それ、ミスコンで披露したらどげんや?
ホテルにチェックインした後、近所で某居酒屋チェーン店を見つけて入り、食べ放題飲み放題コースを選択。ふたりでしこたま飲み食いした。
歴史や超古代文明のネタで盛り上がり、好きな音楽の話題に花が咲く。
「な~んや、紗耶香はヴァイオリンが弾けるんか」
「うん。子供の頃にちょっとだけ習ってたよ。でもホントにちょっとだけ……だよ」
「スゲえな。それ、ミスコンで披露したらどげんや?」
「いや、ミスコンではオーボエを吹こうかなと思ってるんだけど。中学時代に吹奏楽部にいたんだけどさ、吹奏楽じゃヴァイオリンがないから、クラを吹いてたんだよね。そっちの方がマシ……かな」
「なるほど」
今現在クラは持ってないけれど、お母さんのオーボエを借りて吹こうかな、と考えているところ。それを特技として披露するわけ。
そりゃ良かアイデアや、と雄治は頷く。
「じゃったら、智ちゃんが言うちょったイメージビデオん方で、ヴァイオリンを弾いてみたらどげんや!? 動画やっで編集も出来るやろうから、多少下手でもゴマカシが利くやろ」
「あははは。それ、いいね」
ふたりして、どの曲を演じるかあれこれ話し合う。二時間程ダベり、ホテルに戻った。
部屋でノートPCを立ち上げ、歴史研究会グループウェアの掲示板を見る。敬太郎君は家庭教師先のお嬢様が受験生なので、集中的に夏季講座実施中……らしい。で、智ちゃんの方はご両親と、豪華客船でカジュアルクルージングバカンス中だとか。くうっ、羨ましい。――
「福岡発着だから、終わったら両親と別行動で、福岡近辺の遺跡巡りをしてくるね」
とのこと。
あたし達も簡単に近況報告をアップし、さらに「紗耶香ミスコン」イメージビデオのヴァイオリン演奏案と選曲案を、プロデューサー智ちゃんに提案する。あと、智ちゃんの遺跡巡り写真を貰えるよう頼んだ。つまりうちの両親へのアリバイ工作用ね(笑)
それからふたりは交代で入浴し、布団に潜り込んだ。あ、その後何をしたかのは、ヒミツ♪ いやいやいや、ふたりで手を繋いでお話しして、オレンジジュースを飲んで寝ただけだよ(謎笑) いちゃいちゃウフフ行為なんかしてないから。いやホントホント(汗)
ふたりは日中の疲れと夜の疲れ(笑)のせいで、九時間爆睡した。そして翌朝はチェックアウト時刻ギリギリにホテルを出て、国道三号線を鹿児島方面へと南下する。
ほぼノンストップで、一三〇km先の薩摩川内市にある可愛山陵を目指す。正午に到着し、クルマを降りると境内を見て回った。
雄治が言うには、ここは天孫ニニギの御陵らしい。
しかし、単に神社があるだけとしか思えない。御陵と言うが、古墳だとか大きな埋葬施設があるわけでもないらしい。
「何でここが、明治時代に御陵墓指定されたんか、よう解らん……」
雄治は首を捻っている。