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信仰の馬と月の加護

男が東の村から馬を走らせて王都に着いたのはその日の内の夜のことだ

これは恐るべき事だった。並みの馬なら2日かかる道を朝に出て夜に着いたのだ。

途中町を2つ越えてきた。立ち寄る事もなくひたすら走らせた。

男も馬も限界だった、へとへとに疲れきっていた。

馬は横になり男は這いつくばって呼吸を整えるのもままならない様子だ。

男は馬術の名手である。

水の信仰の家系に生まれながら陰のマナを宿している。しかし、代々続く信仰を変える訳にはいかず自身が持っていない水のマナの神を崇めなければならないのだ。


マナは一人一属性とだいたい決まっている

この世界では自身のもって生まれたマナと信仰が合わないことはよくある事だ。

普通の家庭なら自身のマナに合わせて信仰を変えることも珍しくはない

しかし、神官等の家庭に生まれたならばそうは行かないこともある。



そんなことはないのかもしれないが、両親や回りの目が冷やかに感じ、肩身の狭い思いをしている。

しかし陰のマナのお陰で夜目がきいた、獣とも少し心を通わせる事ができた。

今、男の横で倒れている愛馬はただの馬ではない、額に真っ白な角が生えていた。一見すると白馬の様だが青みがかっていて何とも不思議な気品を感じるものがあった。

これは男が熱心に水の信仰を努め、馬術の素質を見いだされ湖のエルフから頂いた馬だった。男の自慢であり宝であり、ある意味では命より大事なものであった。


男が王都に来た目的はひとつ騎士団への要請である、あの黒い霧やその他の懸念がある

一刻も早く伝えなければならない、しかし、最早その身体は一歩も歩く事は出来なかった。


男が動けずうずくまっていると不思議なものを目撃する、ここはまだ王都の外れの門の外側で明かり等はない、

もちろん夜なので辺りは暗闇でわずかに月の光が道を照らすていどなのだが、男の目の前を少女が通って行く。

こんな時間にどこからきたのか?女の子が一人で出歩く時間ではないしましてここはまだ王都の外側だ。

しかし不思議なのはその少女の姿がハッキリとわかることである。

確かに男は夜目がきいた。暗闇の中でもどこに何があるか、人がいたならその性別やおおよその年齢位は判別出来たかもしれない。

しかし、髪の色や着ている服の色、まばたきのひとつに至るまでハッキリと見えるのである。

少女は男に気付いたらしく近寄ってくる。

普通なら気味悪るいのかもしれない

不思議と彼女が自分に害をなす者でないことがわかる


「月の加護がありますように」


少女は静かに呟くと男は最早一歩も歩く事が出来なかったはずなのに立ち上がり入口の門まで歩く事が出来た。

しかし、呼吸を整えるのもままならない、門番にダーヤマから預かった手紙を渡すと気絶するように眠ったのだった

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