表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/155

鵜戸神宮―宮崎神宮の延長線上に何があっとじゃろか

 雄治が言うには、有名な青森県亀ヶ岡遺跡から出土した土面(粘土を焼いて作ったお面)には妙な模様が描かれているらしい。一見ただの模様にしか見えないが、ある研究家によるとそれが神代文字だという。阿比留草文字で、

あえをばまつれ 吾をばまつれ」

 と読めるのだとか。


「敬太郎が先日言うちょったやろ!? 昔の日本語は八母音やった、と。しかしそれより前からる神代文字が、五母音五〇音ちゅ~のはおかしい。つまり後世作られた偽物ニセモンや……と」

「なるほど」


ところがじゃっどん、そン八母音説が最近になっせ『実は間違いやったんじゃねえか』っち見直されつつある。じゃったら神代文字偽物ニセモン説も、見直されんにゃいかん」

「なるほど、そうだよね。……って言うかあたしは、高度な文化があったのに文字は存在しなかった、って考えは不自然だと思うんだけど」

 その通り、と雄治は大きく頷く。


「縄文人が太平洋を横断し、中南米にまで渡っちょったっちゅ~ことは、長年天文観測やらやっちょったち証拠や。それには膨大な観測記録が必要な筈やろ!? そりゃもう、文字が無ければムリや」

「だよね~。あとさ、高度な測量技術も持ってたっぽいんでしょ!? それだってやっぱ文字あってこそ……なんじゃない?」

「じゃっど~」


 展示室内にいる職員さんをつかまえて、文字の刻まれた土器の事を尋ねるが、職員さんは首をひねる。あたし達は土器を諦め、クルマに乗り込んだ。

 車内は直射日光に熱せられ、サウナ状態である。一〇分程ふたりしてひいひい言っていたが、そのうちエアコンが効き涼しくなってきた。「知られざる名曲」ドヴォルザークの七番を聴きつつ、熊本方面へと向かう。


「先日紗耶香に、母智丘―霧島―桜島を結ぶ三角形の話をしたやろ!?」

「うん、覚えてるよ」

 そうそう。あたしはあの時に、雄治にファーストキスを捧げちゃった(恥)


「あン後、さらに不思議な事に気付いたんや。ふと、桜島―母智丘ン延長線上に何があっじゃろか……っち気になっせ調べてみたら、何と宮崎神宮があった。しかもドンピシャ、本殿の真上やぞ」

「ウソ~!! マジ!?」

「マジやマジや。しかもそン途中、生目神社の参道入口付近をよぎっちょる。つまり桜島―母智丘―生目神社―宮崎神宮レイラインや」

「え~っ!? スゴい!!」


 それって偶然出来たラインなの? いや、多分違うよね。……

「そイだけじゃねえ。まだあっど~」

 雄治はコーラのボトルを手に取り、三分の一ほどを一気に飲み干す。


「宮崎神宮の参道は鵜戸神宮を向いちょることに気付いた。まあ若干の誤差はあっとやけどな。もしかすっと、どちらかが過去に、社殿建て替えか何かでわずかに場所移動したンかもしれん」

「へ~~~~」


「じゃったら鵜戸神宮―宮崎神宮の延長線上になンがあっとやろか……ち調べてみたら、西都原古墳群を抜けて高千穂神社入り口に繋がった。つまり鵜戸神宮―宮崎神宮―西都原古墳群―高千穂神社レイラインがあった」

「うわ……。スゴい!! それって、やっぱ偶然じゃないよね。古い時代にかなりの測量技術があった筈だよね。で、何らかの意図があって、測量技術をフル活用してそれらを一直線上に築造した、と……」

「多分そうやろなあ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ