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ブランドって

10


 しっかりと休息を取ったことで心身共に悶々とすることなく、すっきりとした朝をむかえることが出来た。部屋を出でキッチンに向かうと食卓には月花が居たので、午後に出発することを伝え外へ出た。


 行先はモッチョのところだ。卸した品物の売れ行きを確認するのだ。売れた時の嬉しさは何とも言い難いんですよ。プレイヤー時に流れを読みボッタ値で売り出して、それが売れた時の嬉しさと一緒ですね。いつものように路地裏に入り周囲を確認して変装し商会の建物に入る。


「モッチョは居るか?」

 受付のお姉さんも慣れたもので、すぐに応接室へ通してくれた。しばらくすると寝癖のままでモッチョがやってきた。それを見て朝早くにごめんねと内心笑ってしまった。今の時刻は6時半なので言うほど早くもなく普通だよね。元の世界での会社は9時出社だったから通勤時間を考えると起きていてもおかしくない時間だが、会社の代表となると重役出社なのかもしれないとあれこれ考えていると。


「た、大変御見苦しい姿で恐縮ですが今日はどういった御用で?」

 そんな俺の思案顔を見てモッチョはあたふたしていた。


「いや、売り上げどうかなって」


「左様でございますか。では、すぐに出勤準備をしますので少々お待ちください」

 モッチョが部屋を出ていくと、紅茶とケーキが出てきた。ここの旨いんだよな。これがあるからわざわざモッチョを呼んでいる部分もある。

 でも忙しいモッチョには、わざわざ相手させることも悪いし、次からは受付のお姉さんに全部やってもらうことにしようと色々考えながらケーキを頬張る。今日のケーキはモンブランだった。栗の甘みと高級紅茶の香りがたまらない!おかわりを頼みたかったが、レシピは解析で分かったので我慢する。あとで材料揃えて皆に食べさせてあげよう。その時はお腹いっぱいになるまで食べてやる。そんなことを考えているとモッチョがやってきた。


「お待たせしました。こちらが今回の売り上げになります。全部で1500万Gになります」


「って、おいっ!」

 あまりの高額に驚いて紅茶を吹き出しそうになった。


「申し訳ありません。流通を制限しておりますので、全部売れた場合はあと500万Gほどになります。ファング様もご存知だと思いますが需要と供給なのです。手前どもの手際の悪さを痛感しておるところです」

 いやいやいや、そうじゃなくて、儲かりすぎだろ!俺の中では500万G超えたら儲けたな位にしか考えてなかったのに、全部売れたらその4倍じゃん。どんな魔法ですか。


 うーん、どう返したらいいんだろう・・・雰囲気で行くことに決めた。


「そうか、ならば良い。すべてモッチョに任せよう。期待を裏切らないでくれ。明後日にまた納品に来る」

 威厳を保ちつつ平静を装い答えた。


「かしこまりました。お待ちしております」


「一つ確認だが、きちんと手数料等税金含め差し引きしたうえでの私の取り分と理解していいのだな?」


「もちろんです。今年度の商会の売り上げは過去最高になる事でしょう。これもファング殿のおかげです」

 そう言って平静を装い、金を受け取り部屋を出る。辺りに誰もいないことを確認し変装を解く。


(マジ大儲けじゃん!)

 心で叫びガッツポーズをする。


 先程の興奮が醒めぬまま街一番の大通りにある商店街へ向かった。市場調査を兼ねて通りを見てみると、ところどころに大きな文字で〔ファング製〕の文字が見える。あれってもしかしたらと思い近付く。


 俺の作った武器防具が並んでいた。値段を見ると、5万G位かと思っていた物が15万Gだった。モッチョよ・・・・。店を見渡すとそれ以外にもファング製財布、ファング製トートバック、ファング製まな板とか、作った事が無いものばかり。


(やるなモッチョ・・・・)


 ブランドの顔ともいうマークが幻獣フェンリルの顔になっていた。これはかなり中二を心得ているようで好感が持てる。作ったことが無いものを鑑定すると、ファング製と名を付けるだけあって粗末な作りではなく問題が無い品質だった。そもそもブランドなど創業者がすべて作っているわけではないし大丈夫でしょ。まぁしかし命に係わる武器防具に関しては問題があれば、逆にブランド力を失墜しかねないので確認するとしっかりとファングの銘が入っていたので安心した。


「おや、兄ちゃんもファング製を探しに来たのかい?次回入荷未定だから早く買わないと、いつ買えるか分からんからな!早く買ったほうがいいぞ」

 ほほー、射幸心煽ってくるか。店員の教育にも隙がない。モッチョの評価を2段階上げた。


「でも価格が高いので、俺には無理そうです」


「そうか、でも自分の命を守るものだから妥協はするなよ。死んだら元も子もないからな。

ファング製の武器防具の出来は保証する。お金が出来たら買いに来い」


「丁寧にありがとうございます」


「まぁ、売り切れてなかったらだけどな!がははは」

 いやぁ、そんなこと言われたら無理して買っちゃいそうになるよね。


 すべては見ていないのだが、たくさんファング製品を見かけた。明らかにパチもんもあったがモッチョ商会系列の店舗ではなかったのでスルーした。その辺りの対応はモッチョ商会に任せることにする。まぁしかし予想の3倍の値段で売ってれば、そりゃ儲かるわなと思いながら宿へ帰った。


 宿屋の主人に挨拶し部屋に戻るとみんな思い思いに過ごしていたが、俺が帰るとみんな俺から目を離さなくなる。

(なに・・・なんで?何か付いているのかな・・・)

 みんな今まで通り好きなことやっててよ、と思う。お茶を飲もうとするとリティスが先回りして用意するし、椅子に座ろうとすると両隣の席の奪い合いが始まるし。でも楽しいからいいか。


「みんな昼どうする?どこか食べに行こうか?」


「「「「いくー」」」」

 一糸乱れぬとはこのことだ


「その前に食材も買うから、その後に宿屋前集合でいいか?」


「「「買い物つきあいます」」」

 みんな来んのかよ。宿屋の主人にオススメスポットを聞き、みんなの希望を聞きながら、食材を買うことにした。


希望は以下

カレー

シチュー

ハンバーグ

ステーキ


 という事だったので食材を買ってアイテムボックスへ入れて買い物は終了。そのまま宿屋には戻らずオススメスポットへ向かう。しばらく歩くと、どんぶりの看板が見えてきた。そうです、昼食はラーメンです。店に入り8人分の特製ラーメンを頼んだ。

 待つこと10分で着丼。鶏白湯だった。コーンスープのようなトロっとしたスープに細麺。麺にスープがしっかりと絡む。味は鶏ガラを想像していたのだが、見た目通りコーンポタージュのようだった。

「!!!」

 旨すぎる!みんなも夢中ですすっていた。途中、薬味と酢で味変を楽しみスープまで完飲。これ太るやつや・・・。みんなも満足したようだった。


「じゃ、帰って準備をしてダンジョンに行くか」


「「はい」」

「は・」

「おkにゃ」

「行くっす」

「「よろしくお願いします」」

 いいね、やる気があって。


 宿屋を出たのが15時位だったので、今日はダンジョン前でキャンプだ。コテージを用意し明日に備える。

 俺の脳裏に幅寄せがちらつき少し憂鬱になった。贅沢な悩みなんだろうけど、みんなまだ子供感ありすぎだし、大人なダークエルフのリティスに至っては我慢できないくらいに心が揺さぶられるのだ。大陸一の大富豪になるまで我慢です。ひとまず攻略が終わるまでの間、悶々とした生活が続く。


 俺はこの危機を乗り越えられるのだろうか・・・


拙い文章ですが、読んでいただいている方に感謝です。明後日あたりにノートPC到着予定です。


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