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魔王様を訪ねて来たのは?

今日の授業が無事終わった。クリスティアが、ザラを拐って行ったので残された僕はアルフレッドと執務室に戻り、クリスティアが用意してくれた報告書等に目を通した。仕事が一段落つき、アルフレッドが入れたお茶を飲みながら、今日の授業のおさらいをしてみたりする。アルフレッドと話ながら。

他の皆も持ち場に戻り、仕事を再開しているだろう。ヨミ以外。ヨミは授業が終わっても寝ていたので、そのまま置いてきた。もしかしたら、あそこで一泊するかもしれない。あれで、キチンと頭にはいって居るのだからムカつく。

2時間ほどして、クリスティアがホクホクしながら帰って来た。凄く楽しそうでちょっと羨ましい。

「良いこと聞けたかい?」

そう声を掛けるとにっこり微笑んでいつもの気の強そうな美人はなりをひそめる。

「ええ。とても楽しかったわ。」

ほのかに染まった頬が可愛いかった。


そんなの日々の一週間が過ぎた頃ザラが授業の終わりに

「明日ある方が此方に来る。とても気難しいので側によらない方がいいけど、取り敢えず来たら私をよんで。」

そう言われた。カイルとレイブンさんが、例の友達だろうかと話している。二人に話を聞くと、ザラには唯一の友達がいるとの事。何だか涙が出そうだ。僕も友達にしてほしいな。取り敢えず、『はーい』と返事をし今日の授業は終わった。

それから、城の皆にザラの伝言を伝達しておいた。


ザラの予告通り、かの方は現れた。いつの間にか、城内に入りザラに会っていった。そして授業の前に、紹介された。な、なななんと!かの方はスライムだった。しかも、紫色した30センチほどの大きさで、頭には不思議な黄金に輝く帽子が乗っかっている。眼光が鋭く此方をにらんでいた。

「えーと、彼は○△◎☆▽です。あれ?人語だと何だろう?う~」

悩み出すザラに○△◎☆▽は、

「ヴァブでいい。」

と告げた。けれど、すぐに

「人間どもに私の名前を呼ばれたくないからな。」

喋った。スライムが話をしている。あれ、スライムって話せたんだっけ?頭がおかしい。本当は喋ってない?僕の妄想?混乱してきた。だが、答は直ぐわかった。

「彼は、人の言葉を理解し、話すことも出来る。彼の主食は魔導書なので大切な魔導書は仕舞ってください。」

そうザラが言った。主食が魔導書って…じゃー、副食は?心を読んだのか?声に出てたのか、

「魔石も食べますから、隠してね」

とのことだった。僕は慌ててアルテアに命令して魔石を片付けるよう指示したり、城の魔導師に自分の大切な物はしまっとけと伝えて貰った。でも、彼が本気になったら形を変えてどこにでも忍び込めるだろうな~。と、確信してもいた。いつの間にか城内にいたように。城下にも、伝令を出しておいた。気を付けるように。余り今日は魔導書や魔石を使わないようにと。

アルテアが、戻ってくる前に取り敢えずヴァブ様に挨拶をする事にしよう。

「はじめまして、ユリウスと申します。よろしくお願いします。」

と頭を下げた。ヴァブの睨みが酷くなったが気にしない。

「城内に滞在頂けるなら、お部屋を用意いたします。何かご要望は在りますか?」

そう伺うと、

「滅べ」

ありがたい要望が来た。

スライムの希望とあらば、吝かでは無いが、

「勿論、それが望みであれば、僕としても叶えたいところですが、まだやり残した事もありますし、僕だけなら引き受けなくもない事ですね。個人としては。ただ、他のものもと言うのであれば無理です。と言うか、人間なんて後少しもすれば自然と淘汰されますからそれまでお待ち下さい。」

すると、ふんと鼻をならしたヴァブは(どこで鳴らすのかわ不明)

「今すぐ滅ばないなら意味はない。」

と馬鹿にしたように言った。

「でも、それではヴァブ様が困るのでは?」

そう呟いてしまった。その言葉を聞き付けたヴァブは激昂して、言葉が意味をなさない叫びを上げる。

「あの落ち着いてください。だって人間が死ねば、魔導書も、魔石も作る物が居なくなりますよ?」

そういうと、叫んでいた声はピタリと止んだ。そしてザラを見上げる。

「あっそうだよね。魔導書も、魔石も人間が作ってるし、魔族も魔物はそんなもの必要ないし。人間って器用だよね。」

っとザラは笑っている。ヴァブは視線を反らして、なやんだあげく、

「半分滅べ」

妥協した様だが、半分って…。魔導書作れない人たちばかりが残ったらどうするの?







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