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察する事が出来るのは、良い女の証

ユリウス様から、私宛に手紙が届いたと、ロバートがトレイに載せた手紙を持ってきた。受け取り少し悩んだ。お父様でなく、私に来たのは何か有ったのだろうか。ペーパーナイフを使い、奇麗に開けて、中を取り出した。便箋は王室だけで使われる、透かしの入った紙なので、間違いなくユリウス様が出したものだ。目を通しロバートを見ると、心配気に、私を見ていた。

「ヨシュア様、何かございましたか?」

そう尋ねられたが、

「いいえ。ただ明日にでも、お父様の体調が良い様で有れば、城に来てほしいと…。その時、私も一緒にと…言うのだけど…。」

内容は書かれておらず、ただ登城する様に言ってきたのだ。ユリウス様らしく無いが、何か有るのだと思い直し、伺う旨を書状にし、直ぐに返した。お父様の寝室を訪れれば、すっかり元気になった姿で、窓の外を見ていた。庭は、夏の花達が競い合って咲き誇っている。

「お父様、少し宜しいですか?」

そう声を掛ければ、優しい瞳をこちらに向け、ソファに座る様に促された。先程の手紙の旨を伝え、明日一緒に登城して欲しいと伝えれば、わかった、と頷いた。

「もうすっかり良くなった。これから少しずつ、仕事に戻ろうとしていたから、丁度ユリウス様に挨拶しようと思っていた所だ。」

そう言い笑ってくれた。本当に良かったと、私もロバートも嬉しく成って涙が出そうだった。嫌、実際ロバートは泣いて居たと思う。


次の日の午前11時頃、お城に登城した。謁見の間に通されるかと思ったが、そのまま執務室に通され、ソファにて待つ様に言われた。直ぐにクリスティア様がお茶をワゴンに載せて運び込まれ、私達に振舞ってくださる。とても美味しく、お父様が凄くいい笑顔で飲んでいて安心した。

「ごめんなさい。ユリウスも直ぐに来ますから…。もし辛ければ、クッションをもっと用意しますか?」

そうお父様に聞いている。お父様は体が悪くなる前は、宰相の真似事をしていた。と云うのも、前宰相が国費を横領していた為、ユリウス様によって告発され、実刑判決がおりた。その際空白の椅子に誰を置くかとなり、誰も文句のつけられないお父様が仮の宰相となったのだ。そして、官吏の試験受けたクリスティア様とアルテア様を後継者として、仕事を教えつつ、自分の仕事もこなしていた。

「ヨシュア様は、来年の官吏の試験を受けるのですよね?私楽しみにしてるんですよ!」

クリスティア様は気さくな方で、良く話し掛けてくださる。はいと頷けば、良かった!!と言い早く一緒に仕事がしたいと言われた。こんなに綺麗な人に見られると恥ずかしく成って来る。

執務室にノックの音が響いた。クリスティア様が

「はい。」

と答えると、アルフレッド様に、アルテア様、続いて凄く綺麗な女性が二人、それからユリウス様が室内に入ってきた。誰だろうと、女性達を見ていると、急にお父様が立上り、最敬礼をされた。慌てて私も、立上り頭を下げる。

「久しぶりですね。体調が優れなかったとか…。もう大丈夫なのですか?」

黒髪の美しい女性が声を掛けてきた。お父様がはい、と答え、

「ヴィクトリア陛下、御心配をお掛けして申し訳有りません。」

と答えている。えぇ!ヴィクトリア様?私が物心付く頃には、お姿を拝見する機会が無くなって居たので、初めて会った。思わず震えそうに成って居ると、

「座りなさい。」

そうお声掛けされ、着席する様促された。私達の前にテーブルを挟んで、ヴィクトリア様と、もう一人の女性が座った。その後にアルフレッド様、アルテア様、ユリウス様が立っている。クリスティア様がヴィクトリア様達にお茶を出し終わると、ソファをポンポンと叩き、もう一人の女性がクリスティア様を隣に呼んだ。ニコニコしながら、クリスティア様が隣に座る。何時もの凛とした美しさだけじゃ無く、子供の様な笑顔である。

「初めにこれから話す事は、私達の私情なので、この場では言葉遣いも気にしなくて良いわ。」

そう言いヴィクトリア様が話し始める。

「先ず、アークロイド公爵も多分初めてよね?こちらは、ユリウスの実母オリビアよ。」

そう言って、女性を紹介した。確かに優し気な面影が、ユリウス様に似ている。軽く頭を下げたオリビア様は、ふふふっと笑い、

「ヴィクトリア、私アークロイド公爵閣下にお会いした事有るわ。昔一度城に来た時に、お会いしたのよ。」

そう言った。それにお父様も頷き、

「そうですね、ご挨拶させて頂きました。今もお代わり無く美しく、何処のお嬢様かと思いました。」

そう返したが、嫌味に成らないかとハラハラする。

「ヴィヴィも、お義母様も昔から綺麗なの変わらないのね!良いな〜。」

クリスティア様が、二人に砕けた言葉遣いで話していて、驚いた。それには、お父様も驚いて居るようだったが、面には出さずに話を続けた。

「それで、今日はどの様な事でしょう?」

そう言うと、

「私達、結婚する事に成ったので、その際のブライズメイドをヨシュア様にお願い出来ないかと思って…。」

そう言って来た。思わずハアと声が出た。するとクリスティア様が、

「私もするのよ!ヨシュア様宜しくね!」

と言われた。嫌、今のハアは返事じゃないです。と言いたいが…言い出し難い。

「クリスティア、今のは返事じゃあ無いから。ビックリして出た言葉だよ?」

ユリウス様!その通りです。

「お二人が結婚するのですか?」

と聞くと、二人が同時に頷いた。が、慌てて、ユリウス様が説明に入った。

「誤解しないで、2組が同時に結婚するだけだから…。この二人が結婚するんじゃ無いから。」

その言葉に、ああ!そうかと、自分の思考が悔やまれた。

「オリビアと結婚出来るなら、したいなぁ。」

ヴィクトリア様の呟いた言葉にギョッとしたが、ユリウス様がハイハイと軽く流して居る。強い。

「この婚姻により、二人は市井に成りますが、何分周りの環境を鑑みまして、後宮に自費で改装をし住みたいとの事です。どうでしょうか?アークロイド公爵。」

そう問われれば、

「えっ、貴族ではないのですか?後宮に入っても大丈夫な身元のハッキリしている方達なのですか?」

と聞き返している。ああー、とか、ううーとか言った後に、ユリウス様が、アルフレッド様に目で合図をすると、アルフレッド様は部屋を出て行った。

「ええと、お母様のお相手は庭師のライリーです。元辺境伯の三男で、今は知っての通りです。二人はその、子供の頃からの知り合いでして…。」

ああ、昔から好き合って居たのが察せられました。

ノックがされたと共に、扉が開き、アルフレッド様に担がれた男性が入ってきた。

「えっ。ヨミ君ですか?」

お父様が凄く驚いている。ヨミ君と呼ばれた男性は、寝ていた。一人掛けの椅子に座らせられた彼はずっと寝ていた。執事の格好をして居るのに寝ている!?もう疑問で一杯になる。

「アークロイド公爵も知っておられる様で安心しました。何分何時も寝てるので…。彼がヴィヴィの夫になる人です。」

そう言うと、実に微妙な顔をしたお父様がいた。

「ええと、本人に確認は取れているのですよね?寝たまま確認した訳じゃ無いですよね?」

と聞いている。寝ているのは何時もなのも察せられました。

「私の事何だと思っているの?キチンと本人確認してるし、何ならちゃんとプロポーズもされたわよ!」

そうヴィクトリア様が憤慨されたが、ヴィヴィとユリウス様に止められた。その時、

「僕が説明しよう。」

いつの間にか起きたヨミ君の声がした。その話し方は、今まで寝てたとは思えない程ハッキリしていた。狸寝入りだったのかも?何て…思っていると、それどころじゃないお父様の声がした。

「な、な!」

言葉にならないみたいだった。ヨミ君が隠れていた髪を掻き上げると、何だか今まで見えなかった顔が、凄くハッキリ見え、40代後半の落ち着いた顔が現れた。何だか、キースお兄様に似ている。

「レ、レナード!どう言う事だ。君は…何故…!!」

お父様から、レナードと言う名前が出た。つまり、王様だ!死んだ筈の王様の名前だった。

「済まない、ウィル…騙す様な事をして。僕が死んだ事にすれば、ユリウスに迷惑が掛からないかと思ったんだ。ユリウスが王に成ってから、本当の事を、ユリウスに報せたんだが、他言無用を願い出たんだ。だがどうしても、ヴィクトリアを諦める事が出来なかった。」

そう言い、お父様に深く頭を下げる。お父様はもう言葉が無くなって、ずるずるとソファに背を付け倒れそうに成っている。

「叔父様、申し訳有りません。僕がしっかりしていないせいで、皆さんに迷惑を掛けてしまいました。」

ユリウス様も頭を下げた。

「…これから…どうするつもり何だ?」

お父様が低い声で尋ねると、

「ヨミとして生きていくつもりだ。そして、ヨミとしてヴィクトリアと結婚する。これは、大々的に出来ることでは無いが、許して欲しい。」

とヨミ君…レナード様が答えた。大きく深い溜息をお父様が着いて、

「私は、ユリウス様が大切だ。だから、この事は無かった事にする。これからは、しっかり執事としてこき使ってやる。覚悟しろ!」

そう指をレナード様に、突き付けた。そうすると、レナード様が子供の様に嬉しそうに笑い、大きく頷いた。

「ウィルは昔から優しいね。甘えてばかりでごめんね。もう、王じゃあ無いから、子供の頃に戻りたいな?」

そう言った。レナード様とお父様は、仲が良かったのかしら?すると、お父様が、

「お前可愛く無いから嫌だ。」

と言ってクツクツと笑っていた。お父様良かったですね!

「それで、ヨシュア様はブライズメイド引き受けて貰えるでしょうか?」

そう聞かれたので大きく頷いて、

「私で良ければ、宜しくねお願いします。」

と答えるのだった。






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