表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/70

帰らずの森にたたずむ二人

読んでもらえて嬉しいです。

本当は、一人で来るはずだった。ところが何故か、二人で森の前に立っている。そう、俺カイルと勇者様である。何故か着いてくるのだ、この人。けど、ちょっと困り者だ。だって、打倒魔王とかいっちゃってるよ。

 いや、倒さないから相談にのってもらって、出来れば城に来てって言うだけだから。喧嘩ダメ。命の取り合い禁止。じゃないと、俺死んじゃうから。

 彼、勇者レイブンは人当たりのいい青年だった。裏表なくハキハキとした、人のよさを感じる。カイルより若い彼は、見た目も幼さが残る風貌で実年齢より、さらに若く見られるだろう。けれど、実に旅なれていて、いろんな言語に精通していた。どこの出身か聞いたところ、ずっと東の果てだという。本名はカラスマイヨクだとかなんとか。聞いたことがない言葉だった。そして、世界に国が沢山在るように、魔王も何人かいるらしい。そんな説明を聞きつつ、着いた森の入り口で呆然と立ち尽くしていたのだ。

 入り口には『君は死ぬ気か』『早まるな』『危険地帯』とか何故か沢山の立て看板が並んでいた。『気の迷いだ。人生悪いことばかりじゃない』いや、何があった?

 何十とたてられた看板は見応えがあるが、森への意気込みは一気に覚めた。

 「へー何々?『人を見て我が振り直せ』何だこれ。」

 レイブンもあきれている。

 「変だな?こんな看板誰がたてたんだ?」

 看板には、赤や黒のペンキで危険、入るな!と伝えたいであろう言葉が書かれていたが、何せ数が多過ぎて意味不明のものもあった。とにかく入ってほしくない!と言う気持ちは伝わった。が、だからと言って入らない訳にはいかない。とりあえず、居るか居ないかだけでも確かめなくてわ。

 俺は渋々森へと足を踏み入れた。勿論レイブンもついてくる。

 レイブンは、両腕を頭の後ろに組ながらついてきた。俺はといえば、回りに魔物が居ないかと気を張っていたが、あっけないほど何も居ない。いや、本当何も居ないのだ。鳥も、獣も。ある種の不気味さだけが漂っている。

 森の奥にも、看板が所々にあった。

 『君は間違えている。引き返せ。』『ここの先には何もない。』『人生諦めが肝心』『思いったったが吉日。』『ちょっと待て、一寸先は闇』

 まったくだ。思わずうなずきながら進んだ。帰らずの森、恐るべし。これは、帰らないんじゃなくて、入らずの森?看板の通りに進んでいくと開けた場所に出た。その一帯だけ木々がない。中央に一件の家がある。こじんまりしているが、なかなか立派なものだ。看板はこの家への案内板なのか?

 魔王がいるとは思えないが、とりあえず話が聞きたいので、玄関口にたちドアノッカーを鳴らした。小気味良い音が響く。とたんに、家に中から、ガタンガタンと物音が聞こえ続けてガシャンと、何かが割れる音が聞こえた。驚いて、呆然としていると、勢い良く扉が開かれた。

 「シルバ!」

 そう、叫びながら扉を開けたのは幼い少女。ところが、レイブンがいきなり剣を振りかぶり少女めがけ、袈裟懸けに振り下ろした。思わず脇に刺していたナイフを取り出しレイブンの振り下ろす太刀筋をそらすようにナイフで軌道を変える。そこら辺に売られているナイフなら、真っ二つだったろうが、これはユリウスが直々に贈ってくれた一級品以上のものだ。逸れた剣は、少女の髪を数本ダメにして横に斬撃の後を深々と残した

 「「なにやってるんだ!」」

 二人同時に叫んだ。

 「あんた子供にいきなりなにやってる」俺が叫べば、

 「バカ野郎こいつが魔王だ!」

 レイブンは叫び返す。はあ?なにいってんだ?俺はマジマジとレイブンの顔を見つめた。

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ