歯車とパーツ
歯車が回る
歯車が軋む
歯車が鳴く
歯車が嗤う
歯車が嘆く
表情をくるくらりと変えて鳴く歯車
ある日、そんな歯車が停滞した…
歯車が叫ぶ!
歯車が叫んで、叫んで、叫んで…
遂に、毀れてしまった
あれは、私のこころそのもの
同時に私を動かすものだった
壊れる瞬間、私の中にある、なにかが爆けるのを感じていた…
それを何処か遠い世界の出来事だとでも言うように
もう一人の私が”それ”を見ていたんだ
私は私。
貴方は私?
貴方も私。
私も私…
「そうよね」
どれも全部”わたし”
”ワタシ”自身なのだ
私の世界にある、私を作動させる機械は、全て一つずつしかない。
それらは全て私だけの物なのだ
その筈なのに…
私の中にある部品の一つは壊れてしまった
私は停滞する
私の世界まるごと
時を止める…
もう戻らない
いいや 戻せない
あれは私の中にある一つだけのパーツだったのだから…
あの歯車は心臓と同じを音を立てて鳴く
だけど、それはもう鳴きもしないの
波打ち際の砂の城も崩れ去って
私の中に居たあの子がくすりと微笑を浮かべるのを見た直後…
私も意識を暗闇の中へと手放した…
闇が微笑を浮かべながら、私をそっと包み込む
この世界では
パーツが無くては生きられない