ソロモンとは
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「シズク、何が見えたんだ」
俺はシズクが千里眼で見たものを聞いた。
「とても・・・とても強い魔族・・いえ悪魔・・・ソロモンの・・」
シズクが警戒するほどの悪魔・・・・そしてソロモンといえば・・・
「こちらにも向かっているのか?」
シズクが首を振る。そして2番隊が戦っている方角を見た。
「アンラ・マンユ国か・・・。ベイロン達は無事なのか?」
「まだ、大丈夫。でも動き出す。彼らが危ない」
ソロモンの悪魔だったら、ベイロン達だけでは対処できない。俺は急ぎモッチョ氏に連絡を入れた。
(モッチョ氏、緊急事態だ!やばいやつらが来ている。ナーガ達にも伝えてくれ。ソロモンと言えば分かるはずだ)
(承知しました)
「ナーガ王、アスタロト王、アンラ・マンユ女王、ユリア姫お話し中申し訳ありません。レッド殿から緊急を要するメッセージを受け取りました。ソロモンと伝えてくれと」
モッチョ氏が3人の魔王とユリア姫の会話に割り込み、レッドからのメッセージを伝えた。
「モッチョ大統領、レッド殿はソロモンと言ったのだな?間違いではないのであろうな」
ナーガ王が緊張した顔でモッチョ氏に聞き返した。
アスタロト、アンラ・マンユ、ユリア姫共に先程までの余裕などなくなっていた。
「えぇ、そのように伝えれば分かると。ソロモンとは何なのですか?」
モッチョ氏はナーガ王にソロモンについて聞くことにした。レッド殿が焦るほどの脅威とは何なのか、知っておく必要があると思ったのだ。
「ふむ・・・知らなくて当然よな。ソロモンとは、どこぞの王の名だ。太古に、こことは違う世界のソロモンという王が72体の悪魔を召喚したのだ。その72体の悪魔をソロモンの悪魔と言っておるのじゃ」
「それは分かりました。でも何故そこまで警戒するのですか?」
モッチョ氏はそこまで心配するほどでもないだろうと思っていた。
「モッチョ大統領が知らぬのも無理はない。ベリアルを除く71人の悪魔は地上には出てきていなかったのじゃ。彼らだけではなく、Lv100を超える魔族などはすべて地下迷宮やインスタンスダンジョンから出てくることが無かったのじゃ。もし彼らが出てきていたら、ここにいる者たちすべて消されていたじゃろうて」
そこまで聞き、モッチョ氏も事の重大さが分かってきた。
(確か昔レッド殿が言っていましたね。100人以上で戦わないと勝てない敵がいるって・・・)
「それで、ソロモンの悪魔は何処に現れたのじゃ?」
ナーガ王がモッチョ大統領に聞く。
「レッド殿の話だと、アンラ・マンユ国の様です」
「レッド殿はどうしたいと言っておるのじゃ?」
「いえ、何も。ただソロモンと伝えてくれとだけしか」
それを聞いたナーガ王はしばし考えこみ、その場にいる王たちに語り掛けた。
「ソロモンが出たとなると儂らだけではどうすることも出来ん。そこで儂は赤いアクマのレッド殿にすべて任せようと思うのじゃが、どうだろうか?」
「私はもとよりレッド様にすべて任せるつもりです」
ユリア姫が答える。
「ククク、仕方ありませんね。赤いアクマに頼るのも癪ですが、他に方法がありませんから」
アスタロト王も同意した。
「わらわも同意する」
アンラ・マンユ女王も答えた。
「では、モッチョ大統領よ、レッド殿に伝えてくれぬか。すべて貴殿に託すと」
ナーガ王がモッチョ大統領に伝えると、すぐさまレッド殿に連絡を入れた。
(レッド殿、聞こえますか?)
(おう、聞こえるよ)
(いま結論が出ました。我々はすべて雲の旅団を率いるあなたに一任することにしました)
(良いのか?)
(良いも何も、それしか生き残る道はありませんので。レッド殿にはご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします)
(了解、任されたよ。では、ここから戦闘終了までの間、軍の指揮権は俺が掌握するよ)
(もちろん、お願いします)
「よし、許可が下りたぞ!至急各隊の隊長は集まってくれ」
俺の周りに集結していた軍の隊長たちが集まってきた。
「ソロモンの悪魔について知っているか分からないが、まだどの悪魔が来ているかは不明だ。出来れば男爵位の者であってほしいと思っている。で、その対応にはレッド隊、フリーダム隊、ウィンド隊、3~5番隊が対応する。残りのスカウト組はアスタロト軍、アンラ・マンユ軍、ナーガ軍を守護しつつ、ここの守りを頼む」
事の重大さが分かっているとは思えなかったが、他の魔王軍から異論が出ることは無かった。ここで文句を言われても押し通したけどね。
爵位だが男爵⇒子爵⇒伯爵⇒侯爵⇒大公⇒王の順になっている。ベリアルは王だ。しかし現れたソロモンの悪魔はレイド用ボスなのでベリアルよりも下の爵位であっても強さはベリアルの比ではない。
「ちょっとぉ、対応するって言うけどアンラ・マンユ国まで行くのに時間がかかるけど、どうするのよぅ」
ティアが久しぶりにまともな発言をしてきた。
「あぁそれね、ちょっと待っててもらえるかな。先に他の事説明しちゃうから」
そう言ってティアを大人しくさせて続きを説明する。
「それで、悪魔との戦闘だが、移動後すぐに始まると思うのでタンク部隊は防御バフを張っておくように。ヒーラー部隊は負傷者の手当てを優先してくれ。2番隊と9番隊が危機に瀕しているかもしれない。その他作戦などはどの悪魔が来ているかの確認後指示を出すので先走らない様に」
戦闘が始まっているのに説明などしている余裕はないし、始まっていなかったとしても作戦タイムなど待ってくれる悪魔などいるわけがない。どちらも問答無用で攻撃するのみだ。
「「「「了解」」」」
ティアがずっと俺を見て説明を待っていたので説明しようとすると到着したようだった。
「レッドさん、お待たせしました」
その者を見た瞬間ティアにも分かったようだ。
のんびり書いていきます。
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