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国内拠点『伊都国』

「ちょっと待てちょっと待て。先に飲み物を取って来る」

「ああ、そうやね」

 三人は立ち上がり、ドリンクを取りに向かう。あたしは素早くノートPCをウェイクアップし、スマートフォンのテザリングをオンにしてから立ち上がると、三人を追いかける。


 皆、思い思いにドリンクを注ぐと、テーブルに戻った。私と智ちゃんがアイスコーヒーで、筋肉バカ雄治がコーラ二杯。ひょろがり優等生敬太郎君は、なぜか梅昆布茶。おじいちゃんか(笑)

 めいめいグラスを傾けつつ、再びプリントアウトに目を通す。あたしはPCを操作してブラウザーを開き、Webマップを表示させた。


「なるほど解ったぞ。朝鮮半島から南下して松浦半島末廬まつら国に上陸し、拠点たる伊都国に『到』達。そこまでは次々と『順路』が記述されちょる……と」

「そうそう。で、その伊都国を拠点として、そっから『どっちに何里行くと』ナントカ国だよ……っちゅう意味ではないか、と」


 伊都国の先が、奴国。奴国の次に不弥国があり、その次に投馬国があって、順路上一番最後に邪馬台国がある……という意味ではないらしい。拠点伊都国からダイレクトに邪馬台国、と。なるほどね。


「解った解った~♪ すごく解り易いよ。以前はずっと、次々に順路が記されてる……と解釈してたから、ずーっと矢印が長くなって、『九州からはみ出して沖縄あたりに行っちゃうじゃん』とか『方角の勘違いで、実は近畿地方でしょ』とか言われてた、ってことだよね」

 と、山元智美。


「で、それは読み方が間違ってたって話なら、そこまで遠くには行かない筈だよね」

「そうそう」


「じゃあ、新解釈で読むと、どうなるのかな」

「拠点伊都国から……『南至邪馬壹國 女王之所都 水行一〇日陸行一月』」

「伊都国から南に、女王の都たる邪馬台国があるよ~。舟で一〇日、歩いて一ヶ月だよ~、という意味かな」


「そうやろね。ただ、舟で一〇日『 and 』歩いて一ヶ月なのか、舟で一〇日『 or 』歩いて一ヶ月、のどっちなのかはよく解らん。まあ、『又は』的な文字が入っていないから、『 and 』で間違いないっちゃろうけど」

「そっか~。まあ、どっちにしろアバウトだね。で、邪馬台国自体はともかく、他の国々の比定地は、どうなってんの?」


 黒木敬太郎が、プリントアウトの三ページ目と四ページ目を指し示しすつ、説明する。

「上陸地点がここ、末廬国。現在の長崎県松浦半島。昔の地名は『まつら』だし、壱岐から最短距離だし、ほぼ確定」

「うん」


「そこから東南に五〇〇里(約四〇km)で、伊都国。現在の福岡県糸島付近。そこは古代から『怡土いと』という地名が残ってて、考古学的にも『大国があったんだろう』っち言われちょって、これもほぼ確定」


 えっ?――

 ちょっと待って!?

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