弟子
14
リティス達とダンジョン攻略を終えて外に出て時間を確認すると15時過ぎたあたりだった。途中、食事をして休憩も取ったことを考えても大分早かった。
キャンプへ向かうと、サーラ達が出迎えてくれた。
「ずいぶん早かったね」
「あぁ、明日サーラ達も見れば驚くと思うぞ」
「そんなに?」
「あぁ、そんなにだ」
俺も驚いていたが、当のリティス達も時計を見て驚いていたようだ。
「いつまでそこに居るつもりにゃ。お茶を入れたから話を聞きながらおやつタイムにゃ」
俺達がいつまでも立ち話をしていたので、しびれを切らしたルルが間に入る。。
「じゃお茶にしよっか。リティ達は装備を置いて行けよ?修繕するから」
ルルの提案に乗ることにした。
「兄貴、置いときますね。よろしくっス」
こういう時のウッドは速く、さっさとお茶している。リティ達もウッドにつづいた。俺もリティ達の装備の状態を確認してから急ぎお茶会に参加する。
「それにしてもリティ達は強いな。俺たちよりも攻略速度が速いって凄いな」
「兄貴の装備が良いからっすよ」
「そうですね、レッドさんのおかげです」
「ウッドもリティも勘違いしてるぞ。装備はきっかけだよ。お前たちの実力は凄いから自信を持てよ」
仲間が強くなるのは大歓迎。
「それで、みんなはこの先今のロールでいくのか?俺たちはこのままだが」
「はい、私たちもこのままで行くつもりです。」
「そうか、じゃぁこの先みんなの装備の方向もわかってきたかな。」
そう言って夕食までに装備の修理を終わらせるため席を立った。みんなも席を立とうとするがお茶タイムを続けるように言う。
一通り装備を確認しておいたが、防具にダメージの跡がほとんどなかったことが強さを証明していた。それならと、武器だけ修繕することにした。
「兄貴、見てていいっすか?」
「おお、構わないよ。でもお茶いいのか?」
「追い出されたっす。」
why?
「なんか夕食の準備を誰がするかの話から、兄貴の話に発展して、そこから序列がどうとか、聞き耳立ててたら追い出されたっす」
そうか・・・すまないウッドよ。何とかしてやりたいが、こればっかりはな・・・ん、待てよ!
「ウッド、シーフだし指先器用だよな?」
「まぁ、罠解除とかするんでそれなりっす」
「お前、細工やってみないか?」
「はぁ、俺に出来るっすか?めんどくさいの嫌っす」
こいつ・・・俺に似てメンドクサガーリだな・・・
「俺が教えるから出来る。それに儲かるぞ?」
「やるっす!!!師匠!」
わかりやすいな。
「じゃあ、まずは銅鉱石をインゴットに精製する作業からだな」
見本を見せることにした。簡易炉に鉱石を入れて粘土状にして取り出し、不純物を取り除くように。
打つべし打つべし。
これを数回。次に形を整えるように
打つべし打つべし。
カッパーインゴットの完成。
「簡単そうすね」
甘いぞ、ウッドよ。まぁ最初なので何も言わずに見ていることにした。
「できたっす!ってあれ?」
あれじゃねーよ!見事な劣化インゴットが出来上がってんじゃん。まぁ最初はこんなもんだよな。
「まず、炉に入れたとき、不純物を出すとき、形を整えるとき、すべてにお前の魔力を注ぐんだ。ただ、注ぐのではなく完成をイメージして注ぐことが重要だからな?」
「分かったっす」
再チャレンジ。
カンカンカン
「できたっす。でも兄貴の物と比べると全然ダメっすね」
今度はちゃんとカッパーインゴットが出来たようだ。
「いや、すごいよ。最初でここまで出来たんだから。俺のは同じものでも高品質だからな。そのうち作れるようになるよ」
「そうすか。でも、物作るって楽しいっすね。」
「だろ?しかも儲かるんだぜ」
「燃えるっす」
「だけど、お前たちは冒険者優先だからな?余った時間でのみ、作ることを約束してくれ」
生産者として生きていくことも可能だが、Lvが上がるにつれて必要な素材などが入手困難になってくる。それをマーケットで入手していたら途方もなく金がかかる。それと、常にマーケットに素材が流通しているとは限らないし製作作業に没頭し疲れた状態でダンジョン攻略中にミスが起きないとも言い切れない。
「約束するっす」
「じゃ、夕食までインゴット作っててくれ。おれは修繕をするから」
「了解っす」
いつかウッドもモッチョに紹介してあげよう。
のんびり書いていきます。