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夜の蝶

18


 辺りを警戒しつつ路地裏に入りいつもの様に変装を済ませ、言われた通りモッチョ商会の裏口に向かった。時計は夜の10時まであと1分だった。


 10時と同時に扉が開きギッシ・・モッチョが出てきた。


「モッチョ氏、時間通りだな」


「ファング殿もぴったりですね。少々お待ちください。馬車を用意しますので」

 頷く。


 ほどなく馬車が来た。タクシー馬車と違ってやばい馬車が来た。装飾がヤバイ。金一色だ。


「目立ちすぎじゃね?」

 馬車に乗り込み一言。


「大丈夫です。店の特別専用出入り口から入りますので、ファング殿が見られる心配はありません」

 さすがモッチョ。


「すまんな、気を使わせてしまって」


「ファング殿の願いであれば」

 10分ほど揺られると馬車が止まった。窓を閉めていたので地理状況が全く分からなかった。Map機能を使えば分かるのだが、そこまでしなくていいでしょ。


「着いたようです。参りましょう」

 モッチョについて行くと案内された場所は個室のVIPルームだった。中からは外が見えるが、外からは中が見えない様になっていた。装飾は控えめだったが、値が張りそうなものばかりだと分かる。感心していると、10人ほどの美女がぞろぞろと入室。


 直感で分かった。ヤバイ人たちだと。鼻の下を伸ばしながら気が付かないうちに重要な情報を話してしまうというやつや。峰〇二子タイプといえば分かるだろう。


 不安な感じでモッチョ氏を見る。


「ファング殿、安心して下さい。この者たちの口の堅さは保障します」


「お、お、おう」

 やばい、緊張してきた。あっちの世界でもプロのお店って行ったことが無かったので初心者である。喉がカラカラだ。


「ドン〇リブラックラベルのシャンパンタワーとフルーツ盛り、生チョコ、ビーフジャーキーを」

 モッチョが慣れた感じでボーイさんに指示するとボーイさんが5人程現れシャンパンタワーを作り始めた。その間にフルーツ盛りを食べて喉を潤すことにした。


 準備が終わり、皆立ち上って俺を見ている。これは俺が何か言うやつか・・・


「今日は私の為に有難うございます。勉強させていただきます。」

 それと同時にシャンパンが注がれる。


「ロマ〇・コンティ10本と、ヘネ〇ー3本、フルーツ盛り追加で」

 モッチョが次の注文を入れている。


「ファング殿、シャンパンをどうぞ。」


「ありがと」

 こうなったら楽しむしかないな。イッキ飲みだ。うっま!5杯ほどイッキ、うっま!高い酒ってうまいのね。


 ワインも届き、チマチマ飲むのは面倒なのでジョッキでいくことにした。ヤバイ程うっま!これもうっま!


 良い感じで出来上がってきた。次はブランデーだ。ものすごく深い葡萄ジュースだな。

いや、うっっま!


 良い感じでアルコールが回ってきた。こうなると、宴会好きの俺は止まらない。お姉さん達に囲まれて良い気分で色々と話していたようである。


「あら、ファング様の瞳って綺麗ですわぁ」

「ほんと素敵、それにその赤髪も素敵ですぅ」


 俺は上機嫌だった。

(でしょでしょ?キャラクリの時こだわったんですよ!)

 何故か顔だけは元の顔という。まぁ自分で言うのもなんだけど、元の顔もそれなりに良いとは思うんだけど超絶イケメンではない。


・・・・・!!!


 一気に酔いが醒めた。いつの間にか仮面とフードを外していたようです。マジでアルコールと百戦錬磨のお姉さんの話術恐るべし。


 諦めた顔でモッチョを見る。


「ファング殿安心して下さい。ここでの事は誰も口外しません。私も初めて素顔を拝見しましたが、その吸い込まれそうな金色の瞳。以前ファング殿を視た私の直感は間違っていなかったと更に実感できました」


「これ目立つから、街で会っても知らない振りをしてくれよ?」

 MMO時代は、そこら中に居たんだけどね。普通の人で金色の瞳って居ないもんね。暗闇で会うと若干輝いて見えるから怖いし、目立つし。とりあえずカラコン作るか。


「私の里で、その様な瞳をした人の話を聞いたことがありますわ」

 エルフのお姉さんが言ってきた。


「それってエルフが沢山住んでいるところ?」


「そうです。私の曾祖母が言っていました。たしか障壁の向こうの大陸に、そのような瞳の人たちが居たと。曾祖母もまた曾祖母から聞いたとかで信じていなかったのですが、本当に居たなんて。」


「へぇ、じゃあ障壁の向こうに大陸があるって事?」


「それは分かりません」


「ふーん、いつかお姉さんの里に行ってみたいけど、普通の人が入れたりします?」


「エルフ以外の居住は無理かもしれませんが、入るだけなら可能かと思います。私も里を出て200年経ちますので。」

 200年経ってその美貌かい!人族がうらやむわけだよ。


「その時は宜しくね。」


「はい、ご案内させていただきますわぁ」


「モッチョ氏、今日は良い勉強をさせてもらったよ。酒は飲んでも飲まれるな、だな」


「そのようで」

 笑ってる。ギッシュのくせに・・・でも良い奴だ。


「ファング殿、このまま中級行きますか?それとも上級?」

 美女10人と、か?・・・行きたい!けど、『そこに愛はあるのかい?』と天使が語りかけてくる。『色々困ってたんなら楽しんだ方が良いと思うぜ』と悪魔が囁く。


「この奥に特別ルームがあるので、すぐ行けますよ?」

 モッチョ氏悪魔か!


「いや、今日は止めておきますよ。とてもいい勉強をさせていただいたので」

 天使が、いや、サーラやシズク、ルル達が脳裏に浮かんだ。それが答えだった。


「そうですか。では今日はお開きにしましょう。またお声を掛けて頂ければ、すぐにセッティング致しますので」


「モッチョ氏、ありがとう」


 モッチョ商会まで送ってもらい帰路についた。


「そういや会計やばそうだよな。あのワインとか1本100万以上するんじゃね?奢りだったからジョッキで飲んだけど」

 と呟き、もう少し頑張って商品卸してあげようと決意した。ギブアンドテイクだよね。


 宿屋に到着して、酒臭いので誰にも会わない様に、そっと部屋に戻りそのまま眠ることにした。


のんびり書いていきます。

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