していけば死ぬことはないし、エンドコンテンツ行かない限り大丈夫なはず。寝ないで良いというのはきっとすごいアドバンテージになるはず、と思いたい。
そんなこんなで素材を自分で採集し、製作職で加工し、マーケットで売る。基本ですね。この調子で行けば所持金カンスト目指せるなと。まぁすべての戦闘系ジョブをカンストさせるのが先ですが。
初のダンジョン攻略を明日に控え皆を集めてミーティングすることになった。集めてといったが、皆で借りている部屋なので夕食後そのまま話を始めた。
「みんな疲れているところ悪いね。明日のダンジョンに備えて渡すものがるんだ」
皆の視線が俺に集まる。そこで俺のアイテムボックスから全員の装備を出した。
「レッド・・・それどうしたんだ・・・」
サーラが絶句、シズクとルルも同様。
「ん?これ?つくったよ?」
「作ったっていうレベルじゃないでしょ!今なら間に合うから謝って返してきて!」
「ん、なんで?」
いい反応だ!これだよ、これ。こっそり作って皆にあげて喜ばれる感じ。心の中でガッツポーズ
「いやいやいや、これ全部ハイクオリティ品じゃない!」
「だね、それに盗んでもないよ?ほんとに作ったんだよ」
ハイクオリティ装備が作れるようになったのは昨日の事だった。ギリギリ間に合ってよかったよ。予備に沢山作ったものは昨日の時点でマケに流したので今後お金が入ってくるのが楽しみだ。
そういや俺がやってたMMO、攻略終わって次のアプデ来るまで戦闘そっちのけでギャザクラしかしてなかったなぁ。マケを見て流れを読んで、買い占めたりして荒稼ぎもした!その結果所持金カンストしてサブキャラもカンストしたっけ。
9999億9999万9999G×2+チームハウス宝物庫(総額不明)
うん、後悔はない。しかし使い道もなかった。あの時の俺たちのチーム拠点がこの世界にあれば、金の心配しないで豪遊して遊んで暮らせたのに・・・。無いものねだりはやめるか。
「だね、じゃないでしょ。作れるわけないじゃない」
この世界の装備ランクは
標準→高品質→アンコモン→レア→壁→レジェンド→?????→????
レジェンドまでは製作職で作れるのはMMOで経験済み。だが俺の知っているMMOでレジェンド以降は実装されていなかった。スキンされているということは先があるのだろう。これもカンストしてから考えることにしよう。
生活していかなければいけないのでお金はいくらあっても足らない。何故かって?将来豪遊するためですよ。クルーザーとか飛行船とかあるでしょ!こちらの世界では使い道が山ほどありそうなのだから。
「銘みて。」
まだ信じてくれない皆に製作者の名前が刻まれている部分を確認してもらう。
「はぁ、銘見てって。そうだね、それがいちば・・・」
一同絶句・・・デジャヴかよ。
この世界では製作した物に製作者の銘が勝手に入るシステムになっている。
「ふぅー。そうだねレッドはいつもそうだったね。私達の知らない事を平然と知っていたり常識では考えられない事ばっかりだったね。」
「わたしはレッ君を信じているから」
消え入りそうな声でシズクが。
(うんうん可愛いーよシズク)
「ついていくにゃー」
能天気ちゃんらしい回答。ま、ルルも色々とあるのだろうが可愛いからok。
「ま、とりあえず納得してもらえたところで装備品の調整がしたいんだけど」
納得してくれたら皆の動きは速い。防具に関しては体の動きが阻害されないように、武器は持ちやすさとバランス調整を確認してもらい再調整を行った。再調整中は各々自由に過ごしていた。サーラはアタッカーだけあって筋トレ、シズクは瞑想、ルルも瞑想しているかと思ったら寝ているようだ・・・いいのかそれで?。
夕食後から調整を始めて終わったのは0時を回ったところだった。皆はすでに寝ていた。俺も明日の初ダンジョンが楽しみでしょうがない。あとは日課の製作、採集のレベル上げを少しだけやって早めに横になることにした。
誤字脱字読みづらい等あるかと思いますがお許しください。