表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/238

ビンゴ

49


二人の魔王が徐々に人型の姿に変わっていく。アスタロトは神経質っぽく、常にイライラしている感じで髪はオールバックにしているいけ好かないリーマンのような姿に、アンラ・マンユは透き通るような白い肌に髪はブロンドロングでウェーブがかかり美の化身のようだった。その間、二人の後方では直立不動で微動だにしない軍隊が整列していた。


「久しいな、アスタロト、アンラよ」

ナーガが二人の魔王に語り掛けた。


「くくく、会うのは何年ぶりですかね」

「わらわは喉が渇いた。お茶にしませんこと」

一瞬だが俺を見た気がした。しかしそれ以降こちらを見ることはなかった。


「もう、護衛は必要ないであろう。城壁の外に駐留場所を設けておる。そちらへ移動願えるか」

ナーガがそう言うと、二人の魔王は配下に外へ出るように指示を出した。俺達もそれに合わせ外へ出ることにした。

外に出たのは良いけれど、やる事無いんだよねぇ。製作しても良いけど軍事機密を公に作るって言うのも問題あるし、さてどうしよう。

色々と考えた末に、お茶でも飲もうという事になったので各隊がブルーシートを広げて座り込んだ。

「今日はサーラお手製フロランタンだぞ!味わって食べろよ」

そう言うと、各隊の男子から歓声が上がった。サーラは雲の旅団の男子から絶大な人気を誇っていた。クラスにいる明るく誰にでも気さくに話しかける女子でしかも超絶美人という。旅団男子の6割がサーラ派だった。残りの4割はルル、リティス、月花、リーズに分かれていた。

え、シズクは?と思うだろうが、俺以外の男子とはほぼ話すことが無いため、見た目は超絶美人だが、スカウト組内では暗黙のルールで名前を出すのも控えられていた。しかし潜在的なファンは多いという事だ。

フリーダムとウィンド隊も俺達のブルーシートに座り一緒にお茶をするようだった。そしてリティス、クラリス、ミリアが紅茶の準備を始めたが、シャルロッタが慌ててミリアに代わってお茶の準備を始めた。流石にお茶を不味くするのは無理っしょ?とシャルロッタの方を見ると、「フェミリア様を甘く見ると死にますよ」見たいな顔をしていたので、再度肝に銘じることにした。

お茶の準備が終わり、フロランタンを頬張ろうとした時、背後に人が来るのを感じた。みんなも俺の後ろにやって来た者を見上げた。

「貴殿が、赤いアクマと呼ばれる御仁か?」

そう問いかけられたので俺は振り返り、そいつ等を見上げ答えた。


「そうらしいね。魔王から見るとアクマに見えるらしいけど、俺にはレッドって名があるんだ」


「これは、失礼、レッド殿。私はアスタロト親衛隊隊長のギザロと申します。以後お見知りおきを」

ギザロと名乗った者は兜を脇に抱え丁寧に自己紹介をしてきた。装備を見る限り騎士であろう。次に隣にいる女性が自己紹介を始めた。

「私はアンラ・マンユ親衛隊隊長ミーシャと言います。以後お見知りおきを」

ミーシャと名乗った者は肌の露出が多く、武器はチャクラムを持っていた。

丁寧にあいさつをしてきたので、礼には礼で返すため立ち上がり改めて名乗ることにした。


「俺はレッド。雲の旅団団長をやっている。ただの冒険者だ」

そう言って、二人をお茶に誘うことにした。魔王の配下の者たちは俺達と違い整列したまま待機するようだった。それはナーガの配下の者たちも同じだった。軍ってそういうものなんでしょ。冒険者でよかったと思いましたよ。


「では、お言葉に甘えて」

「わぁ、うれしい」

二人を加え談笑しながらお茶をしていると、話題はもっぱら戦闘の話になった。聞くところによると、どちらの親衛隊も常にランク戦が行われており隊長になるには強さを見せなければならないらしい。上位者へ6ヶ月に1度挑むことが出来、例えばランキング30位の者は28位の者に挑戦は出来るが27位の者には挑戦できない。2段階上の者にしか挑戦できないルールのようだ。


「そのランキング戦の勝敗はどうやって決めるんだ?審判は誰がやるんだ?」

俺は気になったことを聞くことにした。


「アンラ・マンユ国では分かりませんが、私達の国では審判はいません。負けを認めるかどちらかが死ぬまで戦います」

ギザロが答えると、ミーシャも同じだと答えた。

やっぱりね、そうだと思ったんだよ。力こそ正義だもんなぁ・・・


「へぇ~・・・・そうなんだ・・・。でもさ上位同士、例えば1位と2位が戦ってどっちかが死んだら、物凄く戦力ダウンにならない?」


「なんでそんなことを聞くの?弱い者が死ぬのは当たり前でしょ」

今度はミーシャが答え、ギザロが同意していた。

ユリア姫の心配していたことが的中したようだ。魔族に育てられ、考え方も魔族の考えに染まってしまっているようだった。力ある魔族は、死んでもそのうち復活するが、人間は死んだら終わりだ。誰かが蘇生してくれなければ、さようならなのだ。

更に話を聞くと、彼らは物心つく前から魔族に育てられ戦いの日々を過ごしたという。昨日の仲間は、今日の敵か・・・・しんどいな。国交を結ぶにも、これは何とかしないといけない。


そんなことを考えながら紅茶を飲んでいると1番隊カルロから連絡が入った。

(団長!ビンゴです)


やっぱり動いたか・・・


のんびり書いていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ