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ルールを守ろう

結局、俺は牢屋から出され人気の無い場所に連行された。体術には自信が有ったが、未だに毒が抜け切ってなく足下が覚束ないお陰で、逃げる選択が出来ずにいた。

何人かの騎士に囲まれ、城外に連れ出された。王都を抜け、王都近くの廃村の空き家に引き立てられる。騎士だけじゃなく王まで着いてきた。変な国だな。

「さてと。ここに座って座って。」

そう自ら椅子を引きずって糞王が俺に椅子を勧めてくる。俺を座らせた後で、自分も椅子に腰掛けた。

「ええと、取り敢えず君が大人しく帰ってくれるなら、何もしないけどどうする?」

そんな選択は無いからな。皇帝に何て報告するんだよ。スライムがーとかマジでないから。折角貰ったチャンスなのに、あんまりだ。ギリギリと奥歯を噛みしめて居ると、心底嫌な顔をした糞王は、足を優雅に組ながら言う、

「ああ、君も大変だね?上の命令には逆らえないタイプなんだ。」

煩い構うな!そうか、そうかと頷き、

「じゃ、なに調べたいか解らないけど、暫くこっちに居るかい?」

俺の顔を覗き込むように、顔を寄せてくる。エメラルドの瞳は白金の睫毛に縁取られ綺麗だった。視線を反らすと負けた気がして睨み付けていた。

「勿論客として扱うよ?別に疚しい事はないしね。ただし、ある程度のルールには従って貰うけど?…どうする?」

これはチャンスなのか?懐に入って調べられる。ルールだって破れば良い。

頭の中でフル回転でメリットとデメリットを挙げていき、結局滞在する事を選んだ。

「お前らがなに企んでるか突き止めてやる!」

そう吐き捨てる様に言うと、糞王は嬉しそうに手を鳴らし、

「よし、決まった。アルフレッド真っ黒君に色々と用意してあげて?後、守って欲しいことも教えてあげてね?」

大男に指示を出している。

「あっ。忘れてたけど、今城には魔王様と勇者様がいらっしゃるから。」

そう話すと、急に立ち上がり騎士達に声を掛けている。俺はと言えば、糞王の発言が飲み込めずにいた。

は?魔王と勇者だって?何をバカな。

「な…なっ…何をバカな事…バカを言うなっ!何で…何を言って…」

俺の慌てた様子が面白かったのか、体ごと振り向いた糞王は、

「魔王様にはもう会ったでしょ。とっても可愛い女の子。でも、やっぱり魔王様だよね。迫力と気高さが段違いだよね」

そう言いきる。女の子だと?俺が見た女の子と言えば、牢屋に来たあれか?まさか!?

「うっ、嘘だろう?」

思わず出た言葉に、

「あはは、本当」

そう笑いながら答えて、次の瞬間、

「僕の事はバカにしてもいいけど、魔王様と勇者様に失礼を働いたら、殺すよ。」

ゾクリと背中が冷える程の低い声と冷たい視線にぶわりと冷や汗が吹き出した。今まで侮っていた相手の底の見えない闇を垣間見た瞬間だった。が、急にその闇は霧散して、

「あっ、勿論この国の人達を蔑ろにしても、めっ、だからね!」

ガキのような言い方に脱力する。一体コイツは何なんだ?

しかし、考えることは沢山在る。何で、勇者までいるんだよ。魔王と、勇者何て正反対の存在。敵同士だろうが!それが、こんな小さな国に揃ってるとか何かの間違いだろう?嘘だといってくれ!

糞王が出て行こうとして、ドアノブに手を掛けたら、扉が急に開かれた。若い騎士と同じくらいの歳の民間人らしき男が立っていて、入ってこようとしていた。

「あれ?カイルどうしたんだい?あ、レイブンさんも?」

すると、若い騎士は、

「クリスティア様が探してますよ。」

そう告げた。糞王の顔は、ぱーっとにこやかに、目に見えて明るくなった。糞王の弱点発見だな。俺は騎士どもとその場に残り、ルールってヤツを叩き込まれた。考えてたよりこの国は実力主義だった。


「ルールその1

国民を傷付けてはならない。

その2

個人の所有物を侵してはならない。

その3

個人の趣味に介入してはならない。

その4

公の場では自由に行動していいが、執務室など国政に関わる場は、付き添い無しに行動してはならない。

その5

体調の変化には気を付け、自覚があれば直ぐに報告しなければならない。

その6

食事は騎士団と共に取ること。

その7

自室での行動は自由だが、隣室に迷惑を掛けてはならない。

その8

あっ、この国の法律は守ってください。

その9

宗教は自由ですが、勧誘は控えてください。

その10

1日午前か午後かのどちらかで、騎士団と柔術、若しくは、剣術のトレーニングを受けてください。体調の優れないときは、事前に報告お願いします。

その11

なるべく王の行動は見てみぬ振りをお願いします。優しい気持ちでお願いします。

その12

ナンパはかまいませんが、城内では禁止です。あなたはモテるでしょうが、こちらとしては面白くないので、城内では止めてください。本当に約束ですよ。

以上

何かあれば、その都度増えると思いますが、今のところはこんなところです。質問はありますか?」

そう、騎士のノエルと名乗った男が言った。彼は、副団長らしい。でかい男が団長だそうだが、大男の方が若い。どうせ地位の高い貴族のボンボンだと思ったら、どうやら貴族と言っても貧乏貴族の出だとか。糞王は実力主義者で、騎士団の大半が一般人だそうだ。年に2度公募が行われ、試合形式の実地試験に、筆記試験があり、14才以上なら男女問わず、誰でも受けれるそうだ。ただ、国籍は自国のみらしい。これまた、国籍を移し、5年過ぎれば受けれるそうだ。

文官は、年に1度の試験があり、かなり難しく、狭き門らしい。

「これからよろしくお願いいたします。」

ノエルは、そう言い俺に頭を下げた。


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