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暴力反対デース

16


ミズールの表玄関の門に到着すると、長身長髪でスーツを着こなした男が佇んでいた。俺達とミリア達に挟まれ逃げ場のない状況を作る。

まず第一印象が大事ですからね・・・・剣を抜き構えながら近づく。


「ちょ、ちょちょーっと待ってくだサーイ。私は戦いに来たわけではありまセーン」


「嘘言うなよ。後方支援部隊を襲いに来ただろ?」


「それは私じゃありまセーン」


「レッド、こいつ嘘くさいからやっちゃおうよ!」

ミリアの言う通りだった。


「だよな!」

更に近付いた。


「信じてくだサーイ。私情報もってマース。これとても重要。あなたの強さは知っていマース。私はあなたに勝てまセーン」


「だって、お前倒しても生き返るだろ?別にいいじゃん」


「確かにそうデース。でも生き返っても、それは私じゃありまセーン」


「どういうことだ?」


「金色の英雄であるあなたは知っていると思いマース。私は、いえ私達は何度も蘇りマース。その昔、システムである私達には自我と言うものがありませんでしたネ。ただ命令通りに動く人形だったのデース」


「まぁ多少のランダム要素はあったけど、常に同じ行動だったよな」


「そうデース。でもいつからか、その呪縛から解放され自由に動くことが可能になったのデース。それと同時に自我と言うものが出来てきましたネ」

言われてみれば、NPCだった村人が自由に行動できるのだからそうなのかもしれないな・・・

「私は色々と研究しましたデース。人間と魔族の違いを調べたところ決定的な違いが見つかったのデース。聞きたいですか?」

少しイラっと来たので剣を振り上げた。


「ノーノーノー、暴力反対デース」


「そう言ってるけど、人間食べてたんだろ?」


「私は食べていまセーン。誤解デース」


「じゃ、お前の栄養源は何だよ?」


「良いところに気が付きましたね、そこなのデース。私達ボスクラスは食べなくても平気なんデース。魔物は人を襲うけれど、私達ボスクラスが人間を食べているところは見たことが無いでしょう?殺すことはあっても食べまセーン」

言われてみればそうかも・・・・


「人間は食べないと死にマース。しかし私達は死にまセーン。おっと、話を元に戻しマース。ある日、冒険者が死んでいたので気まぐれで生き返らせたところ、同じ自我の人間がそこにいましたネ。そこで私は考えましたデス。魔族はどうなのかネと」

続きを待っていると。


「聞きたいdeathか?」


「えぇまぁ・・・」


「それなら協定を結ぶデース」


「俺一人では決められないから少し待ってくれるか?」


「おkデース。どのくらい待てばイイデスカ?」


「2日後でどうだ?」


「ok、2日後にまた来マース」

そう言うと空に飛びあがって無数の蝙蝠となって掻き消えた。


「・・・と言うことがあったんだよ。モッチョ氏どうする?」


「何とそのような事が!・・・ですが、これから先の情報も必要ですし、無害であれば協力関係を結んでも良いかもしれませんね。今までならば考えられない事ですが、我々も変わらなければいけないのかもしれません」

たしかに・・・・


「わかったよ。モッチョ氏も同席するかい?」


「はい、私も同席したいと思います。魔族と話す機会なんてこの先あるか分かりませんからね」


「モッチョ氏は意外と冒険者に向いているのかもね」


「なぜです?」


「怖いもの知らずだからさ」

笑いながら言った。


「いえいえ、本当は怖いですよ。レッド殿が居るからこそですよ」


「それでもだよ。普通の人は怖がってこないよ。じゃ、そろそろ来る頃だから準備をしようか」


「そうですね。場所はここで良いのですか?」


「あぁ、ここで良いんじゃないかな」

領主の館の屋上バルコニー。見上げると綺麗な青空が広がっていた。


のんびり書いていきます。

明日、明後日は投稿をお休みします。

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