長官って・・・
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その後、まるっきり聞いていなかったとは言えなかったので、次の標的についてそれとなく探りを入れてみた。
「でさ、モッチョ氏、ナーガとの国防については分かったけど、次はどうするんだ?」
「レッド殿、次とは?」
モッチョ氏ぃ、察しろよ。次にやっつける奴だよって顔をすると、やっとわかってくれたようでナーガにその件についてきりだした。
「ナーガ殿、私達は今後、東回りに魔王と戦う予定ですが、事前にナーガ殿から他の魔王に話し合いの場を設ける事を伝えて頂けませんか。それすらも拒否するようであれば、理由を聞いて下さい。筋の通らない理由であれば、ナーガ国LJ国と協議の上、最終的に宣戦布告という形を取りましょう。戦争はしないに越したことはありませんからね」
ナーガ国にはナーガ王によって保護された人間が共存していたので、他の国でも、その可能性が無いとは言い切れない。出来れば人類同士での戦いは避けたいところだ。
「承知した。貴殿らの申し入れを無視する魔王は居ないと思うがの。じゃが、条件などはどうするのじゃ?」
「はい、ナーガ国と同じく自治を認めます。ですが、人類に対する非道な行いは禁止とさせていただきますが、魔族への非道な行いも同じく禁止です。それと国家間の移動や、国籍の変更も認めます。これにより、国民が住みやすい国へ移住や国籍変更をすることによって、国家運営側が国民の流出を防ぐ努力義務が発生します。国民が居なければ国家は成り立ちませんからね。どの国も色々な政策を打ち出すでしょう。そして相乗効果によって、どの国も発展していくのではないかと思っています」
モッチョ氏の言うことは理想論だとして、国民が頻繁に国籍変更などしたら意味がないではないかとのナーガの指摘もあったが、国籍変更に期間を設けることで急激な人口の移動は減らせるとの事だった。国籍変更した場合5年は他の国へ国籍変更できないし、移籍前の国から優良国民の認定を貰うことを条件とした法律を設けるとのことだった。
要は愛される国作りをしていけば、国民が居なくなることは無いって事だ。
「私は、もしアストレムルのすべての国と協定が結ぶことが出来た暁には、レッド殿率いる雲の旅団をアストレムルの世界警察とし、レッド殿を世界警察初代長官に任命したいのです」
は?なにそれ、おいしいの?初耳だし、面倒な事この上無しなんだけど。モッチョ氏頼むから変なこと言うのやめてくれよと言おうとすると。
「うむ、儂もそれを考えていたのじゃ。赤いアクマであれば、逆らう魔族も、そうそういないしの」
てかナーガ!お前も乗ってくるのかよ!そんなことしたら冒険者じゃなくなるだろうが!自由時間が無くなるのが一番嫌なんだよ!助け舟を求め女子組の方を向くと、ミリアがニヤリ・・・嫌な予感がする。
「わたしは、それに賛成よ。そうすれば長官用の特別邸を建てて、いつも一緒にいられるからね。レッドさんとの蜜月・・・あぁ」
最後の方は聞かなかったことにしよう。
ミリアの発言に触発され、女子組から怒涛の賛成意見が出てきた。
・・・・君たち、先程まで一言も発さなかったのに、なぜここにきて・・・・・
「どうやら大勢は決したようじゃの。フフフ、お主の負けじゃ」
久しぶりの勝ち星にナーガが物凄く嬉しそうだった。思えば、ナーガに負けたのは実装初日の3回位だな。攻略法が分かってから300回以上は倒してるからな。ここまで言われて断るのは男が廃るし腹を決めることにした。
(レッド殿、心配しなくても大丈夫ですよ。要はレッド殿が長官だという事実が欲しいだけなので、お好きな事をなさってて結構ですので)
と、専用回線でモッチョ氏が言ってくれたので安心した。
魔族に対して俺は抑止力という立ち位置にいて欲しいだけだったようだ。
「分かったよ。今回は負けを認めるよ。それで、他の魔王にはいつ連絡を取ってくれるんだ?」
立ち直れば、やる事は山積みなのでナーガに確認を取る。
「そうだの、2~3日はこちらの内政で手一杯なので、それ以降になるが・・・」
「じゃ、1週間後にまた来るよ。で、お願いがあるんだけどさぁ聞いてくれる?」
ナーガの顔が曇る
「なんじゃ・・・嫌な予感しかしないがの・・・」
「大したことじゃないんだけど、城下の一等地を少し貰えないかな?」
「どの程度じゃ?」
「うーん・・・少し遠慮して15・・・いや20ヘクタールくらい?」
大体東京ドーム1個で4.7haだから4個分位だ。
「遠慮してそれか!むぅ、しかしそなたが近くに拠点を作ってくれるメリットを考えると、答えはイエスしかないのう・・・強引な奴じゃ」
俺が握手を求めると、ナーガもそれに応じてくれた。これによってフィフス大使館を・・・いや違うな、俺様大使館を・・・・うーんこれも違うな・・・・大使館ってのが気に入らないな。みんなの帰る家を建てる場所にするから雲の家に決定にしよう。尚この敷地内はナーガ国内であろうと治外法権が認められるので、俺が法律ということになるのか・・・・フフフ、勝ったな、などと先ほどの負けを帳消しにすることに成功し満足した。
「交渉成立だ。モッチョ氏、敷地の件について契約を交わしておいてね。じゃ、家建てるから、俺達はこれで失礼するよ」
そう言って、モッチョ氏とユリア夫妻、ライラさんとフレサンジュさんを残して退出した。ちゃっかりユリア姫の子供も俺達についてきた。
「バット、もう飛べるし分かるよな?」
「もちろんですよ。カインさんを連れてくるんですよね」
バットが嬉しそうに答える。
「頼めるか?それも急ぎなんだ」
FTしろよって声が聞こえそうだけど、カインの辛い顔がみたいn・・喜ぶ顔が見たいのだ。それにFTして勝手に城に入ったらまずいでしょ!
「では、急ぎカインさんを連れてきます!」
すぐさま9番隊が飛んでいった。
あいつら本当に早いな・・・
それを見て、少し確認したいことがあったのでレオに聞いてみることにした。
(レオさん、もしかして9番隊より遅いってわけないよね?)
(無論です。低く見積もっても私の方が1.01倍は速いです!)
(へ?それってほぼ一緒ってこと?)
(・・・・主よ、良く聞いて下さいね。仮に彼らが100km/hだしたとします。私は101km/hで行くことが出来ます。もしこれが1000km/hであれば私は1010km/hの速度で行くことが出来ます。更に彼らが3000km/h出したとしたら、わたしh・・・)
(ok,ok分かったよ。レオが一番速い!)
(分かっていただければ良いのです)
以外にレオが負けず嫌いだって事がよぉーく分かりましたとも・・・・
のんびり書いていきます。




