表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/155

裸になって、一子相伝の秘術を行います

 再び、

「Entry number twelve, Sayaka Amano!! C'mon, again!!」

 とMCのコール。あたしはステージ下手しもて袖から颯爽と登場する。ファッションモデルさながらにステージをカッコ良く歩……こうと思った途端、

「もうコケるなよ~っ!!」

 という声がステージ下から飛んで来た。


 ドっと笑いが起こる。

 カンベンしてよ~っ。もうムチャクチャじゃん。……


 あたしは恥ずかしさともさることながら、ちょっとムカついた。頬を膨らませつつ、声の飛んで来た方に向かい、ロケットランチャーを構えぶっ放す真似をする。で、またもやドっと笑いが起こる。

 事ここに至ると、もはやあたしの一挙手一投足に笑いが沸き起こるのよね。


「エントリーナンバー一二、天野紗耶香。地元宮崎市出身の、地域学部一年生。歴史研究会所属の歴女。巫女体質で、卑弥呼様を呼び出せるという特技持ち。好きな言葉は『在庫処分特価』」

 というプロフィール紹介が流れる中、あたしはステージ上手かみてまで歩いてターンし、再び中央に戻ってポーズを決める。


 ……と、リハーサル通りに動くんだけど、もうほとんど五秒毎に笑いとどよめきが起こるのよ。最後は中央で、それぞれ出場者独自のポーズをキメる段取りなんだけど、あたしはインド人みたいに肘をちょっと突き出して合掌してみた。そんな何でもない所作にすら、笑いが起こるの。いや、そうじゃなくて、あたしの謎メイクが可笑しかったのかもしれないけど。――


 うん、OK。全部、あたしに対するポジティブな声援だと思う事にするよ。全員あたしのファンになっちゃったんだよ(笑) もう完全に開き直ったぜぃ♪


 大きな笑いに包まれつつ、ステージ奥の出場者の列に並ぶ。一旦会場の空気が落ち着いた。

 MC主導で、出場者全員に同じ質問が投げかけられた。身長体重スリーサイズだとか、好きな食べものは何ですか、とかね。出場者が順に、それに答えていくわけ。あたしも無難に「お好み焼き」って回答したんだけど、またもやステージ下がざわつく。


 その次は、観客が出場者を指名し質問するコーナー。でも五問中、四問があたしに集中しちゃった。

「どうやって卑弥呼様を呼び出すんですか? 是非、今ここでやって見せて下さい」

 ほら。想定通りの質問が出たよ。――


 仕方なくあたしは、

「裸になって、一子相伝の秘術を行います。なのでここで披露することが出来ません。ごめんなさい」

 と回答する。またもや観客全体がドっと沸いた。もう、知らんっ。……


「卑弥呼様は、邪馬台国の場所を教えてくれましたか?」

 最後にそう質問された。

「はい。邪馬台国は、ここ宮崎の『生目』だそうです。詳しくはあたし達歴史研究会のサイトをご覧下さい」

 と、素直に回答した。途端、これまでで一番大きなどよめきが起きた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ