やっぱ紗耶香ちゃんって、まだバージンだよね
体を拭いて着替え、自室に戻った途端、携帯が鳴った。智ちゃんからのコールである。
「あ、紗耶香ちゃん!? 突然で悪いんだけどさあ、今晩あたしん家に来てくれない? 今日しか都合がつかないの」
「うん、まあいいよ。特に用事もないし……」
「じゃあこの後、夕方五時半に迎えに行くね」
女子六人が集まるらしい。何事か、と思いつつ髪を乾かし、着替えてごく簡単にメイクする。
五時半丁度に、智ちゃんがお母さんの車を運転し我が家の前に迎えに来てくれた。おはよう、と挨拶を交わしつつ、あたしは助手席に乗り込む。
途中でスーパーに寄って、食べ物や飲み物、お酒を沢山買い込み、智ちゃん家に到着。彼女の部屋で待つうち、さらに四人の女の子が揃った。皆、中学及び高校時代の同級生ばかりである。
「よし、揃ったね。それじゃこれから、『紗耶香ちゃんのミスコン優勝プロジェクトチーム』のキックオフを開催しま~す♪」
と、智ちゃんが宣言。なるほど、そういうことね。――
皆一斉に拍手し、ビールで乾杯する。
「ってかさあ、智ちゃんが早々に辞退しちゃってるから、今更なんだけどさ。あたしが立った方が良かったの? 智ちゃんの方がずっと、優勝の可能性があったんじゃない?」
「そんなことないよ~。あたし、見た目が平凡だから、ステージに立っても全然目立たないじゃん。背も低いし~。ボン・キュッ・ボン美人の紗耶香ちゃんの方が、絶対ミスコン向きだよ。すっごく映えるって」
そうなのかなあ。……
「酔っ払わないうちに、やるコトやっちゃおう」
という智ちゃんの音頭で、全員が動き出した。
まず、床に新聞紙を敷き、美容学校に通っている奈美ちゃんがあたしの髪を切ってくれた。
「今の時点では、ほとんどナチュラルのままで良いよね」
と、毛先をちょちょっと切り揃えただけ。それからメイクを勉強中のゆっこが、あたしにメイクを施す。
その間、服飾の専門学校に通う二人が、智ちゃんと共に彼女とお母さんのクローゼットを物色する。しばらくワイワイガヤガヤやっていたかと思うと、ジャケットとスカート、それにハイヒールを持ち出して来た。
五人がかりで脱がされる。さっき着替えたばかりの、ネコちゃんのバックプリントのパン○を見られてしまった。
とほほほほ。女子だけの集まりだと聞いてたから、油断したよ……(涙目)
「あはははは、可愛い♪ やっぱ紗耶香ちゃんって、まだバージンだよね」
ふんっ。悪い!?(号泣)
「そういう智ちゃんは、もう経験済みなの?」
「え~~っ。ナイショ~♪」
片目を瞑りつつ妖しげに微笑む智ちゃんの表情から察するに、彼女はやっぱ経験済みっぽい。
ってか、あたし以外の五人共、既にレディの通過儀礼を済ませているらしい。マジかよ、チクショ~っ。……