緊張感なさすぎっすよ!
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見渡す限りの荒野に敵100万の軍勢。その奥の小高い丘にはベリアルが立っていた。対する俺達は総勢300数名。誰が見ても劣勢である。
「いや、100万の軍勢を近くで見ると凄いね」
「でもレッドはワクワクしているんでしょ?」
「そういうサーラも早く戦いたいって顔してるぜ」
「そんなにジロジロ見ないでよ、照れるでしょ」
「二人とも緊張感なさすぎっすよ!」
ウッドが間に入った。
「ごめんごめん。試したいことがいっぱいあるから、ついね」
荒涼とした大地に100万の軍勢と対峙するが不思議と恐怖はない。
「最大戦力展開!」
俺の掛け声と共に、各々ウォーホースや召喚獣、人形、精霊などすべての戦力を展開させた。一人当たり3体召喚するので総勢約1000となった。これも召喚するものによってまちまちだ。英霊の中でも三銃士を呼び出せば一人で5体となる。
「ルル、敵戦力の中心に到達したら合図を頼む!」
「了解にゃ!」
「みんな、ルルの合図で散開するぞ。気合入れていけよ!」
「「「「「「応!」」」」」」
(レオ行くぞ!)
(はぁ・・やるんですか?)
(はぁ、はこっちだよ。今やらないでいつやるんだよ!)
(えぇ分かりましたよ・・・フォームチェンジ!)
レオの姿が人型に変化する。それを見た旅団から驚きの声があがった。更にフォームチェンジしたレオがBFAを使い装備を装着すると、さらに驚きの声があがる。
(フフフ、これの為に神話級の防御重視のゴツゴツ装備を作ったのだ)
すき間なくすべてを覆う巨大な黄金の鎧の出で立ちに団員からは羨望の眼差しが送られた。そんな重装備だと動けないと心配されるでしょうが、重量はゴッド級よりも軽く、可動域に関しては柔軟な素材を使用しているので動きを阻害することは無かった。一瞬見た感じだとすべて繋がって置物の様に見えるがそうではないのだ。
敵陣を見るとベリアルが剣を振り上げていた。
「兄貴、あっちはこちら待ちの様っすよ」
どうやら待っていてくれたようだ。意外と紳士じゃん。
「待ってくれていたのは嬉しいが、容赦はしないぜ」
そう言って俺も剣を振り上げる。
(レオ君、分かっているよね?)
(本当に言わなきゃダメなんです?)
(もちろんです!)
(・・・分かりました。でも今回だけですよ)
(分かってくれればいいのです)
俺とベリアルはほぼ同時に剣を振り下ろし突撃の合図をした。
「行くぞーーー!」
「「「「「「「「「オォーーーー」」」」」」」」」
雲の旅団全員が突撃していく。
「レオ!」
「・・・・・ラーサー」
これが言いたかったのよ。分かる人には分かるんだけどね。
大地を砂煙りが舞う。
「接敵まで10秒、敵戦力中央まで残り5kmにゃ」
ルルが報告を入れてくる。
「カルロ!初めが肝心だぞ!ガツンといったれー!」
カルロにはっぱをかけた。
カルロは声を出さずに、俺が新調した神与作の斧を頭上で回転させ。それに答えた。
戦闘が始まるが俺達の進撃速度は変わらない。すべてをなぎ倒して進んでいく。
「敵戦力中央まで残り4kmにゃ」
問題なく進んでいく。
「レオ前方に弾幕だ。敵が集中しているから援護だ」
「ラーサー」
レオが両腕を前方につきだすと大きな手の指先から小型化した魔法手榴弾を前方へ連射した。前方で爆発が起こり集中していた敵戦力をかなり減らすことに成功した。
「敵戦力中央到達まで残り1kmにゃ」
各自が魔力を温存しつつ奮戦していった。
「敵戦力中心に到着にゃ!」
「各隊索敵、目標を申告後、散開!」
俺達の魔力を削ぐために用意された100万の軍勢だったが、総魔力の3%すら削られていなかった。カイン特性魔力手榴弾のおかげだった。開発当初より小型化が出来、容量もアップしたので威力も格段に上がったのだ。魔力を込める人によって効果は変わるが、これ一つで雑魚100体以上吹き飛ばすことが可能である。
「1番隊はそいつをやるぜぇ!」
カルロが指さすのは、プルソンだった。王クラスだが、今のカルロなら余裕を持って倒せるだろう。
「2番隊は・・・あいつにしましょうか」
ベイロンが指さすのは、アスモダイオスだ。みんな良い感じで王クラスを狙っていきますね。これも問題なくいけるでしょ。
各々標的を決め広がっていった。
「兄貴、俺達は何をやるっすか?」
「残り物には福があるって言うだろ。ここで状況把握に努めてくれ。場合によっては助っ人として援護してやってくれ」
「「「「「「了解」」」」」」
俺達はしばらく様子見することにした。俺も少しやりたいことがあったので、魔力を練り始める。
「兄貴が何かするようっす。俺達は状況把握に努め、邪魔をしてくる奴がいればそれの排除っすね」
「「「「「「了解!」」」」」」
のんびり書いていきます。




