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四夜の迷霧  作者: 知和知和
一作目『霧煙りの灰色』
9/16

8.

 遠く揺れる意識の果て――。

 闇夜に谺する奇怪な音。


 音は形となり、渦を巻くように唸り声を上げている。

 轟音の潮流に、身体は引き摺り込まれてゆく。


 底へ……、底へ……。

 昏い水底へ……。


 あれは……?

 ああ、あれは黒い塊……、黒い塊たち。


 水底には黒い塊が数十……いや、数百。

 亡霊のように蠢いている。


 それらが、こちらを見上げている。

 渦に巻かれ、落ちゆく姿を、じぃと彼らは見上げている。

 その表情は、心なしか笑っている――ように見える。


 決して。

 決して表情など見えるはずがないのに……。

 黒い塊に顔など……表情など、ないのだから……。


 なおも身体は底へと引き込まれてゆく。


 ああ、ダメだ。嫌だ。

 そこに……。

 そこに行っては……。

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