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パレードの打ち合わせが終わるころに扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
ライラさんが立ち上がり扉を開けると、そこには水晶のロッドを持ったカインが立っていた。
「あぁ、カインさん丁度いいところに。これからその説明をしようかと思っていたところです。お願いしても良いですか?」
「はい、そのつもりで参りました。まずは、皆様お久しぶりです。約1ヶ月ぶりですね」
「カイン久しぶり!お前も一緒に来るって駄々をこねたって聞いたけど?」
意地悪気味に言ってみる。
「いえいえ、妹が心配だっただけですよと言いたいところですが、あなたの見る世界がどうしても見たくて大人げなく駄々をこねました」
カインが笑いながら答えた。
「危ないかもよ?」
「守ってくれるのでしょう?心配はしていませんよ。では、ロッドの説明を終わらせましょうか」
一同が頷いた
「では、障壁の水晶の説明からします。水晶から瘴気が出ているのは皆さんご存知かと思いますが、他にも効果がある事が分かりました。それは単体でも多少出ていたのですが、一定の距離内に水晶を設置することで相乗効果が発生し強固なバリアのようなものが発生することが分かりました。中央砂丘全体の水晶の数を考えるとすさまじい効果があると思われます。もしかすると、瘴気の効果よりもバリア効果を狙っていたのかもしれませんね」
「だよな。瘴気なら魔族であれば何とかできそうだもんな。瘴気はこっちの人間が近付かないようにしたものなのかもしれないよな」
「レッドさんの言う通りかもしれません。次にロッドの使用方法ですが、まぁこれは簡単でした。持って念じるだけという・・・。ただ、内部の構造に関しては複雑な魔法術式が組み込まれており複製は無理なようです。いや、時間さえあれば複製できると思いますがどうしますか?」
「いや、要らないっしょ。あと数回使用できればいいよ。面倒になったら吹き飛ばすし」
「ですよね。そう言うと思いましたよ。ですが吹き飛ばしは当面駄目ですよ。バリア効果で入れなかった魔族が一気に流入してくる可能性もあるので、ロッドを使い、一旦瘴気の噴出を止め雲の旅団が進む道を作ります。もちろん魔族や魔物がその通路を使い出てくると予想されます。最近頻発している地震はアストレムル出入口付近が震源になっていますので、間違いなく魔族が何か行っているとみて良いでしょう」
「魔族いる。バリア破ろうと必死」
シズクが遠くを見ながら言った。
「だってさ。モッチョ氏は後からのんびり来なよ。俺達が掃除しておくから」
モッチョ氏が頷いた。
「やはり居ましたか。であればレッドさんから頼まれていた物を準備しなければなりませんね。こんなこともあろうかとシリカとボッシも呼んでいますので早急にスカウト組にOBPver2(汎用)の組込をしましょう」
「容量と出力調整は上手くいったみたいだな。レッド隊と、フリーダム、ウィンド隊の分は俺がカスタム仕様で調整するからそっちは頼んだぞ」
「かしこまりました」
「モッチョ氏、他に何かなければ俺達は準備に取り掛かるけど良いかな?」
「もちろんです。こちらは何とかしますので、レッド殿は準備をお願いします」
それを聞いた俺達は部屋を出て、迎賓館に用意された工房へ向かった。
「よし、とりあえずみんなの装備をアップデートするか!ゴッド級の装備をチューニングして限りなく神話級ミソロジーへ近づける。その後OBP2を組み込むわ」
「なんで神話級にしないっすか?それと兄貴の装備はどうするっすか?」
「あぁ、俺の装備は神話級ミソロジーの上の創世級ジェネシスだから今のところチューニングは必要ないな」
「・・っていうか、創世級ってなんすか!さらっと言ってるっすけど」
「まぁ、それは追々ね。で、俺も色々と探したんだけど、こっちの世界には素材が無かったんだよ。アストレムルに行けばいっぱいあると思うから、それまでゴッド級で我慢してくれ」
「そういうこと何すね。わかったっす!」
「じゃ、ウッドは俺のサポートをしてくれ。他のみんなは装備を置いていってくれ。その後は自由時間でいいぞ」
「私は見てる」
「シズクが見るなら、私も残るわよ!」
「サーラさんにこれ以上差を付けられても困るので私も残りますわ」
リティスまでも残ると言い出したら・・・・連鎖が始まるぞ・・・・
「じゃぁ、私も!」「なら私もよ」「私も」・・・・
全員が残ることになったという・・・マルコや3馬鹿も何故か残っていると・・・
「え~みんな残るんじゃあたしも残らないとつまらないじゃない!」
「ティアはモッチョ氏の所に行ってくれば良いんじゃないか?」
「マスターの言うことも尤もなんだけどぉ、モッチョ忙しいみたいだからぁ意外と気を使うのよぉ」
ティアに気遣いされてるよ、モッチョ氏・・・・まぁ仮にも大統領だからな。
「ティアのくせに偉いな!」
「くせは余計よぉ~。もちろんあたしにも新しい装備作ってくれるのよねぇ?」
はぁ?戦闘しないし頑丈なポシェットあんだろが・・・
「あれ、まさかその顔は何も考えてなかったとか?マスターそれは酷くない?」
「えっーとですね、ティアさんLvいくつです?仮にゴッド級を装着してもLv足らないと文鎮状態になっちゃうと思うんだけど、どうかな?」
「駄目に決まってるじゃない!あれよ、いつも同じ服着てると飽きるでしょ?見た目の違う装備を作ってくれればいいのよぉ」
「あーはいはい、分かりました。何着か作っておきますよ。何かご希望はありますか?」
「えっとねぇ・・・」
「私がデザインする」
シズクが名乗り出た。
「うん!それが良いわ。シズクちゃんに任せるわよぅ」
「うん。任せて」
ティアは気付いていないだろう。シズクのセンスの無さを・・・・毎日巫女装束しか着ていないから流行りに疎いのだ。ティアが任せたのなら問題ないだろうけどね。
「じゃ、始めるから。あと、俺に気を使わなくていいから、疲れたら部屋に戻って休むようにな!」
広い工房をそれぞれが自由に寛ぎだした。
俺とウッドは31人分の装備に手直しを入れ始めた。これからしばらくかかりっきりになる。出発までには何とかしなければね。
あ、忘れてた。ジジィの分も調整しないとな・・・
のんびり書いていきます。




