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社交辞令

44


カインが測量を始めたので、その間人手を集めるためにスカウト組の半数と、モッチョ氏に依頼して後方支援部隊から土木建築隊を見繕ってもらった。

FTも開通したことで、すぐに人手が集まった。あとは作るだけだ。

まず取り掛かったのが上下水道の構築だった。これは俺が以前からカインにお願いしていたウォシュレットを作るのに絶対だった。俺はシズクを伴い水源を探した。幸いなことに敷地内の地下に大きな地下水脈があったので水の問題は解消した。


生活排水はコテージの原理を応用して次元のはざまへポイ捨てすることにしたようだ。これであれば河川を汚染することは無くなるはずだが、時代が進めば異次元ポイ捨て禁止法が出てきそうである。問題は先送りすると碌なことが無いので、究極魔法の一つである超重力魔法のブラックホールを安定させる物をカインに研究するように指示しておくか。


3日ほどで地下に生活排水処理施設と研究室となる部屋を作り、4日目からは地上に家を建て始めた。規模は殴り込み隊の総数と客人合わせて1000人が宿泊できる大きさだった。これはLJ国迎賓館の3~4倍の規模だ。

「ちょっとカイン君良いかな?」


「レッドさん、どうしました?」

嬉々として、作業を指示していたカインが嬉しそうにこちらを見る。


「あのさ、規模デカすぎない?これ作っちゃうとナーガ城よりも良い物出来ちゃうんだけど・・・」


「安心して下さい。そこは配慮して3階建てで見た目は機能重視にして長方形で味気ないものとなっています。防御に関しても、すでに地下に結界装置を埋め込み済で、地上と建物全般素材にも組込み、以前よりも効果がアップしています。それとですね・・」

カインの説明が止まらない。


「いや、あのさ、要塞みたいなのが出来上がるのはよくわかったけどさ、ほら王様って体裁って気にするでしょ、ナーガ王が駄々こねると面倒じゃない?」


「そうなったら、城と繋げちゃいましょうよ。それならナーガ王も黙るんじゃないですかね」

何この子・・・怖い事言うようになったわ。城と繋げちゃえば、ある意味城の一部になるからね。連絡通路とか言う名目で繋げればいいか。まだクレームが来ていないから、問題が起きてから対応することにしよう。


何とか1週間で箱モノは出来上がった。あとは内装を整えるだけだったのでカインに任せ俺達はナーガの所へ向かうことにした。モッチョ氏とライラさん、フレサンジュさんは連日、ナーガのもとを訪れて色々な調整を行っていたようだ。俺達は、リボースの妹、アリシアさんに案内され、モッチョ氏とナーガが会議を行っている場所に案内された。


「あ、どうも。で、どうなった?」

俺が言うと、ナーガは呆れ顔で答えた。


「来て早々、開口一番それか。そなたには社交辞令というものが無いのか?」


「は?魔族のあんたに言われたくないわ!お互い初対面の時は問答無用で攻撃してきたことを忘れてんのか?」


「そのように言われると反論できんわい。だがの、王となった今、体裁というものがあってだな、もう少し敬ってくれても良いかなと」


「まぁまぁ、お二方。ここは私に免じて納めて下さい。宜しくお願いします」

モッチョ氏が頭を下げたことによって、俺とナーガは何も言えなくなってしまった。


「悪かったよ。で、他の魔王からの返事はどうなったのか教えてくれるか」


「儂も大人げなかったようじゃ。他の魔王からの返事じゃが、アンラ・マンユとアスタロトは会談には応じる旨を伝えてきたが、ベリアルだけは沈黙したままじゃ」

堕天使は沈黙か・・・・何を考えているんだ・・・まさかね・・・・。一つの回答に行き着いたが、今は目の前のことに集中することにした。


「会談の場所と日時はナーガの方で調整してくれるのか?」


「うむ、場所はここナーガ国で行い、日時は、そうじゃのう・・・半月後でどうじゃ?」


「そのくらいのお時間を頂ければ、事前に議案を準備しますので、明日にでも2魔王に送っていただけますか?」

モッチョ氏が提案するとナーガもこれに応じた。だが、堕天使がどう動くかという不安材料があった。


「その、議案なんだけど、俺が届けに行くよ。ベリアルの件もあるし、ナーガを信じていない訳じゃないんだけどな。あと俺が届けに行くことは伝えておいてくれ。戦闘になっても面倒なんでね」

狡猾なベリアルが何もしないとは言えなかった。議案の内容を改竄されても面倒なので俺が行く旨を伝えた。これにはモッチョ氏とナーガも賛同してくれ、会議は終わった。


「で、なんで私が留守番なワケ?」

「私も納得がいきませんわ」

ミリアとクラリスだった。


「本当は、道を知っている俺がササッと行こうと思ったんだけどね、おかしなことにレッド隊が俺の護衛をやるって言うんだよ、隊長の俺をね。それにフリーダムとウィンドも来ちゃうと大人数になるでしょ。だから今回はお留守番を頼むよ」

一度、死んじゃってるから、問答無用で一人旅は却下されてしまったのだ。


「では、私はその間休暇を頂きます」

「は、なにそれ。じゃぁ私も休暇取るわよ」

クラリスとミリアも諦めなかった。休暇中にたまたま一緒になった作戦であった。これには、フリーダムとウィンド隊の全員が有給休暇を取得申請してきた。結果、いつもと同じメンツでの旅になったのは言うまでもなかった。旅団員は基本有給休暇や休暇申請など必要無く休めるのだが、モッチョ商会にも属していたので建前上の手続きだった。


さてと、こうなってしまったら急いで行きますかね・・・・


のんびり書いていきます。

明日は投稿をお休みします。

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