弱点
俺達がレニアちゃんをギルドに預けて数時間。少し冷静になれた俺は、悩んでいた。
これからどうするべきか。冷静になれて良かった。冷静でないままなら、俺は今にでも走り出して人さらいにでも捕まってジ・エンドだ。それが愚かだということくらい考えずともわかる。それに、リリアさんが悲しんでしまうだろう。なら今の俺に何が出来る。『扉』を持たず、知識もなく、
非力な俺に一体何が出来る… 情報収集だ。情報収集くらいなら危険も少ないだろう。無駄に行動を起こそうとしてヘタをするより、じっくりだ。
「リリアさん、俺は情報収集をしようと思います。」
「…どうしたのよ急に」
「俺は、もし男どものアジトを突き止め乗り込んだとしても実戦では使い物になりません。なので今俺にできる事を考えた時、そのくらいしかないと思いました。なのでここからは少し別行動を…」
突然、腕を掴まれた。今にも折れてしまいそうな華奢な拳は、弱々しく俺の腕を掴んでいた。目線を上げ、リリアさんの顔を見る。そこには、涙の雫を零しながら静かに震えるリリアさんの姿があった。
「嫌だ…行かないでよ…もう、近くにいる人をなくしたくない。もう…私を……」
俺は全く情けない男だよ。1人で考えて一人で行動しようとして、しまいには女の子泣かせるなんて…
「分かりました。リリアさん。離れません。泣かせません。約束です。」
「…絶対よ」
人の心には、必ず弱点が存在する。いくら強い人間でも、その弱点をつかれてしまえば心は一瞬にして崩れ落ちる。俺はリリアさんの弱みを知らず、その弱点へと足を踏み入れてしまったんだ。リリアさんの場合、それは人が傷つくことだったんだ。あんなことがあって弱っている中で俺を少しでも危険から遠ざけたかったのだろう。ホントに、優しい人だよ。
俺には、守れるのかな…守られてばかりは嫌だ……
毎回毎回短くて申し訳ありません!!どのくらいで切ったらいいのか分からなくて……もっと長い方がいい!と思って頂けるのであれば、尽力します!……このサイト、小説にコメント出来ましたよね…?