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捌いてみろよ

9


(モッチョ氏、そちらに向かって出発したから、救出した人を逃がしたらこちらへ向かってくれ)

(承知しました)

一先ずこの場所の確保と、奥の状況を調べよう。


「ウッド、スラッシャー号で奥の状況を調べてくれるか?」


「了解っす!」

スラッシャー号が奥へ続く通路へ入っていく。どうやら一本道の運搬路のようだった。500mほど進むと直径30mほどの円形の広間に到着した。中にはアストレムルへの出入り口があった。大きな倉庫の扉位の透明なカーテンのような物があり、あちらの景色が見えているようだ。


「兄貴、あっちへの入り口があったっす」


「よし、そのまま物陰に待機させておいてくれ」


「了解っす」

まずは状況確認だな。

魔物の補給物資が1時間おきに送られてくるということは、あちら側の出入り口の近くに拠点があるとみて間違いないだろう。まずはそこを潰さないと。


「魔族に気付かれるのも時間の問題だが、とりあえず旅団が全員揃うまで、ここを死守する。その後、全員であちらに行って近くの拠点を強襲する」


「なぜ拠点があると分かるのかにゃ?」


「補給物資を運ぶのに長距離移動は効率が悪いからな。俺だったら出入り口に近いところに生産拠点を作って効率よく補給物資を送るからな。それに魔族が支配している場所なら警戒なんてしていないはずだから一気に落とせるはずだ。まぁどちらも予測でしかないから慎重に行くよ」


「わかったにゃ」

ルルが皆にもわかるようにわざわざ聞いてくれた。これでみんなも理解してくれただろう。


「では、順番に休憩してくれ」

3チーム毎に順番で警戒にあたる事にした。


「マルコ、大丈夫か?」


「はい・・・少し慣れてきました。まさか本当に人間を食べているとは・・・・」


「初めは厳しいよな。しかも子供だったからな」


「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」


「マルコは食べるために、牛や豚、鶏など殺したことが無いのか?」


「魚ならあるのですが、それ以外はないです」


「そっか。今度一緒に牛を捌いてみるか?」


「出来れば遠慮したいのですが、駄目なのでしょう?」


「あぁ、駄目だ。みんなが食べている肉などは、誰かが捌いたものだ。それを食べていて何かを感じることがあるか?」


「いえ、ただ美味しいとしか・・・」


「だよな。自分で食べるために殺して捌いてみろよ。何か感じるものがあると思うぜ」


「分かりました。今度一緒に牛を捌くのを手伝ってください」


「了解だ。それと魔族を肯定するつもりはないけど、あいつらも生きるためにやっているんだ。そこに感謝があるかと言えば無いと思うがな。あんな光景見たくないだろ?」


「はい、二度と見たくありません」


「なら、アストレムルでは気合入れていこうな!」


「はい!」


自分が食べている肉などを、自分で捌いて食べた事がある人はどれだけいるのだろうか。魚介類ならば大抵の人は見たことがあると思う。しかし大型の牛や豚などはどうだろうか。大半が見たことが無いし捌くなんて無理である。だからと言ってそれをやれとは言わないし、それが悪いとも言わない。ただ誰かが殺して捌いてくれている事、殺されている生き物が沢山いることを知って欲しい。まぁ自分も初めて屠畜場を見学した際は無理と思ったけどね。


半日ほど経つとモッチョ氏から連絡が来た。

(もしもし、レッド殿聞こえますか?)

(聞こえるよ~)

(こちらでの受け入れは完了しました。あとはマーベア国王主導で救出した人たちの面倒を見るようです)

(そっか。出来れば早めにこちらに集合してほしいんだけど)

(かしこまりました。雲の旅団の方にお手伝い頂いても?)

(良いよ。道塞ぎながら早めに頼むね~)

(はい、至急向かいます!)


のんびり書いていきます。

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