表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/155

雄治に丸投げしよ~っと♪

「ほう。紗耶香君は、ホームページ(Webサイト)を作れるっちゃね」

 紗耶香君はスゴいな、と県史編さん室の松原先生が声を上げた。


「いえ、それがですね。今じゃそんなに難しい話でもないんですよ。Webサイトを構築するスペースは、無料タダでレンタル出来るんです。それからサイト構築のためのツールも、最近は無料で手に入るんです。ツールを使えばサイト構築はシロートでも出来ますね」

「ほ~~っ。そうやっちゃ……」


「サイトデザインのテンプレートも、無料フリーで大量に転がっています。だから三〇分もあれば、一応のWebサイトらしきものは作れるんですよ。あとは原稿と、それに写真素材などが必要ですね。それらが揃えばページを簡単に増やせます」

「なるほど」


「初心者でも出来るんです。良い時代ですよ。あたし達シロートでも世界に向けて情報発信出来るんですから。ただしそれを広めるのが、すっごく難しいんですけどね」

 そうなんだそうやっちゃ、と松原先生は感心し頷く。

 先生は高校の歴史教諭だったらしい。五〇歳を過ぎて普通科高校の勤務が体力的に辛くなり、県史編さん室に移動してきたんだとか。


 雄治と遺跡巡りをする少し前から、あたしは県史編さん室で雑用のバイトを始めた。

 バイト応募の電話を入れ、すぐに履歴書を提出し面接を受けた。松原先生から五分ばかしいろいろ質問され、あっさり採用が決まった。


 勤務しているのは室長である県の職員さんと、松原先生のような教諭上がりのおじさん先生三人。それにパートのおばちゃん二人。


 みんな、若いあたしに親切にしてくれて、すっごく働き易い。作業内容も比較的簡単な書類整理や、倉庫整理。それからたまに、県内の史跡や博物館へ届け物をしたり、助っ人として雑用をこなす。

 大した仕事はしていないのに、結構重宝され可愛がられている。ホント良いバイトを見つけたよ。――


 休憩時間にみんなでお茶を飲みつつ、Webサイト構築の話になった。あたしが大学ガッコのサークルのメンバーと一緒に、魏志倭人伝謎解きを手がけてWebサイトにリポートを掲載していると話すと、先生方が食い付いてきた……というわけ。


「私らおじさん達は、インターネットなんて全然分からんからなあ。県史のページなんか全部業者任せやっとよ。金がかかるから、予算の関係で思うように更新出来んとよね」

「なるほど……。そうでしょうね」


「紗耶香君がそういう技術を持っちょるんやったら、我々独自の情報発信を検討しようかな。紗耶香君は、作業を請け負ってくれるか?」

「いいですよ」


 松原先生はニコニコと頷き、立ち上がって室長に相談しに行った。暫くして戻って来ると、

「ページ作成は自宅持ち帰り作業。更新頻度は月に三ページ程度で、一ページあたり二五〇〇円でどうかな」

 と条件を提示された。あたしは二つ返事でOKした。


 いや、あたしは先日宝くじが当たったから、正直お金には困ってないんだよね。

 それより仕送りの少ない雄治が、お金に困ってる筈。だから雄治に丸投げしよ~っと♪(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ