レイブンさんとお出かけ
クリスティアの入れたお茶の効果で、少し疲れていた体がリフレッシュされ肩も軽くなったし、目の疲れも取れた。しかも、とても美味しかった。流石です!ザラ様。今日の仕事も頑張れます。
夕食後、レイブンさんが城下に行くと言われていたので、
「一緒に行っても良いですか?」
と聞くと、レイブンさんはちょっと考えてアルフレッドに視線を向けた。思わず僕もアルフレッドをじっと見つめてしまう。こくりと頷くアルフレッドに、レイブンさんが笑ながら、
「良いよ。一緒に行こう。」
と言ってくれた。アルフレッドとカイルは、今日用事が在るため、一緒に行けないそうだし、ノエルは帰宅したところだった。アルフレッドが、寄宿舎に寄って誰か連れて行ってくれと言うので、レイブンさんと二人で行ってみた。ロビーに何人かの騎士が居て話をしている。
「あの~ごめんね、これから暇な人居ますか?」
と声を掛ける。こちらを見て慌てて側に寄って来た。
「ユリウス様、どうかしましたか?」
「何かありましたか?」
そう慌てて尋ねるので、ちょっと申し訳なくなる。せっかく休んでいたのに。自分勝手な行動出し。すると、騎士団に殆ど溶け込んでるレイブンさんが、
「ユリウスと俺出掛けるんだけど、アルフレッドさん達用事有るから、騎士で誰か一緒に行って貰って良い?」
そう聞いてくれた。流石勇者。
「あ、じゃ、私で良いですか?」
と、名乗りを挙げたのは、昨年騎士に成り立てのミントだった。カイルと同じ故郷の出身で、短く切ったひよこの様な髪型で、まだ幼さが残って居る、素朴な青年だ。彼も、カイルと同じで、襲ってくる魔物や、動物を日常的に撃退していたため、腕が立つ。ただ、まだまだ思慮深さが足りないと、アルフレッドがいっていた。でも、今日は城下だし良いかな?
「すみません。私たちは、これから巡回と、交代の時間になるのでお供出来ません。人手が必要でしたら、今呼んできますが?」
と聞かれたので、
「ミントだけで良いよ。レイブンさんも居るし僕の我儘だから、気にしないで?」
そう言い、ミントを連れて寄宿舎を後にした。
この国の城は山を背に、正面に街が在る。そして回りが堀になっていて、城に入るには城に続く唯一の道を通るしかない。城から出るときは、他にも方法が幾つか在るが、一般的に自由に通れる道はこれのみだ。堀はかなり深くて幅があり、水が張られている。この水は、魔法で湧き出ているため、枯れる事も凍る事もない。その堀の上に造られた道は天然の橋になっている。もし敵に攻められれば、その橋を破壊するという事で、城を守るのだとか?でも、ここ数十年戦争の気配もなく、自分勝手な殺し合いばかりが繰り広げられていた。
城は幾つかの魔石と魔方陣で防衛されているそうだ。それに加えてザラ様が、手を加えてくれたのだから凄いよね。
その城前の橋を渡りきると、少し広い石畳の広場に出る。綺麗な石畳で、僕が王都に来た時ここまでお父様が迎えに来た事があった。その時お母様も一緒だったが、二人は目も合わせなかった。
何故あの時、お父様が迎えに来たのか未だにわからない。まだ僕は幼く、王位継承にも関わっていなかったのだから。ただ、一目僕を見て直ぐに戻って行った。まあそのお陰でアルフレッドに、王都を案内してもらえたのだから文句は無いけど。
レイブンさんについて行くと、先ずは鍛冶屋に行くとのこと。研ぎをお願いしていた店との事。着いていった僕は物珍しくて中をキョロキョロと見学していた。レイブンさんとミントは、鍛冶屋さんから色々と話を聞いている。鞴を見ていたら、おかみさんがお茶をご馳走してくれた。
「あんたは聞かなくて良いのかい?」
と言われたが、首をふり、
「僕が聞いてもわからないです。専門の事は専門の人に任せます。」
笑ながら言うと、だね。と同意してくれた。その後、じっとこちらを見て、
「あんた誰かに似ているね?あれほら、誰だっけ?…。あ、王様のユリウス様にそっくりだね?」
そう言われ益々笑っていまった。
「そうですか?初めて言われました!」
そう答えると、そっくりだよ!?と言われ肩をバシバシ叩かれた。
「あの王様、良くお菓子屋さんとかは行くけど、こっちまでは来ないから遠目でしか見たこと無いけど、そっくりよ。モテるんじゃない?」
そう聞かれ、ううーんと悩み首を傾げると、可哀想な者を見る目になった。小さく首を振ってから、おかみさんは肩に手を掛けて、
「モテるだけが男じゃないから、頑張んな?」
と言われた。慰められたっぽい。はい…。と一応答えておいた。レイブンさんが、親方さんとの話が終わり、帰るぞ!と言われたのでおかみさんに礼を言って、レイブンさんとミントの元に戻り、鍛冶屋を後にした。




