ロストジューダス
18
「今まで生きていた理由は分かったが、どんな協定を結びたいんだ?」
「はい、まず私達生き残りを国家として認める事。次に私達を同盟国として相互協力体制を作ることです」
「俺は別に構わないが、国家の事となるとモッチョ氏の意見を聞かなければね」
モッチョ氏に丸投げした。
「初めまして、私がモッチョ・デューラーです。4国の代表としてここに来ました」
モッチョ氏の名前を聞いた途端、ユリアの目から涙がこぼれた。
「あぁ、父は約束通り民を導いたのですね・・・・」
「はい、あなたの父親であるガイウス・デューラーは、民を導きあちらに渡り国を興し人類を滅亡から救いましたよ。そして私はあなたの父親の子孫です」
「話の途中にすみません」
「いえ、お気に為さらないで下さい。まず国家の件ですが、国家元首はどなたが?」
「民からの信頼のあった私が今までやってきたので私ということになります。夫は私のサポートという形です」
「わかりました。国家の名前は?」
「ロストジューダスです・・・」
「では、ここに宣言します。4国代表モッチョ・デューラーはロストジューダスを国家として、ユリア・デューラーをその国家元首として認めます!」
フレサンジュさんが用意した協定書を2通並べ、二人がサインし互いの協定書を交換した。
「あとは相互協力体制の件ですが、これは協定書などを作らずとも協力は惜しみませんが?」
「それはありがたいのですが、少々事情がありまして・・・」
「一体どのような?」
「アストレムルへの出入り口で戦闘があったと思います」
「はい、大規模な戦闘でしたがレッド殿が率いる部隊がこれを殲滅致しました」
「はい、知っています。そこの部隊を率いていたのが夫の配下の者なのです」
俺達に緊張が走るがモッチョ氏はいたって冷静だった。
「理由を聞いても?」
「まずこちらに4大陸あるのはレッドさんから聞いていると思います。現在その大陸は4魔王が支配しているのです」
「まず、北に位置するジューダス帝国は魔王ベリアル、東のエンド王国は魔王アスタロト、南のサドン王国は魔王アンラ・マンユ、そして私達のいるここザイド王国は魔王ナーガが支配しています。いずれもダンジョンのボスだった者達です」
「一つ聞いて良いか?」
「レッドさんどうぞ」
「中央の古代文明の海底都市はどうなっているんだ?」
「それが、6000年前の反攻作戦において英雄たちの戦艦のほとんどが失われたので確認する術がありません」
「そうか・・・確認するにはジューダスまで行かないと駄目か」
「なんでジューダスまで行かないと駄目なの?」
「ミリアは戦艦を見たことが無かったんだっけ?」
以前、船の移動中にモッチョ氏達は見たことがあったが、それ以降に旅団のメンバーになったミリアは見たことが無かった。
「その船を作るには、ジューダスにある古代文明の遺跡の設備が必要で、その地方で採取できる特殊素材も必要になるんだ」
「へぇ、大変そうね。まぁ良いわ、さっさと次行きましょうよ」
ミリアはせっかちだな・・・
「行くにも順序があるから、また追々とな。すまないユリア、話の途中で。続きを良いか?」
「はい、大陸の4魔王たちによって現在は均衡が保たれており、4魔王共同での支配地域拡大計画によって、あなた達のいた世界への侵攻作戦が開始されていたのです。あなた達を襲った魔族は、ナーガが夫の監視目的で送り込んだ傀儡だったのです」
「ほう、そうだったのですか。で、協定の真の目的は?」
「はい、あなた達が来たことによって世界の均衡が崩れることは確実です。金色の英雄が戻ってきたのですから。そこで私達は、4大陸の採掘王の採掘跡で生き残った人類と連絡を取って大反攻作戦を考えています。しかし、魔族との混血が進んだ私達を人類の生き残りたちが信じてくれるとは思えなかったのです」
「あなた達も魔族とみなして殲滅してしまうのではないかと?」
「はい、その通りです。私の夫は純粋な魔族ですし・・・」
「レッド殿どうでしょうか?私は信頼しても宜しいと思いますが」
「モッチョ氏が信じるなら問題ないよ」
「ユリア様、相互協力の協定を結びましょう。フレサンジュさんお願いします」
フレサンジュさんが作成した協定書に互いにサインを済ませる。
「今後については、後ほど話し合いましょう。今日はこれから晩餐会を予定しております。もちろん参加して下さいますね?」
「はい、夫と一緒に参加させていただきます」
のんびり書いていきます。




