俺達の心配って・・・
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翌日、シズクの体調を確認すると問題ないということなのでカインさんの所へ行く準備をする。
「ウッド、忘れ物はないか?」
「大丈夫っす」
(ボレアレス、来てくれ)
(承知)
ボレアレスとウッドの馬オクスが現れる。
俺はシズクを抱き抱え、それぞれ馬に跨った。
「あれ、たしか翼生えてなかった?なぁウッド?」
「そうっすね、生えてたっすよ。あれ、何で知ってるっす?」
「細かい事気にするなよ、なぁシズク?」
「うん、ウッド小さい」
「もう、いいっす・・・気にしないっす」
(主が目立つなとご命令を下していたので・・・)
(もういいんだ、俺が・・・俺達がすべて蹴散らしてやるから)
(御意)
馬から翼が生えてくる。これが力を取り戻した本来の姿だった。
(お前、何か隠しているだろ?)
(実は記憶の封印が解け、真の名を取り戻しました)
(レオだろ?ずいぶん待たせたな)
(!!!・・おぉ覚えておいでで・・・・主よお待ちしておりました)
(またよろしくな)
ボレアレスの漆黒の体が次第に金色に変わっていく。
MMO時代課金ガチャでゲットした限定ものだ。
飛ぶと早い早い。軽く音速超えているんじゃないかと。もちろん飛んでいる間は話しても聞こえないのでPT会話がもっぱらです。
(ウッド、このまま研究施設まで直行だ)
(了解っす)
(シズク大丈夫か?辛くないか?)
(うん、大丈夫)
シズクが胸にギュッとしがみついていた。
カインの研究施設に到着して真っ先にシズクの目の確認をお願いした。
「で、どうなのよ?」
「まったく相変わらずですね、あなたは。なんで容姿が変わっているんですか・・・。まぁ良いです本題に行きましょう。まず、目に異常はありませんでした。」
「なら何で視力が?」
「視力というか、彼女にはすべてが見えていると思いますよ。多分ですが神降しの際に神が何か手を加えたのでしょう。いわば後天性の神からの贈り物、千里眼です。彼女の目にかかれば距離など無意味です」
「は?だってふらついて大変そうだぜ?」
「距離感が掴めないのでしょう。慣れてくれば問題ありませんよ」
ウッドと一緒にシズクを見ると、頬を赤らめモジモジしていた。
「策士っすね・・・シズクさん・・・俺達の心配って・・・」
「違う、慣れていないから。しばらくレッ君のお世話にならないと駄目」
「でもよかった、俺のせいで視力を失わないで・・・」
「視力無くなってたら、即結婚。ずっと一緒」
「あ、はは、そうだよね」
「レッドさん、お話し中すいません。例の水晶の件でお話が」
「何か分かったの?」
「えぇ、ライラさんから書簡が届きまして調べたところ、書簡に書かれていた事と一致したのです。あれはレッドさんからでしょう?」
「えぇ、まぁ」
「基本的に書かれていた事と一緒なのですが、一つ違う点というか手が加えられていたというか」
「どんな?」
「まず、エーテルから瘴気を作り出すことは一致しております。ですが、そこに指向性が加えられていたんです。理由は分かりませんが壁を作る感じにです」
「ほほう」
「ここに保管されている水晶は破損していてその指向性が失われていたのですが、欠片を調べていくと、おかしな魔力回路が組み込まれていて、それが指向性を持たせる回路だと分かりました」
「へぇ、面白いな」
「えぇ、私も分かってきたことがあります」
「何かな、言ってみて」
「「中央に封印したい何かがある」」
カインの言葉に被せた。被されたカインは驚いていた。
「まさかレッドさんは何か知っているので?」
「知っているも何もなぁ、シズク、ウッド」
「兄貴の目標の一つが中央大陸に行くことっす」
ウッドが代弁してくれた。
「ですが、瘴気付近の海流を調べても大陸があるという結果は出ていないはずです」
「まぁな、俺も3国、いや4国回ってみて感じたことがあったんだ」
「それはどんな?」
「中央大陸はそんなに狭くない、だよ。でも分かるだろ?」
「えぇ、でもそこに必ず何かがある、ということですね」
「そう、まずは中に入ってそれが何なのか調べたいんだ」
「分かりました、レッドさん方が発見した施設の装備と書類を再度調べてみます。そこに何らかのヒントが隠されているかもしれませんので」
「うん、頼むよ。それと魔力エンジンのコアパーツ見たい?」
「見せて下さい!!!」
「良いけど、取扱注意ね。取り扱いを間違えると一国が吹き飛ぶかもしれないから」
「わ、分かりました・・・一日頂きたいのですが?」
「いいよ、しばらくここで装備作る予定だし」
その日から構想段階のOBの改良版をウッドとカインも巻き込んで研究していった。
のんびり書いていきます。