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太古の聖女

23


(バット、聞こえるか?)

(はい、こちら9番隊バットです)

(首尾はどうだい?)

(はい、都市のマップは詳細まで記録しました。あと監視システムらしいガーゴイルの石像も記録してあります。そちらへ転送します)

(・・・来た来た。凄いじゃん、よくやってくれた。この石像動くな・・・)

(えぇ、間違いなく動きますね。多分これが人間狩りを行っているものと思われます)

(こちらの魔力を抑えておけば、石像に感知はされなさそうだな)

(ですが、何者かの意思を感じるので、見られていることは確かなようです)

(もちろん見られていないよな?)

(もちろんです。俺達は隠密がメインですので)

(住民はどんな感じだ?)

(街は至って普通です。ただ覇気がないというか、諦めムードが漂っているというか・・・)

(よくやってくれた。準備が終わるまで戻って休んでくれ)

((((((りょ))))))


「と言うことだ、みんな聞いたな。ユリア姫!次の人間狩りの時期はいつか分かるか?」


「確か今年かと思います・・・」


「だから諦めムードなのか・・・だとすると至急動かないと始まるかもしれないな。街の代表者は誰か知ってるか?」


「はい、中心にある役場に居ると思います」


「では、レッド隊はインビジブルをかけて役場へ、その他は人形で地下採掘跡の拡張を頼む」


「「「りょ」」」


「時間がないかもしれないからピッチを上げていくぞ!」

俺達は急ぎ役場へ向かった。街の様子は活気のない普通の街だった。住民は下を向いて歩いている。話ながら歩いているものなど皆無で、人通りは少なくなかったが、異様なほど静かであった。しばらく行くと役場が見えてきた。2階建の某スーパーのダ〇エー位の大きさだった。この街に入って初めて聞く大きな声がしたので、正面入り口から奥を覗くと、職員と思われる人と赤ん坊を抱えた母親が泣き叫んでいるのが見えた。


「裏から入りましょうか」

言われるがまま、ユリア姫について行った。中に入ると先程の母親の声が鮮明に聞こえる。


「どうかこの子を助けて下さい。今年の人間狩りから助けて下さい。代わりに私が行きますから、この子だけはお願いします!」


「落ち着いて下さい。私達も助けたいです。しかし、どうすればいいというのですか。誰の子供か、どこの生娘が攫われていくか分からないのです。助けようにも、行動に移せば殺されるだけです」


「9年の間、私の子供ばかり3人連れていかれました。そして今度も、また私の子供が連れ去られたら・・・・」

泣き崩れる母親に、何も出来ない職員。

俺はインビジブルの魔法を解き、母親の所へ向かう。


「可愛くて、元気な赤ちゃんだな。名前は?」


「ウゥ・・ウッ・・・エスカです」


「エスカちゃん、お兄さんが守ってあげまちゅよ」


「あなたは一体誰なんですか。勝手な事を言うと大変なことになりますよ!」


「あ、俺?レッドだけど。ここの偉い人と話がしたくて来たんだけど、どこにいるか知ってる?」


「私がそうです!レッドさんと言いましたね。私はここの所長をしているリボースと言います」


「じゃ、リボースさん後ろを見てくれる?」


「後ろって誰もいない・・・・あなたは・・・」

ユリア姫と仲間が姿を現した。

「すこし内緒話がしたいんだけど、良いかな?エスカちゃんのお母さんも一緒にね」


「分かりました、こちらへどうぞ」

リボースに案内され2階の応接間へ入り椅子に座った。


「お久しぶりです、太古の聖女様」


「フフフ、久しぶりね。10年ぶりかしら?」


「僕・・・いえ私が二十歳の時ですから丁度12年になりますね。で、今日はどのような要件でしょうか?」


「あら、忘れてしまったの?よく思い出してください」


「・・・・まさか!」


「ようやく思い出したのですね。そのまさかですよ」


「話が見えないんだけど?」

蚊帳の外っぽかったので一応言ってみた。


「あら、そうでしたわね。説明しますね」


「いえ、私から話させてください」

ユリア姫に確認を取った後、リボースが話し始めた。


のんびり書いていきます。

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