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要するに『ぃやぅまとぅ』は、ここじゃよ

「そうかそうか。不便な時代じゃのう」

「そんな話はどうでもいいから、卑弥呼様、いろいろと教えてよ」

 どう考えたって正真正銘のオカルト状況だが、こんなチャンスを逃しては勿体ない。所詮しょせん夢や幻覚かもしれないが、それならそれでいい。紗耶香あたしはベッドから上半身を起こし、卑弥呼と向かい合う。


「やまたい……じゃなくて『ぃやぅまとぅ』の事は、現代ではほとんど謎の歴史になっちゃってるの」

まことか」

「どこにあったのかも判らなくなって、学者の間では近畿地方にあったのか九州にあったのか、議論してる状態なんだよね」


「近畿じゃとか九州じゃとか言われても、ようわからんのだが……。要するに『ぃやぅまとぅ』本家は、ここじゃよ」

「え~っ!?」


 ここ!? 本家!? どういうこと?


の住まいは、ここから北西に、ざっと七〇里ぐらいじゃろうか。『いきめ』という場所ぞ」

 いきめ!?

 あたしは大いに驚いてベッドから跳ね起き、PCの電源を入れる。OSが立ち上がるとブラウザーでWebマップを表示する。


「ここは宮崎県宮崎市だよ。あ、昔の呼び名だと『ちくしのひむか』(筑紫の日向)になるのかなあ」

「ようわからんのう……。おお、これが地図かい?」

「そう。ここが日本、いわゆる『倭国』ね。この辺が魏朝で、都は……」


 あたしは即座に「魏朝」を検索する。そうかそうか、首都は「洛陽」か。――

 ここが都だよ、とマップ上の「洛陽」を指差す。


「ほう、なるほどのう。されば『ぃやぅまとぅ』はここじゃ」

 彼女はモニター上の一点を指差す。


 間違いない。彼女が指し示す場所は、まさに宮崎市付近である。

 驚愕の事実ではないか。あたしは大いに興奮してきた。


「ちなみに『いきめ』は、この辺り」

 あたしはPCを操作して宮崎市のマップを拡げ、市内の生目いきめ地区を指し示す。


「地形が随分変化しておるようじゃの。多分その辺で間違いないと思うが」

 と語る彼女の体が、次第に薄らいできて……ふっ、と消滅した。あたしは自室にて、ライムグリーンのパ○ツ姿のまましばらく呆然と立ちすくんだ。

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