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隠し事は無しで!

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グラス共和国に到着するなり街の警備をしている騎馬隊10名ほどが大通りをこちらに向かってきた。


「そなたら、フォルメト商隊の者であるか?失礼、私は共和国大統領直轄親衛隊のガブラである」


「あぁ、その通りだけど、大統領親衛隊様が何の用かな?」


「大統領の命でフォルメト隊・・・いや、雲の旅団を迎賓館へお連れするようにと指示があった。失礼のないよう国賓として迎えて下さいとのことだ」

何か怪しいんだけど、いざとなったら暴れればいいか。


「分かりました、案内してくれますか」

モッチョ氏達とはここで分かれ、後で合流することにして、ご丁寧にも送迎の馬車を用意してくれたので乗ることにした。大通りを中枢機関がある中央の区画へ進んで行き、通りを見ればモッチョ商会の系列の店舗が6割を占めていた。


「すごいな、さすがモッチョ商会の地元だな」


「そっすね。ルーク単体の専門店もあったっすよ!それよりも大統領が俺達に会いたいって何すかね?」


「ん~・・・なんだろね?マーベア繋がりかな?まぁ行けば分かるっしょ」

大体の予想はついたがここでの言及は控えておくことにした。そうこうしているうちに厳重な警備がされている門をチェック待ちの行列の横をノーチェックで通り過ぎた。


「いや、警備緩すぎじゃね?」


「良いんじゃない?だって私達を止められる軍隊なんて存在しないもの」


「・・・サーラの言うことも尤もだけど、国家ですよ。そんな緩くて良いのかいっ!みたいな・・・ね」

迎賓館に到着すると、いつも旅先でモッチョ氏が用意してくれていたロイヤルスィートと同等かそれ以上の部屋が用意されていた。グラスでの活動は殆ど行っていない雲の旅団にここまでの待遇をしてくるということは、大抵何かお願いをしてくるのは間違いないはず。もしくは・・・。


俺達の為に晩餐会が行われるということなので、用意された正装に着替えることにしたがサイズが事前に測られたような位ぴったりであった。着替えが終わる頃合いを計ったかのように扉をノックする音が聞こえた。

「失礼。そろそろ大統領がお迎えに来られるが準備は宜しいだろうか?」

親衛隊長のガブラさんだった。俺は頷きソファで寛いでいると


「大統領が参られましたので全員ご起立願います!」

あぁめんどくさいな・・・・・、でも行くと言った手前途中棄権は大人げないので従うことにした。


「いえ、座ったままで良いですよ。皆様よく来てくださいました。私がグラス共和国大統領のモッチョ・デューラーです」

!!!

この時のみんなの顔は面白かった。目が点とはこの事だなと。予想はついていたが実際そうだとなると少しショックであった。

「へぇ、モッチョ商会の社長が大統領か。俺達を騙していたって事かい?」

俺はソファに座り背を向けたまま語り掛けた。


「貴様!大統領に対して無礼であろう!」


「ガブラさん、良いんですよ。その御方が言うことは間違っていませんからね」


「しかし・・・」


「ガブラさん。私はこの方たちと少し話がしたいのですが席を外してくれますか?」


「しかし、大統領にもしもの事があったら・・・」


「あなたが100人いても私を守れませんよ。レッドさんなら秒もかからず私は消されるでしょう」


「・・・分かりました。扉の外でお待ちしております」

ガブラさんが退出する。


「で、どんな説明をしてくれるのかな?」


「事の始まりは私がレッド殿の製作品を見たことからです。それを見た時の興奮は今でも覚えています。この息苦しい世界で唯一の楽しみとなりました」

俺達はしばらくモッチョ氏の話を聞くことにした。


「大統領という仕事は、世界が安定してくるとやることが無くなるんですよ。すべて高官が行っていると言ってもいいでしょう。何かあった時の責任が私に来るという事だけですからね。大統領と言っても名ばかりで4つの家系での輪番制ですから、今回は私の番だっただけのことです」


「話がそれましたね。レッド殿と関わっていくたびに夢が広がってきたのです。極めつけはゴブリンの討伐でした。情報は入っていたのですが、国として軍を動かすには時間がかかったのです。冒険者を雇うにもヨルダの地方都市では実力者が居ない為、首都からの派遣になり、手続きをしていた最中に討伐の報告があったのです」

あぁ、あの〇郎系ラーメンのところの話か。


「報告の後、街でレッド殿を出迎えたら、伝説のウォーホースが居るじゃありませんか。その時私は確信したのです。この方は世界を変える!この方について行こうと」


「まぁ嘘は言ってないけど、オクタガーディアンや5国調査の件はどう説明するんだ?」


「オクタに関しましては信じて頂けるか分かりませんが我が国に情報はありませんでした。4国の調査に関しましても、トップ同士のつながりが無かったため情報は得られなかったのです。グラスに関しましては大統領と言う立場上秘匿義務がありまして・・・・」


「みんな、もういいだろ?この辺で許してやろうと思うが良いか?」


「しょうがないっすね」

「そうね」

全員納得したようだったので許すことにした。


「それと、隠し事はこれ以降無しで頼むぜ!これから旨い飯食わせてくれるんだろ?」


「それはもう、今後隠し事は致しません!はい、グラス一の料理を用意してあります」


のんびり書いていきます。


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