幸せのカタチ
おお〜何かイチャついてるとしか思えない光景を、意外と近くから見ているんだが。俺は取敢えず、真赤になりながら訴えているユリウスの肩をポンポンと叩き、サムズアップをしながらガンバと伝えた。俺に見られていた事に気が付いたユリウスは、
「れれれれ…レ、レイブンさん…違います。違うんです。揉むとか揉まないとか!ちちち違うんです〜!」
今まで、ユリウスにしがみついていたクリスティア宜しく、今度は俺にユリウスがしがみついてきた。苦笑いを返すと、絶望的な顔をした。
「大丈夫、大丈夫!二人は夫婦なんだから、可笑しいとこなんてなぁんにも無いじゃ無いか。」
そう言えば、複雑な表情に…。
「そうですけど!…何だか僕が何時もえっちぃ事ばかり考えてるみたいな気がして…恥ずかしいですよ…」
そう言うので、
「ええぇ!男ってそう言う生き物でしょう?ユリウスが人間らしくて俺は安心するな。」
と答えた。すると少しだけ安心した様に、胸を撫で下ろしたユリウスに、クリスティアがすくっと立上がり、
「ユリウス!レイブンさんとイチャイチャするの止めて下さい!」
そう声を荒らげた。面倒くさい夫婦だなぁ。
「まぁ取敢えず急いだ方が良くないか?」
そう言えば、今日がなんの日か忘れていたらしい二人が慌て出し、ザラを連れて駆け出し、それに続く様に俺は歩く。場所は分かってるし、仕事の無い俺は、ただの見物客、賑やかしだ。
カイルが通り過ぎる3人を廊下で見送り、
「走っちゃ駄目ですよ〜。」
と気が抜ける声を掛けている。少し後を歩く俺を見て、肩を竦めた。
「言う程走ってなくない?」
そう、ユリウスの足が遅いから、俺は悠々と歩いてられるのだ。コクリと頷いたカイルは、
「だが、本人は本気の走りだからな。」
優しいね…その気遣い。今日のカイルの服は、いつもと違った。まあ俺も違うんだが…。俺はどんな、服がいいか聞かれて、ここの騎士団の服の予備でいいよ…と答えたら、式典用の騎士団の服を渡された。白い生地に金の縁取りが有り、裏地は赤い。その赤が襟と袖口の折り返しで見える。俺は日本人だし余り合わないが、カイルやアルフレッドには流石似合っていた。
ユリウスは同じ軍服だが、色が違った。白と金の縁取りは同じだが、中の色が薄い水色だった。どうしてか訪ねたら、伴侶の色だってさ。ノエルは若草色だった。エリーサさんの瞳の色だ。階級関係なく、伴侶に敬意を示すんだってさ。チーフとか、カフスとかでじゃないんだな…とか思ったよ。でも、ユリウス曰く一目で分かるんだとか。申請すれば、婚約者でも出来るそうだ。遠くからでも分かるだろ?との事です。赤は独身者の色だが、騎士団の繋がりの現れだそうだ。
「格好いいなぁ〜。」
と言ったら、
「だからレイブンにも着て欲しいんだとさ…皆。」
うお…俺を泣かせたいのか?すげぇ嬉しい。
「じゃ…ミツルギさんは、何着るの?」
と聞いてみた。その問いにカイルは大きく首を捻り…、
「…分からないな…先生は姿を現すかさえも分からん…。」
そう答えた。カイル達はミツルギさんを先生と呼んでいる。アルフレッドと、クリスティア、それにユリウスは師匠と呼んでいるが…。俺よりも遥かに辛く厳しい状況だったのに、自分の能力に目覚めて生き延びるとか、もう格好いい異次元の存在だ!しかも、日本語話せるなんて…嬉しくて嬉しくて、初めて会った時泣いてしまったよ。ミツルギさんの話を聞いて2度も泣いてしまった…。やっぱし俺の心の中では師匠と呼んでいるが、ミツルギさんに止められたので、普通にさん付けで呼んでいる。ミツルギで良いよ?と言われたが、畏れ多いぜ。ミツルギさんとも話したが、何ともここは居心地良い。皆が人を思い遣る、一番偉い人が人が良過ぎる…、そんな話しをしたが最後はやっぱり二人そろって、
「「スライム愛が面白い!!」」
そう、ユリウスの努力がどうなるのか気になって仕方ないのだ。面白いところを見逃したく無い。俺も本当終わってるな…。




