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爺さん、それ長いのか?

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「レッ君、これかなり難しい」


「そうですね、体の中の水晶と神経が癒着していて取り出すのは困難かと・・・」

それを聞いたビャクエンが

「儂はもう十分に生きたわい。ルーテシア様に伝えて欲しい。お母さま、ルナマリア様を守る事が出来ず申し訳ないと・・・」

ビャクエンが話し続けた


――あの日儂は、マーベア様、ルナマリア様、ルーテシア様を逃がすため殿を務めた。敵は同じLvのオクタガーディアン300名だった。地の利を生かしつつ各個撃破していったが数の力に圧され始めたのじゃ。王族の親衛隊も一人二人と減っていき最終的に殿部隊は儂一人になってしまった。ルナマリア様さえ逃げ延びてくれれば散ることも本望じゃったよ。持てるすべての力を出し切って死んだはずなんじゃが、目を覚ますとベットの上じゃった。体を動かそうにも、言葉を発することも、見ることも出来なかった。ただ付近に人の気配だけを感じていたんじゃ。


「爺さん、それ長いのか?時間が無いんだよ!」


「いや、ルーテシア様に伝えてくれれば思い残すことは無い」


「ルルが悲しむなら殺せるわけねーだろがジジィ!シズク、月花、俺の指示で動いてくれるか」


「「はい」」


「まず、眼球の代わりの水晶を外部から再構築し直す。シズクは再構築の際に出る衝撃を抑えてくれ。カインの所でずっと見ていたから分かるよね?」


「うん」


「月花は、水晶から切り離された神経系を随時回復修繕と水晶との接続をしてくれ」


「はい」


「目の次は体の各所の水晶も流れ作業で行っていく。やるぞ!」


「「はい」」

無事すべての埋め込まれた水晶の再構築が終わった。あとは、本当にシャギアの呪縛から逃れられたのかの確認だな。


「みんな下がっててくれ」


「「「「りょ」」」」


「シズク!」

シズクが魔力障壁を解除した。


「爺さん、どうだい?」

身構えながら問いかける。


「なんか不思議な感じじゃわい。久しぶりに感覚が戻ったせいじゃからかもしれんが・・・」

シズクの方を見る。


「おかしな魔力は出ていない、大丈夫」


「分かった、時間がない。爺さん、ルルのところまで案内頼めるか?」


「無論じゃ。ついてまいれ」

ビャクエンに案内され西塔の最上階の扉の前に到着する。最上階部分全体が魔力を使うことが出来ないアンチフィールドが覆っていた。


「リーズ!何とかできるか?」


「はい!すぐに解除してみせますので一旦階下へ移動しましょう」

言われるがまま、フィールド外へ出た。

リーズが辺りを調べ始めると何かを見つけたようで魔法詠唱が始まった。


「魔力アンチフィールドへ強制介入開始。マジックウイルス注入展開。すべての回路を焼き切りなさい、ウイルスボム!」

周りから小さな爆発音が聞こえた。


「レッドさん、もういけます!」


「ありがと、リーズ!」

扉を蹴破り部屋に入った。そこにはベッド以外何もない部屋だった。ベッドに近付くとルルが横たわっていた。以前のルルの面影などないほどやつれたルルがそこに居た。


「おい!ルル助けに来たぞ!俺だ、レッドだ!分かるか!」

一向に目覚める気配がない。シズクと月花を見るが首を横に振る。


「ルル、心閉ざしている。このままだと衰弱して死んでしまう」

シズクの説明に呆然としてしまった。


「何か方法は無いのか?」


「レッ君の想いが届けばいけるかも」

今のジョブで出来るスキルと言えば、フルギフトだな。HPMPMIND回復効果がある、これしかないだろう。


「ルル、もう一度デートしよう。みんなで旅をしようぜ・・・目を開けてくれよ、お願いだ」

ルルを抱きしめ口づけをし、ありったけの魔力を注いだ。


ルルの体が淡く輝き、何となくだが顔色が良くなってくる。


「頼む!ルル戻って来てくれ」


「・・・ぅ・・」

ルルの瞳が僅かだが動いた。


「「「「ルル!」」」」


「・・・ぅ・・・ぁ・・、やっ・・と・・迎え・・が・・きた・・・の・・」


「何を言っているんだ!俺だよ、レッドだよ」


「・・・ぅ・・そ・・レッ・・ドは・・あの・・・とき・・・死・・・イヤァーーー」

ルルを抱きしめ再度唇を重ねた。


「・・・・ぁあ・・・ほん・・とう・・に・・レッ・・・ドな・・・の」


「あぁ、前に約束しただろ?一緒にいるって。迎えに来たぞ」


「おぼ・・・え・・・て・・いて・・くれて・・・あり・・・がと・・・う」


「そうと決まれば、この辛気臭い部屋もあそこに見える玉座の間も鬱陶しいな。みんな下がっててくれ」

そう言ってOBP1を発動させた。


「俺は怒っているんだよ!絶対に許さねーからな。剣技極サークルブレード!」

西塔の天井と王宮の玉座の辺りの屋根部分をすべて吹き飛ばした。


「ふぅ、やっと息苦しくなくなったな。ルル、おんぶが良いか?」


「・・・お・・姫・様・・抱っ・・こ・が・・良・・い」

シズクと月花をみると頷いていたので大丈夫なのだろう。ルルを抱き抱えて指示を出した。


「全員騎乗!玉座まで飛ぶぞ!」


「「「「りょ」」」」

西塔から空を飛び玉座を目指した。


「・・・レッド、・・・ごめんね」


「謝るのは俺だろ?」


「・・ううん・・違うの。・・・私の・・名前の事黙ってて」


「いいよ、ルルはルルだろ?それともルーテシア様って呼ぶか?」


「・・・もう、いじわる。・・・ルルって名前はママがそうしなさいって言ったの。ルナマリアのルとルーテシアのルでルルって。そうすればいつも一緒でしょって。ママが・・・ママが・・・最後にそうしなさいって・・・」

頬を涙が伝う


「つらいな・・・、でもルルって良い名前だな」


「・・・うん、いつもママと一緒だから」


玉座の間に到着した。


のんびり書いていきます。

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