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脳筋

32


3日後、ユリア姫とデッドラインが戻ってきた。

「内容を確認するから時間をくれとのことです。調印場所は旧ザイド王国、現魔王ナーガ国首都で行いたいとの事よ」


「ユリアさん、デッドラインさん、お疲れ様でした。日時については、どなたか使者が来るのですか?」


「ナーガが私に直接連絡をいれますデスネ」


「そうですか。では連絡が来るまで気長に待ちましょうか。今日は避難民があちらに移動する日ですが、お二方も一緒に行きますか?」


「「良いのですか?oh行きたいデス」」


「もちろんです。避難民を近くの街まで送らなければなりませんので、そこまでですがね」


「ところであちらの世界は何という場所なのですか?」

ユリア姫が言って気が付いたが、こっちはアストレムルって名前があるけどあっちは何だろう?


「あ、それ俺も聞きたいな。モッチョ氏教えてくれ」


「・・・困りました。それが決まっていないのですよ。何か良い名前ありますかね?」


「なら、5国が治めているんだからフィフスで良いと思うわよぅ」

さっきまでお菓子を頬張っていたティアが急に発言した。


「ティアさん、それいいですよ!暫定ですがそれを採用しましょう」

モッチョ氏がえらく気に入ったようで採用となった。


「それならぁ、お菓子もっと出してくれても良いのよぉ」

モッチョ氏が慌ててライラさんに追加のお菓子の準備をするように指示した。


「モッチョ氏はティアに甘々だな・・・・。それとスカウト組を護衛につけるから大丈夫だとは思うけど気を付けてな!」


「レッド殿は行かないので?」


「俺達はこっちで留守番してるよ。あっちに行ってもやる事無いし。あ、ルルはどうする?」


「行かないにゃ」


「良いのか?」


「心配ご無用にゃ」


「という事なんで俺達は留守番してるよ。気を付けて行ってら!」

ほどなくして、モッチョ氏一行と避難民5万と500人程がフィフスへ旅立った。


「カインは行かなくて良かったのか?」


「えぇ、あちらでは新たな発見は無さそうですし、ロッドはモッチョさんに渡してあるので大丈夫でしょう」



避難民がヨルダの街に到着したのが出発から10日後だった。

「ここは、ミズール島に似ているわね」

ユリア姫がモッチョ氏に問いかける。


「えぇ、アストレムルを脱出した際、ミズール島に似たこの場所を最初の拠点にしたそうです」


「レッドさんは最初ここに来たのでしょう?」


「そうです、この街でレッド殿と出会いました。その時の気持ちは衝撃の一言でしたね」


「彼が、この街から障壁を見た時の気持ちはどんなものだったのかしらね」


「今思うと、中央にあるはずのものが無く、外郭に無いものがあったわけですからね・・・」

モッチョ氏と色々と話していると近付いてくる者がいた。


「モッチョ!久しぶり。どうだいこっちの空気は?」


「えぇ、久しぶりに来ると懐かしさを感じますが、少し息苦しい感じがしますね」


「そうか?俺には分かんないけどそんなもんか。で、その方は?」


「あぁ、紹介しますね。6000年前の大反攻作戦総大将のユリア・デューラーさんです」


「ん?モッチョ、頭打ったのか?6000年前の人間が生きているわけないだろ」


「色々あるんですよ。それは追々ね。ユリアさん、彼がバンドー国王のマーベア・オーウェンです」


「初めまして、ユリアです。オーウェン・・・・もしかして隻腕の大剣使いマッシュの?」


「うぉい、なんで知っているんだよ!」


「ですから言いましたよね。彼女が総大将ですって」


「マジか・・・」


「フフッ、マッシュには色々とお世話になりましたわ。恩返しとまではいきませんが、あなたに稽古をつけても良いですわよ。見たところ、かなり弱そうなので」


「あぁ?言ったな!これでも俺はレッドと一緒に戦ったことがあるんだよ。あんまり舐めてると、姫様でも容赦しねーぞ」


「あら、一緒にではなく、ついて行っただけでしょう?あの方と肩を並べるなど、あなたには無理ですわよ」


「ぐぬぬぬぬ、たしかに肩は並べられなかったが・・・・。良いだろう、ギルドの練武場で稽古をつけてもらおうじゃねーか!」


「まったくお二方・・・・。これだから脳筋は・・・・」


「「あぁ?・何ですって?」」

二人がモッチョを睨む


「いえいえ、では練武場の手配をしますね」

(ユリアさんの血を引く私も脳筋・・・いや私はどちらかと言えば頭脳派だよな・・・)


のんびり書いていきます。

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