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食事中は囁くように

ヴィヴィが来たことにより、城内は賑やかに成った。もともと、この国の王妃だった人で、僕が現王だとしてもその影響力は大きい。お母様は殆ど侍女扱いだが、これも仕方ない。なにせ誰も母を知らないと言って良いほどに、彼女は領地を離れなかったからだ。逆にどうしてこのタイミングで訪れたのか気になる。

「アルフレッド、申し訳ないんだけど何人か、護衛を付けて貰っていい?アルテアは閣下と母の部屋の用意をお願いします。」

そう言い二人に頭を下げる。

やっぱりお母様は勿論だけど、ヴィヴィは僕の家族だからね、良くお願いしておくよ。ここに、クリスティアが居なくて良かった。ヴィヴィはクリスティアの薬草の先生だ。毒に特に詳しいらしいが、それ以外にも造詣が深い。一番始めにクリスティアの魔方陣に気が付いたのも彼女だった。この二人一緒に居ると、何かと恐ろしい事が起こるのだ。

それにしても、クリスティアは師匠がたくさんいるなあ。非凡で人気者が嫁なのは、何だか嬉しい反面、皆に嫉妬してしまうよね?僕のクリスティアだし!

「ああ、それとサリアース君呼んで貰って良いかな?今日の夕食御一緒しましょう?来ないと後悔するよ?って言ってもらっていいかい?」

と付け加えておく。もう彼にもヴィヴィの噂は届いてるのかな?

ノエルの報告によると、何だかんだ言って、サリアース君は意外と馴染んでいるそうだ。皇国でも気が抜けない生活をしていたのだろうから、ここでもそれを発揮して、上手く捌いてるのかな?まあ、皆に合わせて貰ってるって言うところだろうか?

僕と同じに…。王様なんて、皆にうまーく転がされているだけなのだから。

夕食が楽しみだな。皆が居なくて少し退屈してたしね。今日はステビアとリコリスは招待するのはよしておこう。教育上問題が有っては困るし、ミントとお出かけする事にしてもらおう。


晩餐会と言うほどでは無いが、それなりの夕食はまるでお葬式の様に静まり返っていた。サリアース君は不貞腐れて現れたが、ヴィヴィを見たとたん顔色を無くし、終始俯いたまま食事を取っている。

それをニマニマと笑いを堪えながらヴィヴィが見ていた。君達の立ち位置が今一なのだけど?

「ヴィ…閣下、何か有りましたか?」

一応その顔を止める様に、遠回しで言ってみる。伝わってるくせに、

「あら?ユーリ、何かとは何?」

そう惚けて答えてきた。

「いえ、閣下とても良い顔をしていらっしゃる、何か良いことでも在ったのかと思いまして?」

何だか化かし合いみたいで疲れる。

「ふぅ。ユーリ、もういいわ。大体閣下と呼ぶのも止めて!何時もの様にして」

ああ、ヴィヴィも嫌だったんですね?分かりました。

「了解です。ヴィヴィ何でそんな顔してるですか?ちっとも綺麗じゃない。ニヤニヤするの止めてください。」

いきなりハッキリと言い放つと今度はサリアース君が、酷く狼狽えて居たのだが…何やってるの?

「だってユーリ面白いじゃなの?彼私の顔を見るまで、明らかに膨れっ面で、貴方を侮って居たのよ?ところがどう?私を見たとたん顔色を変えて、明らかに狼狽えているわ。これってどう言うことかしら?」

フォークで人を指すのを止めなさい。どうってこちらが聞きたいです。大体貴方達の関係性だって知らないのに。

「ヴィクトリア」

お母様が、一言声を掛けると、ヴィヴィは動きを止めた。お母様と、ヴィヴィの間ではたまにこう言うやり取りがある。お母様が、本気で不快に思ったり、怒っている時だ。今の会話に、お母様を苛立たせる何かが在ったのだな。

二人は本当にお互いに甘い。けれど喧嘩や意見の相違は人間だから必ずある。その時後で話が有ります。と、二人の間で決まりが在るのだ。何だか、熟年夫婦の様ですが?それなりの、結果があるので、未だに仲が良いのだと思う。

取り敢えず、

「ヴィヴィ、ここで話されても良いですよ?彼に何か話が在るのでしょ?ここに居る者は全て信用の出来るものですし、何でしたら私達が退席しても良いですよ?」

そう伝えると、肩を竦めて出ていかなくて良いわよと言い、ふっーと息を吐いた。

「何だか自分を見てるみたい。皇帝に命じられるままここに来て、膨れっ面で何もかも誰かが悪いと諦めてるみたいで嫌になるわ。」

少し苛立ちが混じった物言いにサリアース君は、反論する訳でもなくますます項垂れた。

「そんな顔を見せるなんて、自分に構ってくれって言ってるみたいで、笑っちゃうのよ?」

私がそうだったし?そう付け足した。何が言いたいのか、もう訳がわからない。兎に角自分みたいで見てられないとそう言うことですか?

「ああー。ヴィヴィもう少しきちんとした話し合いを希望します。抽象的な自分の思いは手紙にでも書いてください。」

そう言うと、渋い顔をしていらっしゃる。お美しいお顔が残念な事になってますが、よろしいので?

「嫌よ!何で手紙なんて書くのよ?証拠が残っちゃうじゃない!?私が要らんこと吹き込んだとか、平気で言う奴等なのよ?人の手紙も勝手に見ちゃう奴等なのよ!」

力説有難うございます。が、全然頭に入ってきませんよ。奴等とは?どなた達の事ですか?皇国の方とは思いますが?ここで出した物も回収されるのですか?

それはちょっと聞き捨てならないのですが?

「取り敢えず、ヴィヴィは彼が何しに来たか知っているのですよね?それについて何か言いたいことは有りますか?」

そう聞くと、ばつが悪い様にして居る。

「教えてくれないの?ヴィヴィ?」

そう、そっと聞くと、昔からこの聞き方に弱いヴィヴィは、口を開いた。

「今回貴方の即位に合わせて、皇国は姫を送るはずだったけれど、結局貴方は神前に宣言してクリスティアを妃としたじゃない?皇国としては、ちょっと思うところが在ったのね。連合国との繋がりも視野に入れて、弱味を握りたいと思ったのよ。」

私が居るって言うのに。そう呟きつつ続けた。

「出来れば、側室でも薦める下心も在ったんじゃないかしら?クリスティアとの溝を作ったりして?バカらしい、そんなの私が認める分けないじゃない?こちらは長年それで苦しんで来たのに。」

それは御察しできますが、サリアース君が来る意味がわかりませんよ?クリスティアを誘惑するとかですか?葬っても良いですよね?

「で、彼サリアースは私の甥では在るのだけれど、母は違う国の方なのね?小さな国の側室なのよ。これって、とても立場が弱いのよ。想像出来るでしょ?」

そう、まあ分かる。けど、僕とは関係無いんじゃ無いかな?僕の心を読んだように、まあ関係無いよね~。とヴィヴィが呟いた。

でもね…。

「関係はないけど、良い機会だと思ったのよ。彼が国から出て自由になれるチャンスだと思ったの。他の国を観て何か掴めないかな?と…。」

そう肉をフォークでつつきながら言った。

「ここは…。自由とは言えないかもだけど、もう煩い貴族も黙らせたし、貴方はそんな感じだし、良いかなと思ったの。だから、皇帝にちょっと進言したの。私のルートで、招くからって。ところが!」

バンっとヴィヴィの手がテーブルを打ち付け大きな音を立てた。

「ところがよ!この子勝手に途中でどこかに消えたのよ!信じられない!!」

憤りが、熱すぎて僕の額にも汗が浮かび始めたんですが?ヴィヴィちょっと抑えてくれませんかね?貴方は炎系の魔法が得意ですよね?漏れてますよ!

「わっ、分かりました。つまり勝手に動いて、捕まってる彼が情けないと言うことですね?」

「そうよ!もう馬鹿にするしかないでしょう?」

いや、馬鹿だと思うけど、馬鹿にするのはおよしなさい。






すみません。なかなかスライムを愛でれません。

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