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あたしはまごうことなき恋愛初心者です(恥)

「他にもいろいろあっとよ。邪馬台国と、投馬国と狗奴国の位置関係とか」

 と、雄治は言う。


 ちなみに雄治は免許取り立ての筈だが、そのハンドルさばきとアクセルワークは絶妙である。

 どう言ったらいいんだろう……。つまり、音楽的なテンポとリズムがあるのよ。

 ぐぐっ、とコーナーでGがかかり始めたかと思うと、それに合わせて速度がぎゅ~っと落ちるわけね。で、そこからふわっと浮揚感を覚えた直後、すっごく自然に加速する。その加速感が絶妙。もう、夢見心地状態。

 車もセダンだからサスペンションが緩いし、いわく言い難いカイカンがあるわけよ。


 わかる!?

 右に左に好き放題揺さぶられて、

「もう、どうにでもして!!(はぁと)」

 って感じ。

 おまけに外は雨。車内空間との隔絶感を、一層強く感じさせられる。だから余計に、狭い密室にふたりきりという状況を意識させられちゃうっぽい。


 ヤバい。かなりヤバい。――

 ナイショだけど、あんまし大きな声で他人様ひとさまに言えないトコが、あんまし大きな声で他人様ひとさまに言えない状況に至ってる。

 もう少し、コソっと具体的に説明すると、今朝一一時前にシャワーを浴びて履き替えたばかりのピンクのパ○ツを、大至急履き替えるべき状況に陥ってるの……(恥)

 どうしよう。


 雄治って、カオは悪い方じゃないけど、少なくとも全然あたしのタイプじゃないし、ガチムチで男っぽいのは良いんだけどな~んか胡散臭いのよね。だって完全文系男でしょ!? 鍛えまくって身に付いた筋肉ではない。

 だけどさ、あたしの本能も理性も、このずんぐりむっくり男にキュンキュン反応しちゃってるわけよ。どうしたらいいの!?

 おまけに共通の趣味があることも判明したでしょ!?


 いやそれ以前に、あたしを学祭のミスコンに推薦してくれたって言ってたっけ? つまり雄治の側も、あたしに多少なりとも好意を抱いてる……ってことだよね。そんなこんなであたしの脳内や体内に、色々とよく分かんない恋愛フラグが立ちまくってるわけですよ。どうしたらいい?


 はい、その通りでございます。白状しますけど、あたしはまごうことなき恋愛初心者です。牢獄みたいな勉強漬け生活を強いられる宮崎の県立普通科高校を卒業して、先日大学生になったばかりだから、恋愛経験ゼロです。


 いや、確かに普段は、

「天才セクシー系紗耶香さんだよ。オトコなんて、いつでも手玉に取ってやるんだから♪」

 なんて顔してるけどさ、それって完全にハッタリなんだってば(滝汗)

 とほほほほ。こういうシチュエーションにおいて、どう振る舞っていいやら、さっぱり分からない。――


 軽くパニクってるあたしをよそに、車は山道を抜け都城の市街地へと入る。と、雄治は突然国道脇のホームセンターへとハンドルを切った。

「段ボールを何枚か貰ってくる」

 と、彼は店内に駆け込む。


 これ幸い、とあたしはトイレに向かった。個室に入ると、大変な状況になってるパ○ツの手当てを行い、かつこれ以上状況が進行しても一応大丈夫なように、しかるべき対策を施した。

 ふう。――

 この先、どうなることやら。

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