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出発前夜

5


「おう!邪魔するぜ」


「ん、あ~マーベアか。なんか用?」


「その言い方ちょっと酷くないか?俺、王様だぜ?明日出発だから壮行パレードの見送りをするために来たんだよ。モッチョ氏から聞いてるだろ?」


「あーそういえば言ってたような・・・、まぁとりあえず声のトーン落としてくれよ。みんな疲れて寝ているから」


「あ、おう、すまねえ。みんなどうしたんだ?修行でもしてたのか?」


「いや、装備の微調整に時間がかかったんだよ。俺が調整して海岸まで飛んで試し打ちして帰ってきて、また調整してを繰り返してね」


「そりゃまた大変なこって。お前は寝なくて大丈夫なのか?」


「俺を誰だと思っている?」


「おっと、そうだったな」


「で、何?」


「レッドォ、もう少し俺に優しくしような?まぁいいや、そういうところがお前らしいからな。用って程じゃないんだけど、久しぶりだから皆でメシでも食いに行かないかって誘おうと思って来たんだよ」


「雲の旅団全員で良いなら行くぜ?」


「もちろんさ。お前たちには世話になりっぱなしだからな!」


「場所は?」


「今夜、場所はグラス中央街の一番人気の宿屋を貸し切りでモッチョ氏に押さえてもらった」


「おっけー」

今はみんな疲れているだろうから、昼過ぎに起きてきたら説明するとして、スカウト組には一斉に連絡を入れた。


その夜、グラス首都の中央街に雲の旅団とマーベア一行が集まることになった。雲の旅団は急な呼び出しにもかかわらず全員参加してくれた。


全員が集まると主催であるマーベア自身が司会として挨拶を始めた。

「みんな、久しぶりだな!今日は世話になった恩返しと言えるか分からねーが、俺からの気持ちだ。存分に飲み食いしてくれ、乾杯!」

―――乾杯!―――

マーベアが乾杯の音頭を取り宴会が始まった。


「マーベア、国は大丈夫なのか?」


「あぁ問題ないぜ、シャギアに任せているからよ」


「は?大丈夫なのかそれ?また乗っ取られたりは・・・」


「心配ねーよ。俺はお飾りだから何もすることなくてつまんねーよ。お前について行った爺さんが羨ましいぜ、な、ビャクエン?」


「少し誤解がありますじゃ。レッド殿について行った訳ではなく、ルーテシア様について行っているのじゃ」


「うわ、ジジィ居たんかい!気配消して背後に立つなよ!」

俺の後ろにいつの間にかビャクエンが立っていて驚いた。

そんなやり取りをしていると、いつの間にか俺とマーベアの周りに人が集まってくる。


「マーベア久しぶりね。あなた少し太ったんじゃなくて?減量の手伝いしてあげても良くってよ?」


「げ、ミリアか、久しぶりだな。お前の手伝いは、手伝いじゃなくてイジメだろが!全く変わらねーなお前は。でも一段と綺麗になったな!」


「げ、っていうのは気に入らないけど、後半部分があったから今回は許してあげるわ」


「あらあら楽しそうね。私も混ぜて下さいな」


「おう、クラリスか!久しぶり。お前も一段と綺麗になってるな。鍛錬の方向が間違ってねーか?」


「そんなことないですわ。序列争いが活力となってますもの。ね、ミリア?」


「そーよ、マーベアには分からないのよ。この熾烈な争いが!」


「いや、何となく分かりますけど、お前たちはこれから戦地へ赴くんだぜ・・・幼馴染の俺としては心配でよぉ」


「それなら心配は無いわ」

「そうだわ」


「「レッド様が守ってくれるから」」

二人の呼吸が合い、俺を見つめてくる。


「俺は、旅団の誰一人として欠けることなく戻ってくるぜ」

無難な回答をしておいた。


「お前のその言い方も問題だと思うぜ?」

マーベアが痛いところを突いてくるが気にしない。


「ん、何が?」

物凄い殺気をマーベアだけに送った。


「という問題は置いといて・・・・みんな!飲んでるか!おう、そこ楽しそうだな、俺もまぜろや」

腕相撲で盛り上がっているテーブルへマーベアがそそくさと逃げて行った。


「まったく!私達の援護射撃も出来ないなんて情けないわ。あれでも王なのかしら」

「そうよね」

なんと・・・3人グルだったのかよ・・・

そんなことをしていると女子組筆頭が黙っちゃいないと・・・思っていたら女子組に連れていかれていた。

「兄貴も大変っすね」


「まぁな」

俺とウッドを遠巻きに女子組が陣取っていた。みんな普通に話しかけてくればいいのにね。



明日のパレードは午前10時開始予定だったので、朝まで飲むことは無く深夜1時には解散となった。


のんびり書いていきます。

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