禁断の・・
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俺達はスカウト隊と分かれ駐留場所へ行ってブルーシートに座り一息ついた。そして、お茶を飲み落ち着いたあとモッチョ氏に連絡を入れる。
(あ~もしもし、モッチョ氏聞こえますか?)
(はいはい、聞こえますよ)
(そっちに終了報告に行こうと思うんだけど、行って良いのかな?)
(えぇっと少々お待ちください、すぐに確認致しますので)
モッチョ氏がナーガ王、ユリア姫、アスタロト王、アンラ・マンユ女王へ確認を取る。作戦開始から2時間と経過していなかった為、協議は継続して行われていた。
(レッド殿、確認しました。来ていただいて大丈夫です)
(お、良いの?じゃ行くよ)
(承知しました。お待ちしております)
「モッチョ氏から謁見の許可が出たので行ってくるね」
皆に説明し城に向かう準備をする。
ひとまず戦闘は終わっているので、ラフな格好に着替えた。えぇ、パーカーにジャージですよ。不謹慎と言われても良いです。文句言われたらパーカーとジャージに防御力持たせて装備ですって言い切るので問題なし!
会議室の扉の前にはアリシアが居た。その隣にはリボースもいる。相変わらず仲の良い兄妹だな。いや、ちょっと待て・・・知らない人がみたら恋人同士に見えるんじゃ・・・そう思いリボースにそのことを告げた。
「ただの仲の良い兄妹ですよ。な、そうだろアリシア?」
そう言われたアリシアは・・・・・顔が真っ赤である。こ・・・これは・・・
「別に兄妹で愛し合ってはいけないという法律はここにはありませんわ、お兄様」
おっと・・アリシアさん言っちゃいましたよ。
「アリシア・・なんてことを言っているんだyo」
アリシアはリボースが動揺して答えるのを見て楽しそうに言った。
「うふふ、嘘よ、お兄様」
だが・・・俺には分かる、アリシアは本気だ。何故なら目が笑っていなかったのだ。
まぁ俺は知らなかったことにしておこう。何かあったらモッチョ氏に任せることに決めた。モッチョ氏なら悪い方へ持っていくことはしないだろう。
その後アリシアが立ち上がり扉をノックした。
「失礼します。レッド様が参られました」
「中に入ってもらってくれ」
声から判断するとナーガであろう。
確認を終えたアリシアが扉を開け、中に通してくれた。リボースはまだ動揺しているようだった。こういう時の男ってだらしないよなと人ごとの様に思ってしまった俺がいる。俺も人のこと言えませんけどね。
「レッドよ、よくぞ無事に戻った。此度の働き大義である」
ナーガのくせに偉そうに言ってきたが、王なのでしょうがないのかなと・・・
「えぇまぁ・・・今回討伐したのは爵位:王のガープだったよ。旅団員にけが人は出たが死者は出ていない。その他推測だが分かったことも話した方が良いか?」
ガープと聞いた時点でモッチョ氏以外が動揺していた。ソロモンの悪魔の中でもガープは上位に位置する悪魔だったのだ。
「今後の事もあるので詳細に話してくれるか」
「ククク、そうですね、国家運営に支障をきたすかもしれませんので聞きたいところです」
「わらわも、聞きたい。これ以上庭園を破壊されたく無いからな。それにしてもそなたは変わった服を着ておるな。わらわはその服に興味がある」
「アンラ・マンユ女王と同じく私も知りたいです」
ナーガ、アスタロト、アンラ・マンユ、ユリアが答えた。
「私は心配しておりませんので聞かなくて大丈夫ですが」
いや、モッチョ氏!そこは聞きましょうだろ、と思ったがモッチョ氏らしいと言えばらしいな。
二人の女性は俺の服装に興味があったようだ。しかし露出の多いアンラ・マンユ女王がこれを着てしまったら嘆く男子が多いと思ったので、防御力を付与したビキニアーマーとタンクトップとホットパンツを試作品として渡すことにした。
(イレーヌ、レッド様は肌が見える服装が好みの様ね)
(そのようですねセリーヌ姉さん。これは私達だけの秘密にしておきましょう)
(えぇ、これで女子組を出し抜けるかもしれませんわ)
この時、レッドは二人の姉妹がこんなことを考えていたなんてことは知りもしなかった。
その後、アークに空間転移してもらってからの行動を詳細に報告した。
「ククク、私はガープよりもあなたに脅威を感じますね」
「わらわも同意じゃ」
アスタロトとアンラ・マンユだ。
「しかし、レッドが対応してくれなかったらアンラ・マンユ国は無くなっていたかもしれんぞ」
ナーガが二人に答えた。
「ククク、それは分かっていますよ。問題は赤いアクマ・・失敬、レッド殿と旅団をナーガ国が占有していることに危機感を覚えるという事です」
「アスタロトに同意じゃ」
「であれば、どうすると言うのじゃ?」
ナーガが二人に問う。
「ククク、簡単な事です。私達の国にも旅団の大使館を建設し、常に旅団員がいる状況を作ってもらえれば良いのですから」
「その通りじゃ」
それを聞いたナーガは渋い顔をしていた。
「レッド殿が良いというかは分からn・・」
「一等地くれるなら良いよ。しかも治外法権付きだからね」
ナーガが答えきる前に答えた。
それを聞いたナーガは驚き、アスタロトとアンラ・マンユは喜んだ・・ように見えた。
「ククク、では決まりですね。これも条約に織り込みましょう」
アスタロトは勝ち誇ったように答えた。
「貴殿たちは知ることになるぞ・・・レッド殿の強欲さをな」
ナーガが苦し紛れに答えた。
強欲だなんて失敬な。ちょっと一等地を沢山くれって言っただけじゃん。
まぁこれで各都市に豪邸を立てるという夢に一歩近づいたことになる。フィフスの各都市に豪邸を建てるには、都市再建計画を提出して土地の確保から始めないといけないし、立ち退きとか面倒ごとが増えるので後回し。最悪気に入った豪邸を買えばいいでしょうと。それに引き替え、こちらは更地なのでやりたい放題だ。
問題は人員の分散による戦力低下だな。これは面倒なのでモッチョ氏に任せよう。
「じゃ、そういうことで俺は失礼するよ」
そう言って立ち上がり、もう一つお願いすることがあったので座り直した。
「あと神樹を開放させてくれ、以上!」
返答は聞かない。いやでも開放することに決めていたのだ。
「儂は関係ないので良いが、それとは別にレッド殿、先程言いかけていた推測の話が聞けていないが?」
ナーガが引き留めるように言ってきた。言われてみれば話してなかったので話すことにした。簡潔にね。
「あぁゴメン。多分なんだけど、ソロモンの悪魔に現時点はっきりとした自我が芽生えている奴はいないと思う。だが今後そうだとは限らないので早急に対応した方が良いかな」
俺がそう言うと、魔王連中が黙ってしまった。自分たちが自我に目覚めた状況を思い出しているのだろう。
俺は言うだけ言ってそそくさと会議室を後にした。早速カインの所へ行って大豪邸建設の話をしなければ。ただで土地が手に入って大収穫だ。
のんびり書いていきます。




