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幸せになって欲しいのです

ユリウスと公爵様が、今後の事の詳しい相談をして、私はヨシュア様を連れ出し、針子の待つ部屋に招きました。ブライズメイドを引き受けてくれたので、私とお揃いのドレスを作る為です。ヴィヴィの懇意の針子はとても優秀で、早いが丁寧な仕事をこなせる方達です。私のドレスはもう出来ていて、同じデザインだけど、どこか違う素敵なドレスをきっと、作ってくれます。

エリーサの子供達にお願いして、フラワーガールをしてもらう事が決まりました。割と普通の結婚式を目指して…。ヴィヴィは2回目だけど、お義母様は初めてだから、思い出になる様に。

皆でドレスを揃えるのも良いと思ったのだけど…ユリウスに止められました。ブライズメイドと…ユリウスの可愛いちょっとした嫉妬の理由も聞けたから、ここは諦めてあげましょう。ザラちゃんも出席してくれると返事をもらいました。ただドレスは断られ…と言うか、作る必要が無いって。元々、ザラちゃんの服は魔力で出来ているので、自由に変えられるそう…。出席する時、お楽しみと言われたの!凄く気になります。

城内の人達と、お義母様の家族、ライリー叔父様の家族を招待(私の家族でも在りますが)しましたし、師匠も出席してくれるんですって!

そう言えば、師匠とレイブンさんが凄く意気投合して、良く分からない言語で話をしているけれど…。レイブンさんが師匠を、リスペクト?兎に角凄く格好いい!と泣きながら言っていて、ドン引き…いえちょっと…思う所が…有ったと言うか…。うん、距離は大切ですよね!

式は、城内にある礼拝堂にて行うのだけど、司祭様にも他言無用で、お願いしているみたいです。ユリウスの話では、この5年の間に、レナード様の名前を本格的にヨミに改名させていたそう。だから、婚姻証明にヨミと書いても、女神様の怒りを買う事は無いのですって。流石ユリウス、抜かり無いのだけど…。でもレナード様が生きて居る事を、私にくらい教えてくれても良いのに…。私は全然、気付きませんでした。ちょっと、レナード様に文句を言いたい事が有ったのですが…、もう良くなりました。ヴィヴィも、…態度では面倒くさがっているユリウスも、幸せそうですから。

さあ、後もう少し頑張りましょう。全てが終わったら、ヴィヴィと相談して、薬草の温室を作るつもり…。これからは、お義母様にヴィヴィとずっとお城で一緒に暮らせるのが凄く嬉しい。そう伝えたら、ユリウスが顔を顰めて、

「僕はサリアース君にどう説明したら良いか、凄く悩んでるよ…。」

やっぱり、そのままは言えないし、市井になったとも言いにくいみたいです。皇国に伝わったら、どんな反応を返されるかわからない…。我が国は小さいから、皇国には敵わないので、デリケートな問題です。城内で暮らす彼に何時までも隠せないですし、でもヴィヴィに言わせれば、今の皇国の皇帝はヴィヴィに余り強く言えないらしいです。どうして?と問えば、笑って教えてくれません。ユリウスに聞いてみれば、昔ヴィヴィが怒って無茶をして、怯えられたと教えてくれました。でもユリウスも、何をどうしたかは知らないそう。そう聞くと、今度は恐ろしくて聞けなくなりました。

ヴィヴィを知ったのは、ユリウスが、私の屋敷で生活する様になり、侍女に混じって辺境伯の領地に来た時でした。ヴィヴィの事を勿論お父様は知っていたと思うけれど、何も家族には告げませんでした。ユリウス自身も、最も信頼出来る親戚のお姉様のそれでしたので、自然と私達兄弟もそう言う扱いになっていました。ユリウスがヴィヴィと呼ぶから、私達もヴィヴィと呼んだし、ヴィヴィもそう望んで居たと思います。歳の離れた姉の様に感じていました。

私が弟の為に、薬を作れないかと色々試していた事に初めに気が付いたのはヴィヴィでした。ユリウスには、自分から伝えて居たけれど、親よりも先に気付くヴィヴィは流石です。ただ、凄く怒られました。薬にもなるし、毒にもなる…その恐ろしさを知らない子供に、本気で怒り、一緒に考え導いてくれた人。そして私の指の魔法陣にも初めに気が付いてくれた人。

そして何より、ユリウスを狙った毒にいち早く気が付いたのは、ヴィヴィでした。その毒の種類から解毒剤を見極め、ユリウスを助けた人。彼女は私の中で、一番のヒーローなのです。

そしてそのヒーローが、心酔し寝ても覚めても心が一杯になっているのが、ユリウスのお義母様。

全然違う二人の女性が、まるで半身同士の様に寄り添っている姿は、微笑ましくも一生の友の存在の強さを示してくれる様です。でも結婚の報告を受けた時、二人なら有りかと思ってしまった事は許して欲しい…です。


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