アヴァロン飼育都市
19
その夜、デッドライン、ユリア夫妻を主賓として迎い入れ晩餐会が行われた。
「モッチョ氏、デッドラインの口に合うものは出るのか?」
「えーっとですね・・・ユリア様からの情報では何でも食べるとのことですので大丈夫かと・・・」
デッドラインを見ると普通に食べていた。
「レッドさん、夫は普段食事を摂らなくても大丈夫なのですが、食べることも可能なのですよ。私は純粋種ではないので食べないと死んでしまいますが」
「魔族とのハイブリッドは普段何を食べるんだ?」
「フフフ、今までと一緒で問題ないのですよ。魔族が人間を食べるというのは以前から言われていましたが、すべての魔族が食べるわけではないのです。食の違いから生じるものです」
「あれか、ジューダス料理とザイド料理の違いみたいなものか?」
「そうです、国や人種が違えば好みも変わります。しかし慣れてしまえば普通に受け入れられるでしょう?」
「苦手な食べ物もあるが、美味しい料理もあるからな」
「魔族は特に効率を求めるので、精気と栄養が取れる人間を食べていただけの事です。栄養のある食事と、精気は効率が悪いですが大気のエーテルから吸収すれば人間を食べなくても問題ないのです」
「その人間で思い出したけど、食用人間を見たが、あれは?」
「あれは、いまだに人間を好んで食する魔族用なのです。魔王アスタロトによって捕らえられた人類が集められた都市があるのです。その名をアヴァロン飼育都市・・・」
「どういう都市なんだ?」
「人口は5万人程度に保たれており、人々は通常通り生活をしていますが3年に一度人間狩りがあります。大抵は生まれたばかりの子供か若い女性が連れ去られます。都市を逃げ出そうと試みても、都市の周りには魔物がはびこり逃げることも出来ないのです」
「ということは、純粋な生き残りが5万人は居るんだな?ハイブリッドも含めると総勢どのくらいになるんだろ・・・」
「はい、4大陸のハイブリッド種は5万人程度なので合わせて10万人程になります」
「アヴァロンの5万人は人質として考えた方がいいな。助け出すにも慎重に事を運ばないといけないし、俺達だけで5万人を守るには人手が足りない。うーん・・・他の魔族ってどうなの?」
「どうなのとは?」
「話通じる?」
「難しいですね。レッドさんなら何とか出来そうですが、私達では無理です」
そうか・・・そうだよな・・・面倒なので後で考えよう
「悪いな、食事の最中に。明日にでも集まって再度議論しよう」
「「okデース。はい、分かりました」」
翌日、再度主要メンバーで会議をすることになった。もちろんユリア姫夫妻も参加している。まず、船が用意できない為移動手段を確立することが必要だった。
「大陸への移動手段だけど、何か方法があるか?」
島と大陸間の移動をユリア姫に問いかけると意外な回答があった。
「レッドさん、昨日も話しましたよ、お忘れですか?」
「え、何か言ってたっけ?」
「えぇ、大事な事を忘れていますよ。ほらあれですよ、あれ」
あれって言われてもなぁ・・・・!!!
「もしかして採掘王か!?」
「正解です。彼の掘った穴は大陸の地下に迷路のようになっています。私達は約300年かけてほぼすべてを把握しました。多少細工はしましたけどね」
「もしそれが本当なら、俺達にとってかなり有利な状況だな!」
「レッドさんがそう言うと心強いですが、魔王の力は強大ですよ・・・」
「ん?面倒なのがベリアルくらいで、あとは雑魚だろ。どの魔王もLv70~90だし、俺達の敵じゃないよ。神龍クラスが出てきてると思ったから慎重になってたけど問題なさそうだな!」
「フフフ、やはりワールドファーストの名は伊達では無いですね、閃光のレッドさん」
「あぁ、それ恥ずかしいからやめてくれる?あの時は、今もそうだけど仲間に恵まれただけだから」
「素晴らしい仲間が集まるのも才能の一つですよ」
俺は最高の仲間を見渡して頷いた。今の俺には勿体ない位の仲間がいた。
「一つ思ったんだけど、ユリア姫達だけでも何とか出来るんじゃないか?」
「それは私達も考えましたが人質が居るのと、私達すべてが戦闘に特化しているわけではないのです。ハイブリッド化して限界を突破できるものは20%に届きません」
「そうなのか、すべてが強くなるわけじゃないのね。じゃ、それを踏まえて作戦を考えよう」
「「「「りょ」」」」
のんびり書いていきます。




