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二一世紀の歴史学って、そこまで踏み込んで考えるべきじゃない?

 夜中の三時過ぎまで古代史や古史古伝のサイトを読み耽った後、風呂にも入らずかろうじてキツいジーンズだけを脱ぎ捨て、パ○ツ丸出しでベッドに転がり爆睡。

 翌朝は八時頃目覚めたが、顔も洗わず頭ボサボサ、パン○丸出しのままで昨晩の作業を継続した。


 一番興味を惹かれたのは、古史古伝の一つ「先代旧事本紀くじほんぎ大成経たいせいきょう」である。研究家による紹介動画を一時間かけて視聴。聖徳太子が蘇我馬子や秦河勝はたのかわかつらの協力を得つつ、吾道、物部、占部、忌部、三輪、出雲氏及び天皇家の所有する歴史書等をかき集め編纂した、七二巻にも及ぶ大作らしい。全て漢文で書かれている。

 単なる歴史書にとどまらず、宇宙創生論に始まり医学、天文学、地形学、気象学、心理学、超心理学(!!)、哲学……といったあらゆる学問を含む百科事典・・・・だ、とのこと。スゴい。――


 江戸時代に発見され爆発的に売れたものの、伊勢神宮の抗議により徳川幕府が「禁書」とし、以来今日のアカデミズムも偽書扱いしているらしい。

 ただし、このうち歴史部分だけを抜粋した先代旧事本紀一〇巻本は、近年ようやく、

「歴史書として評価する価値がある」

 と認識されるようになったのだとか。


 それから、名前だけは非常に有名な「竹内文書」

 昭和初期、竹内巨麿という少々怪しげな人物が大量の壷を墓中より掘り起こし、中から出てきた膨大な書物を研究し世にあらわした。太古の天皇は「天空浮舟あまのうきふね」という航空機に乗り、世界を巡って知識や技術を伝えて回った、という。

 竹内巨麿の主観の混じった(?)ファンタジーまがいの壮大な歴史観が広まったことや、宗教化し戦前の政府に睨まれて迫害を受けたことから、現代では完全に偽書扱いされている。


 ところが面白いことに、戦前戦中の政府がさんざんネガティブキャンペーンを張り弾圧を行った挙げ句、裁判では、

 ――書物及び宝物を、偽物と断定する根拠が見当たらず。

 という結論に至ったのだとか。伊勢神宮の関係者まで調査に携わり、

 ――本物と見做すしかないのではないか?

 と判じた、とのこと。


 ただし残念ながら、押収された全ての書物、宝物がその後の東京大空襲により消失した。残ったのは竹内巨麿によってまとめられたメモ類のみ。そのためまともな調査研究が出来ないまま、今日では偽書扱いされている。

 しかしながら、飛騨地方等を中心に日本中に残る遺跡や地名が、竹内文書の記述の正しさを裏付けている可能性があるらしい。


 ふうっ……、とあたしは大きな溜息をつく。

(あたし達が教科書で教わった古代史観って、何なの!?)

 と考えざるを得ない。

(雄治や敬太郎君が言うように、いわゆる超古代文明だとか、UFO宇宙人の存在や関わりまで念頭においた歴史観ってのを、考えるべきじゃないのかな……)

 それが記紀神話の裏に見え隠れしているものではないのか。――


(二一世紀の歴史学って、そこまで踏み込んで考えるべきじゃない?)

 実証主義と称し、判明している事実だけをベースに思考したり、よこしまな思惑に歪められた歴史観を構築するようでは、まるで真実に迫れないのではないか!? 少しでも真実に近付こうと思えば、わずかな手がかりをかき集めつつ「類推する」という作業も重要なのではないか!?


 食事もとらず、部屋に籠もったままのあたしを心配し、母が様子を見に来た。

 一心不乱にPCモニター上の活字を睨みつつ、

「ちょっと忙しいから、今日は自主休校」

 と応えるあたしの様子を見て、母は何も言わず階段を下りて行った。

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