商談ですよ!?
19
目が覚め時計を確認すると昼を回っていた。高級な酒だったからなのか、二日酔いになってはいなかった。昨夜は果物しか食べていなかったので、何かお腹に入れようとダイニングへ向かうと全員集合していた。
「みんな、おはよう」
何か疑いの目で全員が俺を見ている。ウッドだけが俺に助けを求める顔をしていた。
「あれ?何かあったの?」
もちろんそんなことで動揺する俺では無く、何事も無かったの様に振る舞う。
「兄貴ぃ、助けて下さいっす」
ん?なぜウッドが?
「昨日、兄貴が酒の匂いをプンプンさせて帰ってきたから、みんな浮気だとか女遊びしているとか妄想が爆発してるっす」
はぁ?だからどうしてウッドが?
「それで、みんなが俺に、何でついて行って監視しなかったんだって俺に言うっす。何か俺が悪いみたいな流れになっていて困ってるっす」
はいはい。そういう事ね。
「みんな、何か誤解があるみたいだけど、昨日は商談があったんだよ」
嘘ではない。
・・・・・。
まだ疑っているようだ。現時点では明かしたくはなかったが背に腹は代えられんのでモッチョ氏の名前出すか。
「みんなモッチョ商会って知ってるか?」
どうやらみんな知っているようで頷いてくれる。
「そこの社長と昨日内密に話があって、今後について相談していたんだよ」
ウッドには家購入の夢も話していたので納得した顔をしていた。
しつこい様だが嘘は言っていない。
「今後の話をしていただけで、みんなが心配するようなことはないよ」
大事な事なのでもう一度。嘘は言っていません。一応情報収集はしたわけだし・・・ね。
「兄貴、俺も皆にそう言ってたんス。だけどみんなが信じてくれなかったっス」
どうやら俺の援護射撃によりウッドが息を吹き返したようだ。
「ウッドちゃん、それは違うわよ。私達はいつもレッドさんを信じています!」
「うっ、リティ姉。だってさっき・・・」
「ウッドちゃん?」
リティスの声のトーンがおちた。
「そうでしたっす!みんな信じてたっす」
お前って・・・可哀想。
「私はいつもレッくんを信じているから」
「わたしもよ。」
「わたしもにゃ」
「だってみんな、さっき俺の事フルボッコ・・・」
女子組みんなの威圧でウッドが轟沈した。
「よかったよ、疑いが晴れて。今度みんなにモッチョ氏を紹介するよ」
さてと、雰囲気も戻ったと事だしボロが出る前に話を変えよう。
「で、今後の予定なんだけど、今日含めて3日お休みで自由行動。ただしウッドは俺と装備製作の手伝いな?」
「わかったっス」
ウッドは喜んでいたが女子組が不満のようです。
「この街出る前に少し稼いでおきたいからな。4日目は北部の方へ遠足に行こう!」
俺の提案で女子組の顔が明るくなった。どうやら不満は解消されたようです。
「長旅になるかもしれないから、3日あるので色々と準備をしておくように」
「「「「「「はーい」」」」」」
「兄貴、遠足って何しに行くんすか?」
良い質問だ。
「あれだよ、移動に歩きだと疲れるじゃん?だから馬を買おうと思ったんだけど、モッチョ氏が良質な馬が北部に生息するから、捕獲した方が良いですよって言うからさ、みんなも馬欲しいよな?」
「「「「ほしーー!!」」」」
「途中の町や村で宿を取る予定だけど、野営の準備も忘れないようにな?」
みんな頷く。
「これから、俺とウッドは工房へ行く。みんなは買い出しとか頼むな。アイテムボックスに入れとけば腐らないから多少買い過ぎなくらいでもいいぞ」
そう言って、ウッドと一緒に外へ出る。
「兄貴、貸し一っすよ?」
こ、こいつ何を・・・・
「え、俺嘘言ってないぞ?」
「駄目っす。俺には分かるっす」
「え、なにが?」
「俺も男っす。なんとなくわかるっす」
意外と鋭いな・・・・
「わかったよ。次は一緒に行くか!」
「あざーーーっす」
嬉しそうだ。
嬉しそうな顔を見ると俺も嬉しい。毎日こうやって楽しく暮らしたい。
私事ですがネットが繋がりました。
読んでくださる方に感謝です。
これからも、のんびり書いていきます。